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【和訳】英国国防省:ウクライナ情勢報告

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英国国防省発表のウクライナ情勢評価分析の日本語訳
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2023年8月の記事一覧

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 31.08.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 31.08.2023

日本語訳:

2023年8月29日から30日にかけての夜、ロシアは最大5カ所を片道攻撃型無人航空機(OWA-UAV)によって攻撃された。この攻撃は、この戦争が始まってから、ロシア国内への攻撃として最大のものになった。爆発がモスクワ、ブリャンスク、リャザンで映像として記録されており、さらにエストニアとの国境に近いプスコフ空軍基地での爆発も撮影されている。プスコフ基地への攻撃は、数機のロシア軍輸送機に

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 30.08.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 30.08.2023

日本語訳:

2023年8月25日、二人のロシア軍兵士に対して、軍事法廷は受刑収容所での最少でも2年の懲役刑を言い渡したが、その罪状はウクライナ戦線への復帰命令に従うのを拒否したというものだった。2023年7月18日、報道メディアのメディアゾナは、ロシアが戦闘拒否で有罪にした兵士は週あたり100人近くになっていると報じた。この傾向が続く場合、戦闘拒否によって一年で約5,200人が有罪宣告されること

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 29.08.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 29.08.2023

日本語訳:

ロシア軍で軍務に就くことは、侵攻開始以降、ますます儲かる仕事になっている。2022年2月4日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、中尉の月給は81,200ルーブルであると述べた。2022年10月になったときには、動員された一般兵卒でさえ195,000ルーブルの月給を受け取ることになると、プーチンは発表した。

ウクライナで軍務に就いている下士官兵の月給は現在、200,000ルーブ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 28.08.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 28.08.2023

日本語訳:

ロシアが予定していた「合同戦略演習(JSE)」であり、また、軍の年間訓練の集大成として意図された主要年次行事でもあるザーパド23演習(ザーパドは「西」の意)を、同国が中止しようとしている可能性は極めて高い。なお、この演習は2023年9月に行われるはずのものであった。

2010年以降、ロシアは国内において4年周期で順番に場所をかえてJSEを実施してきた。だが、2021年以降、ロシアは

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 27.08.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 27.08.2023

日本語訳:

黒海における緊張の高まりが収まらないなか、クリミアとオデーサの間にある戦略的に重要なガス・石油採掘施設付近で、海軍と空軍の間で小さな戦闘が起きている。先週、1機のロシア軍戦闘用航空機が、黒海北西部の採掘施設付近で活動していたウクライナ軍小型艇に向けて発砲した。

これらの採掘施設はチェルノモルネフテガズ社によって運営されており、同社は2014年のクリミア併合に際、ロシアのクリミア占領

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 26.08.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 26.08.2023

日本語訳:

ウクライナ軍の反転攻勢によって、バフムートとウクライナ南部のロシア軍は圧迫されている。そうであるにも関わらず、ロシア西部部隊集団は北東部のクプヤンシク〜リマン地域で、小規模な攻撃を継続的に実施しており、場所によっては局地的に小さく前進できている。

南部でウクライナが徐々にだが領土奪還を続けるなか、ロシア軍のドクトリンを踏まえると、ロシアが作戦レベルの攻勢を南部以外の地域で再び仕掛け

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 25.08.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 25.08.2023

日本語訳:

2023年8月23日、この日はまさにワグネル・グループの反乱から2カ月後になるのだが、この日にワグネル所有のエンブラエル・ビジネスジェット機がモスクワとサンクト・ペテルブルクの間にあるトベリ付近に墜落した。ロシア当局は乗員乗客10名が死亡したと主張しており、そのなかにはワグネルのオーナーであるエフゲニー・プリゴジンが含まれている。プリゴジンが乗っていたことを示す決定的な証拠はまだなく

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 24.08.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 24.08.2023

日本語訳:

⚪︎2023年8月19日、ウラジーミル・プーチン大統領はまれなことであるが、ロストフ・ナ・ドヌーにある南部軍管区司令部を訪問した。この司令部は前線から約160km離れた場所にある。

この司令部に、ウクライナでの戦争を指揮している要員が入っている。

プーチンは高級将校との会議を開いたが、その参加者には参謀総長ワレリー・ゲラシモフ将軍も含まれていた。なお、ゲラシモフは現在もウクライナ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 23.08.2022

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 23.08.2022

日本語訳:

2023年8月中旬時点で、ウクライナ南部とロシア占領下クリミアの境界地域にあるチョンハルとヘニチェシクの両渡河地点において、ロシア軍はポンツーン橋(浮橋)を展開中のままだった。両地点で恒久的に架かっていた橋は、2023年8月上旬のウクライナ軍による精密誘導攻撃で被った損傷から未だに復旧していない。

ポンツーン橋(浮橋)が弾薬や兵器を前線に運ぶ重量車の交通を問題なく持続的に支えられる

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 22.08.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 22.08.2023

日本語訳:

2023年8月19日にロシア遠距離航空隊(LRA)のTu-22M3バックファイア中型爆撃機が1機、ノヴゴロド州のソルツィ2空軍基地で破壊された可能性は極めて高い。なお、この基地はウクライナとの国境から650km離れた場所にある。ロシア国防省の発表によると、ヘリコプター型UAV(無人航空機)1機がこの攻撃を行ったとのことだ。

この発表が事実だとしたら、ロシアの軍事目標に対するUAV攻

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 21.08.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 21.08.2023

日本語訳:

戦時下の現実に直面して、ロシアは自軍組織の拡張を進めている。新たな部隊編制が一つつくられている可能性は極めて高い。それは第18諸兵科連合軍(18 CAA)である。

この部隊は現在ヘルソン州で任務に就いている既存編制下部隊以外の部隊を統合・強化したものである可能性が高く、そこには第22軍団も含まれている。この第22軍団は普段、占領下クリミアのロシア軍駐留軍として配置されている部隊であ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 20.08.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 20.08.2023

日本語訳:

ロシア航空宇宙軍(VKS)の指導部に、ロシア西部の防空を改善せよという強い圧力がかかっている可能性は極めて大きい。ここ最近の数カ月、脅威はロシア国内に十分浸透しており、その範囲は拡大しつつある。戦線後方にあるロシア国内への攻撃は戦略的に重要だ。なぜなら、ウクライナ侵略はロシア国民に対して直接的な影響をほとんど及ぼさないという仮定のもとで、プーチン大統領が侵略に着手したのはほぼ間違いな

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 19.08.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 19.08.2023

日本語訳:

この1週間、戦線の大部分であまり動きがないままだ。だが、南部でウクライナ軍はモクリ・ヤリ川の流れに沿って進撃を続けており、頑強なロシア軍の抵抗に直面しつつもウロジャイネという村落の確保に成功した。

北部において、ロシア軍はクプヤンシク地区での威力偵察を続けているが、大きな前進には至っていない。

戦線全域で両軍は同じような難題に直面している。その難題とは、入念に整えられた塹壕にこも

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 18.08.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 18.08.2023

日本語訳:

2023年8月15日、ロシア大統領府第1副長官セルゲイ・キリエンコはロシア占領下ウクライナ東部のドネツィクへ出向き、学校を訪問し、同地の学校がロシアの教育制度に組み込まれているかどうかの確認を行った。

ザポリージャ州の占領統治機関には、教育機関を許認可する際の新基準の導入に関する指示がロシアから与えられた。また、ロシア出身のジャーナリストも、被占領地域にある報道機関で雇用されている

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