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【和訳その他】戦争・軍事・安全保障

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戦争・軍事・安全保障に関する各種英文情報の日本語訳や紹介、内容要約
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2023年8月の記事一覧

【SNS投稿和訳】2023.08.30 ウクライナ軍のヴェルボヴェ方向へ進撃(Emil Kastehelmi氏)

【SNS投稿和訳】2023.08.30 ウクライナ軍のヴェルボヴェ方向へ進撃(Emil Kastehelmi氏)

上記のSNS投稿は、ザポリージャ州西部ロボチネ方面でのウクライナ軍の動向を簡潔に解説したものになります。投稿者のEmil Kastehelmi氏はフィンランドのOSINTアナリスト・軍事史家です。この連続投稿の「1〜6」の日本語訳を、以下に示していきます。

日本語訳:

ヴェルボヴェに向かってウクライナ軍は、スロヴィキン線として知られているロシア軍第1主防衛線を突破しつつある。

この村落はロシ

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【SNS投稿和訳】ウクライナ南部ロボチネ方面:今後の戦術展開(Emi Kastehelmi氏)

【SNS投稿和訳】ウクライナ南部ロボチネ方面:今後の戦術展開(Emi Kastehelmi氏)

上記リンクは、フィンランドのOSINTアナリスト・軍事史家Emi Kastehelmi氏(@emilkastehelmi)によるX投稿(日本時間2023年8月28日04:23)で、ウクライナ南部ロボチネ方面の今後の戦況分析がその内容になります。以下は、この連続投稿の「1〜18」箇所を日本語に訳したものになります。なお、画像は原文からの転載になります。

日本語訳:

ロボチネ地区でウクライナ攻勢は

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【SNS投稿和訳】戦線後方攻撃とその費用対効果(@Tatarigami_UA氏)

【SNS投稿和訳】戦線後方攻撃とその費用対効果(@Tatarigami_UA氏)

以下のXでの投稿で、ウクライナ軍予備役将校の@Tatarigami_UA氏が軍施設攻撃の目標設定と投入兵器の費用対効果に関する問題を解説しています。ウクライナが使用できる長距離兵器の数に限界があることが招く課題が浮き彫りにされています。

日本語訳:

この戦争が今や1年半を超えて続いていくなか、費用対効果の問題がよりいっそう重要になっている。ザポリージャ州ヤキミウカに位置するロシア軍兵站施設を例

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【SNS投稿和訳】ロシアの対戦車地雷PTKM-1Rは“奇跡の兵器”なのか?(@Tatarigami_UA氏)

【SNS投稿和訳】ロシアの対戦車地雷PTKM-1Rは“奇跡の兵器”なのか?(@Tatarigami_UA氏)

上記のXスレッド投稿の日本語訳:

「PTKM-1R」という名称で知られているロシアの「奇跡の兵器(wunderwaffe)」地雷をざっと検討する。この地雷は、車両の上部に突っ込んでくる対戦車地雷だ。このスレッドでは、ロシア人が絶賛売り込み中のこの地雷を取り上げ、その有効性と幅広く使われているという噂を検証していきたい。

この地雷のメカニズムはかなり複雑なものだが、その起動プロセスはそれに比べて

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【SNS投稿和訳】後退戦で守備側が抱える戦術上のリスク(@DefMon3氏)

【SNS投稿和訳】後退戦で守備側が抱える戦術上のリスク(@DefMon3氏)

以下のX投稿(日本時間2023.08.22, 05:21)は、多層構造化された防御網内で守備側が後退する際のリスクを@DefMon3氏が解説したものです。このスレッド投稿を日本語に訳していきます。なお、訳文中の[ ]内の記述は、訳者による補足説明になります。

日本語訳:

ロシア軍はスロヴィキン・ライン[*注:ロシア軍の主防衛線群のこと]へと押し戻されていく際に損害を被ることになるだろう。

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【SNS投稿和訳】ドローンを使った地雷探知(@Tatarigami_UA氏)

【SNS投稿和訳】ドローンを使った地雷探知(@Tatarigami_UA氏)

ウクライナ予備役将校の@Tatarigami_UA氏が、ドローンの赤外線カメラ画像を活用した地雷探知に関して、X投稿で解説しています。以下は、その投稿内容の日本語訳になります。

日本語訳:

現在、ドローンを活用した地雷探知について意見が交わせれており、その議論は広がりをみせているが、赤外線画像使用の実用性についての問題も幾つか生じている。このスレッドで私は、このテーマに特化したマニュアルを参照

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【記事紹介】“米国情報関係者は指摘する。ウクライナは主要作戦目標を達成できないだろう”(ワシントン・ポスト紙 2023.08.17)

【記事紹介】“米国情報関係者は指摘する。ウクライナは主要作戦目標を達成できないだろう”(ワシントン・ポスト紙 2023.08.17)

