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文学フリマ大阪11。

 今年の春の文学フリマ東京36には、用意周到に準備したにも拘わらず、直前のコロナ罹患で行けなくなったため、代わりにと言っては何だが、秋の大阪に出ることにした。
 出発まで、また何らかのトラブルに巻き込まれるのではないかと、嫌な雰囲気を振り払えなかったのだが、その悪縁のためか、北陸道は工事だらけで遅遅たる速度で車を駆った。しかしながら、なんとか大阪に着き、吹田で降りるといつも通り太陽の塔に御挨拶に行く。おりしも、太陽の塔初代の御玉顔の展示があり、その偉容に圧倒された。ここはパワースポットなんだなと、感慨深く思う。
 パワーをもらった所為もあってか、興奮気味で妻も僕もあまりよく眠れなかったが、朝早く起きて、駐車場からカートで重荷を曳きながら歩く。地下鉄駅のエレペーターの場所に迷いあくせくしていたら、OMMビルに着く頃には汗に衣服が濡れていた。二階は、すでに出店者の長蛇の列で、出店者開場が10時から10分ほど遅れたのに、さらに客が多いという理由でアーリーオープンになり、設営がギリギリ間に合うか間に合わないかくらいの時間しかなく、焦った。
 左隣は本の装ひ堂さんで、右隣は佐山祐樹さんだった。この左のブースは、二ブース連番で広く占めていて、開場とともに客が押し寄せてきて、ついつい僕も「場所が悪かった」などとぼやいてしまったが、のちのちそれを聞いたか聞かなかったか、装ひ堂の方がお詫びしてお菓子をくれた。乱暴な発言、反省致します。ごめんなさい。
 それで、隣の売れ行きを尻目に、あまり客足が増えなかった当ブースだが、それでもそれは相対的にそう見えただけのようで、初めの一時間で5~7冊くらいは売れたようだ。そのあとも、さまざまな方々が買いに来てくれて、終ってみれば29冊の売上が上がった。確かに、あまり買ってくれそうにない客に、今回は同人誌「空華」のバックナンバーを100円で頒布したのが5冊出たので、主力商品はそんなに多く売れたわけではないのだが、特に深井了氏の詩集と哲学書はとても良く売れ、一人などは「東大文学部卒」と肩書きを聞いただけで即買いしていった。学歴強し。
 また、空華第一七号も、在庫の全5冊中4冊売れて、なかなかの売れ行きだった。なんだかんだ言って力を入れて作っている雑誌なので、空華が売れると嬉しい。実際、これが売れると、ほかの単行本も売れる見通しが付くというものだ。買って戴けた方、ありがとう御座いました。
 それで、売るのに忙しくて、殆んどブースを見回ることができなくて、残念な気もしたが、個人的には、僕の売りの本も、「癲狂恋歌」三冊、「孤独な恋人」二冊、「禅僧小話集」一冊と売れて、妻の売りのアマプレベスシリーズも、一冊2000円の「モーツァルトと皇帝たち」が売れ、まずまずの業績の上がった、文フリだった。
 帰りは、段ボールが一つ減って、カートが軽くなったのだが、地下鉄駅を出たら大雨で慌ててタクシーを呼ぶが、乗った途端に小雨になり、歩けば10分も掛からない場所まで1100円を取られた。ただ、タクシーの運転手が良心的で、そんなに廻り道もしなかったし、荷物をトランクに載せてくれたので、その辺はありがたかった。
 ホテルに戻り、近くの心斎橋筋商店街をうろつき、功夫播州ラーメンに入り、蜂の巣やピータン、海月、豚耳などの珍味を食べて、打ち上げ。大阪は美味い街やねえ。
 今度は、晩秋の東京です。

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