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誰でもできる「科学的思考」

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震災や感染症などで不安や混乱が取り巻く社会に決まって広がる似非科学、デマ。 SNSが発達した今、あなた自身がデマ拡散に加担しているのかも。 これは、ニセ情報に騙されないハウツーを…
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#疑似科学

あとを絶たない陰謀論

あとを絶たない陰謀論

世界は秘密結社に支配されている、とかのやや食傷気味な陰謀論。

もはや化石?

いやまったく、デラお元気です(笑)。

いつまでしゃぶるのそのネタ例えばそれはフリーメイソンだったり。

フリーメイソン、正しくはフリーメイソンリー(Freemasonry)は、陰謀論者が好んで「影の世界支配者」に仕立て上げる団体。

実際には推薦人と数千円の年会費で入れるただの親睦団体なのだが。

お笑いさんが

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スプーン曲げは簡単

スプーン曲げは簡単

超能力ネタでショービジネスを成功させた人と言えばユリ・ゲラー。

2024年現在の日本でも、この名前を聞けば多くの人が「ああ、あの人ね」と。

子供も真似する、ショーの天才彼が日本のテレビに初登場したのは1974年。

十八番のスプーン曲げの他にも、テレビの視聴者宅にある動かなくなった時計を、テレビ越しの念力で動かして見せる技も披露。

1974年と言えば私は6歳でした。

看過され、家に

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健康情報フローチャート

健康情報フローチャート

明治大学教授・石川幹人はその著書「なぜ疑似科学が社会を動かすのか」(PHP研究所、2020年)の中で、新聞広告に見られる疑似科学の時代変遷について述べています。

近年では新聞やテレビ等のマスメディア業界が悪徳商法に敏感になり、そういうものにカテゴライズされるビジネスの広告は掲載しないという姿勢を明確にした、と。

そのため昔は見られた催眠術や霊感占い、魔除けグッズ等の広告が消えた、とのこと。

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高校物理教育の「系統性」

高校物理教育の「系統性」

物理学会の会員に毎月配られる学会誌。

2024年2月号の巻頭言は、副会長・橋本省二の「思いは伝わっているか」。

その内容は、日本における高校生の物理離れ(「物理基礎」履修率の低下)を憂えるもの。

2023年9月の年次総会で東京学芸大・新田英雄が発表した数字として、高校科目「物理基礎」を好きと答えた高校生は10%で、体育芸術系まで含めた全教科で最低。

一方「そう思わない」、つまり好き

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学士会は疑似科学に手を貸すのか

学士会は疑似科学に手を貸すのか

学士会は、国立七大学の卒業生・学生・教員からなる合同の同窓団体であり、会員数約5万人の一般社団法人。

その本拠地・学士会館は1928年神田錦町に創建され、国の有形文化財にも登録された由緒ある建築物です。

老朽化と耐震性の問題から2024年いっぱいで一旦営業終了し、全館改修へ。

歴史的価値の高い部分を耐震化・保存しつつ新たなビル建設を行い2029年竣工の予定、だそうです。

歴史を感じ

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科学的事実は鉄壁?

科学的事実は鉄壁?

たまに科学者のことを「科学教信者」と揶揄する人に出会います。

科学で「証明」されたことを信じているだけだ、と言いたいのでしょう。

確かに、そう言われても仕方ない人もいるにはいますがね。

「太陽は東から」は証明されたのか?そもそも科学は何ものも「証明」などしない。

例えば明日の朝太陽は間違いなく東から上るでしょう、今までと同じように。

くる日もくる日もくり返されるこの現象について、

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超常現象研究が日の目を見るには?

超常現象研究が日の目を見るには?