8月17日付ワシントン・ポスト紙の記事によると、米国当局者は、ウクライナ軍が現在の攻勢でマリウポリを落とすのは極めて困難だと判断しているとのことだ。

その主たる理由は、ウクライナ軍が重点(Schwerpunkt)形成に失敗した点にあると米側はみている。

ウクライナが攻勢前に米英と合同で行った図演において、ロシア軍防衛網の突破に際してウクライナ側に相応の損失が生じることが予見されたが、ウクライナ

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【SNS投稿和訳】ロシアの戦車改修工場(@Tatarigami_UA氏)

【SNS投稿和訳】ロシアの戦車改修工場(@Tatarigami_UA氏)

戦時下において敵の生産能力を判断することは、それがしばしば秘密のベールに包まれていることもあって、難しい作業だ。以前約束したように、今日の主題は、BTRZ-103(装甲車両修理工場)でのおおまかな製造数を知ることにあるが、そのために衛星画像分析とOSINTを活用していく。

具体的な内容に入る前に、BTRZ-103工場の役割を明確にしておこう。ロシア東部のチタ付近に位置するこの施設は、車両の修理と

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【報告書紹介】コンラッド・ムジカ氏のウクライナ戦況週報(Ukarine Conflict Monitor - Aug. 05-11, 2023)。

【報告書紹介】コンラッド・ムジカ氏のウクライナ戦況週報(Ukarine Conflict Monitor - Aug. 05-11, 2023)。

ロチャン・コンサルティングのコンラッド・ムジカ氏によるウクライナ戦況評価報告は、週報という形態をとっていることから、一週間というスパンで戦況の「流れ」を振り返ることができる報告書として重宝しています。また、ウクライナにとって厳しい内容もしっかり指摘するという特徴もあり、その面でも参考になります。なお、「ウクライナにとって厳しい内容」というのは、親露プロパガンダ的という意味ではなく、軍事評価分析上、

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【SNS投稿和訳】長距離兵器がロシア軍に及ぼす影響(@Tatarigami_UA氏)

【SNS投稿和訳】長距離兵器がロシア軍に及ぼす影響(@Tatarigami_UA氏)

我々の部隊[=ウクライナ軍]がヘルソンを解放し、ドニプロ川へと前進した際、ロシア軍は装備、ヘリコプター、指揮統制施設をHIMARSの射程範囲外に分散移転した。なぜこのことが重要なのか? この状況から何が学べるのか?

それを示す例として、以下の編集した衛星画像が、ヘニチェシクの南に新基地が構築されたことを明らかにしている。ここの建設は11月頃に始まったのだが、それは我々の軍によるヘルソン解放とロシ

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【SNS投稿和訳】“ロシア軍の地雷埋設例”(@Tatarigami_UA氏)

【SNS投稿和訳】“ロシア軍の地雷埋設例”(@Tatarigami_UA氏)

現在進行中の反転攻勢の結果、地雷原と地雷に関して最近、注目が集まっていることを考え、地雷埋設の代表的な例を図示することにした。実際の状況を示した資料を共有することはできないので、その特徴を伝えるのに相応しい図例を示すことにする。

この場合、地雷原の配置は地形上の特徴に応じて決められている。地形上の特徴とは、水域、道路、集落といったもののことだ。地雷原には二つのカテゴリーがあることに注意しておくこ

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【SNS投稿和訳】“ワグネルを正しく理解する”(@Tatarigami_UA氏)

【SNS投稿和訳】“ワグネルを正しく理解する”(@Tatarigami_UA氏)

西アフリカにおける最近の動向と、ニジェールでワグネル・グループがはっきりと関心を示していることをみると、ワグネルの実際の能力とその戦略面でのアプローチを正しく理解することは、極めて重要である。

ワグネル・グループは軍事政権を支援し、ジェノサイド行為に加担しており、アフリカにおける本当の意味での安全保障上の懸念になっていることは間違いないが、ワグネル自体の軍事的能力は実に限られたものだ。

多くの

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【SNS和訳】ウクライナの次の冬:最悪の事態に備えよ(@Tatarigami_UA氏)

【SNS和訳】ウクライナの次の冬:最悪の事態に備えよ(@Tatarigami_UA氏)

私は幾つかの次の冬に起こりうるリスクを検討し、そのリスクを緩和させる方策を探っていくつもりだ。本質的に重要なことなので強調しておきたいのだが、ここで示す観点は公開情報とその分析に基づいており、内部情報によるものではない。そのように考えておいてほしい。

両陣営ともに現在、航空優勢を確保しておらず、攻撃能力も限られているため、南部と東部の両地域おいて私たちは消耗戦の状態に戻されている。この戦争では火

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【SNS投稿和訳】ルハンシク州内のロシア軍ヘリ基地映像分析(@Tatarigami_UA氏)

【SNS投稿和訳】ルハンシク州内のロシア軍ヘリ基地映像分析(@Tatarigami_UA氏)

私が提示する衛星画像は、ウクライナの長距離交戦能力の必要性を浮き彫りにする新たな証拠を示すものだ。今回の分析はルハンシク空港に焦点をあてており、ここは前線から100km以上後方に位置し、ロシア軍のヘリコプター基地として運用されている。

2014年以降、この空港は使われていなかった。だが最近になってロシア軍は、ここをドネツィク・ルハンシク両州で任務に就くヘリコプターの基地として再活用している。平均

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