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人生はボーナスタイムであることの導出

休日出勤の後に散歩をしていてふと、もっと人生を楽しまないと損だよなと思ったので、皆さんにもシェアをさせていただこうと思う。
特に、何のために生きているのかわからないと悩んでいる人・何かでずっと追い詰められていてつらい人に読んでほしいかもしれない。

なお、途中に進撃の巨人のコマも登場するが、著作権とかなんかまずかったらご教示いただきたい。

人生に目的はない

自分の人生の目的を見つけていることは素晴らしいことだが、ここではそのさらにメタ的な部分に目を向けて、まずは人生に目的はないということを説明したい。
念押しするが、人生の目的を自分で見いだせている人を否定する意図は全くない。

Vehicle of gene(遺伝子の乗り物)

「生きる目的は何か」「人はなぜ生きるのか」といったことは誰しも一度は考えたことがあるかもしれない。しかし今私たちが意識的に行っている(と思っている)生命活動は化学的安定性同士の戦いの成れの果てである。
以下はWikipediaの引用であるが、かの有名なリチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」を読んでほしい。洋書にありがちなやたらと分厚い本だが、最初のいくつかの章を読むだけでも十分面白い。

現代の進化生物学の考えでは、かつて30~40億年前の海洋──原始のスープ──において、分子レベルの化学反応が数億年かけて繰り返される中で、自らを複製する分子──すなわち、自己複製子としての分子──が偶然現れた[15]。自己複製子の内、淘汰を免れて化学的な外被をまとった分子が、現代生物学では遺伝子と呼ばれている[16][注釈 2]

自己複製子が行う自己複製は完璧ではなく、誤りが発生することがある[18]。特に発生当初の未発達な自己複製子は、今よりも誤りが多かったと考えられている[19]。「原始のスープ」において、不正確な複製をされて変異した分子は、オリジナルより自己複製しにくい仕組みを持つ分子もあり得たし、しやすい仕組みを持つ分子もあり得た[19]。そうして分子がさらに増えていくと、分子を構成する資源をめぐって、分子同士の物理的な競争(であるかのように見える行動)が発生した[20]。(もちろん、分子に感情や知能は無い[21]。)

結果的には、より自己複製に有利な行動をする分子ほど、より自己複製しやすく存続しやすい[22]。そのため、自己複製のための自己維持に有利な仕組み──外界から身を守る化学的な(タンパク質の)外被──をまとった分子が現れると、この分子はさらに自己複製していった[22]。現代では、この分子を覆う仕組みが生存機械の、つまり生物の始まりであると考えられている

Wikipediaより抜粋
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%A9%E5%B7%B1%E7%9A%84%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90#%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90%E3%81%A8%E7%94%9F%E5%AD%98%E6%A9%9F%E6%A2%B0%EF%BC%88%E4%B9%97%E3%82%8A%E7%89%A9%EF%BC%89%E3%81%AE%E8%B5%B7%E6%BA%90

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さて、これを踏まえて少し考えを進めてみる。私たちは普段様々な感情を感じる。「XXしたい」「XXしたくない」「XXで嬉しい」「XXでつらい」。これらは私たち自身の内から沸き起こってきた感情であるかのように感じるが、「XXな状況でXXだと感じる遺伝子が勝ち残ってきた」というだけに過ぎない。
また私たちの多くは「お金が欲しい」「モテたい」「甘いものが食べたい」など様々な欲望を持つが、これも「そのように感じて行動する遺伝子が勝ち残ってきた」というだけに過ぎない。
私たちは数10億年前に始まった化学的安定性の闘いを、知能を用いた高度な次元で続けさせられているだけなのである。
そう考えると、「生きる」「死ぬ」という言葉は抽象的すぎるため別の定義を用意したくなってくるが、本筋には関係ないのでここでは話さない。

生物学的目的すらないのかもしれない

さて、人間の目的を考えるときに「生存と生殖だ」とか、少し進んで「遺伝子を残すことだ」とかいった意見が出ることもある。
しかし先ほどの話を考えてみると、遺伝子は「残す」ものではなく「残る」ものなのである。もう少し正確に言うと、「時代に合わせて遺伝子が残りやすい(生殖しやすい)」行動をとった個体の持つ遺伝子がこれまで残ってきて、またこれからも残るというだけであり、そういった行動をとることは別に目的ではない。これまでそういう行動をとっていた遺伝子が残ってきたという事実が、目的にはならない。

繰り返しになるが、私たちは数10億年前に始まった化学的安定性の闘いの延長戦をさせられているだけで、そこに目的はない。
つまり私たちの人生に目的はない。

余談だが進撃の巨人の終盤で、ジークが語っているこの一面は、利己的な遺伝子の話に基づいているのでは?とちょっと思っている。

©諫山創 進撃の巨人 137話


©諫山創 進撃の巨人 137話

手に入れた報酬系

人生に目的がないことは前の節で説明した。
私たちは私たちを自分自身だと考えるが、実際は遺伝子の乗り物・外を覆っている膜に過ぎない。遺伝子が本体と考えるのが妥当だろう。私たちは遺伝子が残りやすいように考え、行動する。

段々と遺伝子に利用されている気分になって不快にも思えてくるが、この進化の過程で私たちは素晴らしいおもちゃを手に入れたと言えるのではないだろうか?
それが報酬系である。
タンパク質や塩・糖分などを摂取した時に感じる幸福感、友人や恋人と楽しく過ごしている時の幸福感、穏やかな日差しを浴びている時の爽快感。逆にケガをした時の痛み、のどの渇きや空腹時の不快感。これらは私たちが遺伝子を残すうえで有利に行動するために獲得してきた報酬系というシステムで実現されている。

ボーナスタイムを味わい尽くそう

否応なく安定性の闘いをさせられている人生だが、せっかくなら遺伝子に利用されるだけでなく、利用してやろう。
報酬系を使って、存分に人生を味わい尽くすのである。

さて、基本的に報酬は脳内の快楽物質を通じて与えられる。
3大脳内快楽物質と言えばドーパミン・セロトニン・オキシトシンである。
これらは脳内麻薬ともいわれ、人間の幸福に大きく関係している。

人生を味わい尽くすにはどういった戦略を取るのが適切だろうか?
答えは簡単で、せっかくの報酬系を壊さないように、長期的に有効活用し続けることである。
つまり麻薬などで一時的に急激な幸福感を得て、報酬系を壊してしまえば、トータルで見ると損である。糖分の摂取やインターネットポルノなども、程度を間違えれば中期・長期的には損害になってしまう。

大事なのは毎日健全な範囲で快楽物質を得ることである。
朝は外を散歩して日差しを浴びてセロトニンを出そう。家族や友人と良好な関係を築き、オキシトシンを出そう。小さな達成感を積んで、ドーパミンを出そう。

「何を当たり前な」と思ったかもしれない。しかし伝えたいことは「人生に目的はないが、あなたの報酬系は大事にしよう」ということである。もしあなたが仕事や人間関係などで追い詰められているのなら、報酬系が壊れる前に場所を移ろう。
そういったケースでは、多くの場合あなたがそこにいるのは、究極的には遺伝子を残すためだろう。そして「遺伝子を残す」ということが目的にはなりえないことは先ほど説明した。
あなたはあなたの大事なおもちゃである報酬系を大事にした方が良い。

最後にまた余談だが、先ほどの進撃の巨人の話の後に出てくるこれは報酬系の話と言えるかもしれない。進撃の巨人、めっちゃ面白かったね。

©諫山創 進撃の巨人 137話

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