2014年に放映されたNHKスペシャル「超常現象 科学者たちの挑戦」。

番組のディレクタを務めた苅田章(かんだあきら)は著作の中で、超常現象の存在を示す兆候があるにもかかわらず、それを科学的に探究することが科学の世界でなかなか認められないのはなぜかと問います(※)。

そしてその理由の一つとして、超常現象をオカルトとしてはなからイカサマ扱いする偏見を挙げます。

超常現象っぽいこと言うだけで

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食い物にされるがん患者

食い物にされるがん患者

すい臓がん。

初期は症状がなく早期発見が難しい。

そのほとんどは、がんの種類としては腺がんに属し、治療困難。

私の叔父もこれで他界しました。

遺品整理で自宅に入ると、ついさっきまで生活していたかのごとし。

買ったばかりの炊飯器や、まだ残っている洗剤を切らさないために用意された詰め替え用洗剤など、死ぬことなど想定外な感じが生々しくまた悲しかった。

本当に突然だったのでしょう。

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一足飛びには発展しない人類の智慧

一足飛びには発展しない人類の智慧

東京都生活文化スポーツ局は2009年、
「『波動・情報転写による効果・性能をうたった商品』の表示に関する科学的視点からの調査結果について」
と題する調査報告書を提出しました。

「波動」というキーワードを用いた健康食品・機器や医療はちまたに多くあふれています。

それぞれに、利用者の体験談や独自のメカニズム論を展開して、その正当性を訴えています。

「波動」は超便利波動は特に後者、つまり当該商

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超心理学研究に見る科学の危機

超心理学研究に見る科学の危機

NHKディレクター・苅田章は、超常現象に関するその著書の中で、

とします。

超常現象の中でも特に人間の認知活動に関わる分野、念力やテレパシー等を扱うのが超心理学。

生物学者で超心理学者でもある小久保秀之も、超心理学の課題としてそれが数式で表せないことだ、と言います。

日本語や英語のような自然言語は、日常生活では便利に使えても、こと自然現象の記述に関してはその言葉の多義性・あいまいさが命と

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ポテンシャル指向が未来を拓く

ポテンシャル指向が未来を拓く

2013年から2014年にかけて、NHKでその名もズバリ「超常現象」というタイトルの番組が、地上波およびBSで放送されました。

阿部寛さんが主演で、薄暗い研究室風の部屋にたたずむ怪しい雰囲気の、白衣着たいかにもな風情の研究者が話を回すやつ。

ご覧になった方も多いでしょう。

この一連の番組の制作統括・大里智之は著書の中で、超常現象を研究することの意義として錬金術や占星術を例に挙げ、

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科学になり切れない超心理学

科学になり切れない超心理学

念力やテレパシーなどを研究する超心理学の論文を見ていると、やはり扱っているテーマの特質からか、「科学とはなんぞや」を問う科学そもそも論を結構見受けます。

これは結構難しい。

「科学とは○○です」と即答できるようなものではないでしょう。

なにせそれを扱う科学哲学という独立した学問分野があるくらいだし。

ただ、大学の職に就きそれなりのキャリアを積んでいるはずの研究者の主張を分析してみると、なん

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役立つ情報の見極め方

役立つ情報の見極め方

2022年ツイッター社を買収したイーロン・マスクさん。

X(元ツイッター)の広告収入減をユダヤ人組織のせいだ、と見事なデジャヴ。

富士山はいつ噴火してもおかしくない状況だそうですが、いざ噴火したら出てくるんでしょうね、似たような「○○(組織)の陰謀だ」論が。

京大大学院教授で医師の中山健夫はその著書で、役立つ情報を見極める5つのポイント「A,B,C,D,E」を提唱しています(※)。

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月の重力で発狂?

月の重力で発狂?

いにしえより、月の影響で人が発狂したり、出産が増える、犯罪が増えるなどという迷信は珍しくない。

現代でも例えばこんな記事が(ムーじゃないよ)、:
「東洋医学からみる月の満ち欠けと体調の関係」(※)。

ここで鍼灸師・瀬戸郁保は、「60~70%が水分でできている人体は、潮の満ち干き(ママ)などと同じように月の引力の影響を受け」、月の満ち欠け(相)に合わせて人体に変化が生ずる、とのたまう。

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