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【SNS投稿和訳】“ワグネルを正しく理解する”(@Tatarigami_UA氏)

以下は、ウクライナ軍予備役将校@Tatarigami_UA氏のSNS投稿(日本時間2023.08.10, 03:26)を日本語に翻訳したものになります。


西アフリカにおける最近の動向と、ニジェールでワグネル・グループがはっきりと関心を示していることをみると、ワグネルの実際の能力とその戦略面でのアプローチを正しく理解することは、極めて重要である。

ワグネル・グループは軍事政権を支援し、ジェノサイド行為に加担しており、アフリカにおける本当の意味での安全保障上の懸念になっていることは間違いないが、ワグネル自体の軍事的能力は実に限られたものだ。

多くの軍事専門家と政治専門家にワグネルは知られていたが、ワグネルが本当に国際的な知名度を上げたのは、バフムートへの強襲攻撃を通してであり、その攻撃は、プーチンに対して自身の私兵がロシア国防省よりも有効な戦力であることを示そうとするプリゴジンの個人的な野心であった。

現実には、ワグネルのバフムート戦への取り組み方は、主に動員された受刑者兵と重砲に依存しており、その重砲は国防省から直接供与されたものがほとんどだった。その戦略方針は単純なものだ。

砲兵火力を投入して、防御側が撤退せざるを得なくなるまで建物を完全に破壊し、そのあとに強襲グループが瓦礫を占領する。そういう戦略だった。このアプローチをとってさえ、ワグネル・グループは致命的といえるほどの数の一般戦闘要員の死傷者を出し、今後、さらに大規模な攻撃作戦を行うのに必要なリソースを激減させた。

アフリカにおけるワグネルの活動に関していえば、ウクライナでの作戦と比べて、その戦力はもっと小さく、火砲装備も欠いている。ワグネルが重点を置いているのは、体制を守ること、資産保全、訓練、反乱鎮圧であって、相当規模の軍事力を展開することではない。

自らの宣伝のために、ワグネル・グループはラジオ、SNSを積極的に活用し、プロパガンダ映画でさえ数本制作したこともあり、そのなかで注目すべき一本が中央アフリカで撮られたものだ。その映画においてワグネル部隊は、英雄的なストーリーのなかで、フランスに支援された血に飢えた反乱勢力を食い止めるという役柄で描かれている。

ワグネルがその地域の安全保障に与える衝撃は取るに足らない程度のものだが、メディア報道はワグネルを実態以上に有能なものとして売り込んでいる。実際のワグネルは、伝統的な軍隊というよりも、軍事化された犯罪組織と描写したほうがより事実に近い。

このことは、ワグネルは脅威ではないということを示唆しているのか?

いいえ、それは違う。ワグネルは体制側の軍隊を支える目的での大量殺戮のような犯罪に関与し続けており、それはマリとシリアで目撃されている。ワグネルは現地住民から資産を搾取し、ビジネスを乗っ取ることもよく行っている。その代わりにワグネルが提供しているのは、実にお粗末なレベルの治安だ。

ワグネルはまた、西ヨーロッパ、アジア、アフリカの政治家の一部とのネットワーク構築と協力関係の構築に、苦心しつつも成功している。今後、私はこのような協働態勢と協力関係、そしてワグネルとこれら政治家たちの腐敗した影響力に関する文書証拠資料を明らかにしていくつもりだ。

要するにワグネルの脅威はリアルなものだが、ワグネルの軍事的能力に関しては過大に扱われている。モザンビークがよい例で、そこでワグネルは十分な治安面での約束を果たせず、屈辱的な撤退という結果に終わった。メディアと専門家は、ワグネルを有能な軍隊として宣伝してしまうことを避けるべきだ。

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