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【SNS投稿和訳】ロシアの戦車改修工場(@Tatarigami_UA氏)

以下は、ウクライナ軍予備役将校@Tatarigami_UA氏のX投稿(2023年8月15日03:12)の日本語訳になります。


戦時下において敵の生産能力を判断することは、それがしばしば秘密のベールに包まれていることもあって、難しい作業だ。以前約束したように、今日の主題は、BTRZ-103(装甲車両修理工場)でのおおまかな製造数を知ることにあるが、そのために衛星画像分析とOSINTを活用していく。

具体的な内容に入る前に、BTRZ-103工場の役割を明確にしておこう。ロシア東部のチタ付近に位置するこの施設は、車両の修理と近代化改修に特化した工場だ。ここが現在力を入れているのが、T-62戦車、BRDM偵察戦闘車、BMP歩兵戦闘車の近代化改修である。

T-62戦車は完全にばらばらにされ、エンジン交換を行い、錆を除去し、配線・火器管制・照準装置を新しいものにし、爆発反応装甲を付与した向上型装甲に置きかえられる。BTRZ-103工場が取り交わした契約では、3年間で800両のT-62戦車の近代化改修を行うことになっている。

4月中旬と6月末の衛星画像によって、最近近代化改修された戦車が11両と17両それぞれ別に確認できた。戦車が改修されたことは、明らかな見た目の違いと濃い目の塗装から明らかであって、ほかの車両の色褪せた塗装から細かな点で区別可能だ。

廃棄車両置き場の大部分は、比較的手がつけられていないようにみえ、そのことから多くの車両は状態が悪く、最後の最後に使う保管分用であるか、修理不能とみなされているかのいずれかであることが示唆される。これは、最新の衛星画像と10年近く前の写真によって裏付けられている。

車両を工場内に移し直したとしても、そのすべてを近代化改修するつもりはないようで、工場労働者への取材によって、修理可能かどうかの見込みの判断、または部品取り用の使う可能性に関する判断がなされていることが明らかになっている。

グルレフ[注:ロシア下院議員アンドレイ・グルレフか?]の以前の発言を踏まえて、2カ月間の差分を示した入手可能な衛星画像と工場内を映した動画を組み合わせてみると、製造数の幅は、控えめにみて1カ月で戦車7両、もっとあまく見積もった場合は1カ月で17両というのが、私の評価分析になる。

このひと月あたり戦車7〜17両という見積から、一定範囲の不確実さは伴うが、製造規模のおおまかな状況を示すことができる。この状況は、ひと月あたり16両というロシアの目標を下回っている。つまり3年間で576両ということになり、要求されている800両を下回る。

この工場がロシアで唯一の修理・近代化改修拠点というわけではないということに言及しておくことは重要だ。ほかの工場やBTRZの施設(56、61、81、103、144、153)が存在する。けれども、それらの製造規模はさらに小さい可能性があるようだ。

爆発反応装甲をつけたにも関わらず、T-62の装甲は現代の対戦車兵器に対して依然として脆弱なままだ。そうであっても、間接射撃支援の提供という点で、そして、前進もしくは第二防衛線の迂回を試みる機動部隊にかなりの難題を与えるという点で、これらの戦車は有用性を保っている。

我々のロシア戦車破壊数が現状、ロシア側の修理・生産能力を上回っていることは注目に値する。それでも、ロシアの修理・生産力という脅威は、我々の部隊にずっとまとわりついており、限られたリソースしかない部隊にとってはなおさらである。ウクライナ支援の持続は、破壊数が上回るというトレンドの維持にとって死活的に重要だ。

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