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人間の堕落を理解すること
ここ一か月ほど坂口安吾という人の文章を、ちょびちょびとだが読んでいる。最も印象に残ったのが「特攻隊に捧ぐ」という文章での、次の一節。
「戦争は呪うべし、憎むべし。再び犯すべからず。その戦争の中で、然し、特攻隊はともかく可憐な花であったと私は思う。」
終戦から2年が経った1947年に、この文章は書かれている。戦争を知らない我々世代による適当な放言ならばともかく、戦争を知る文学者による真面目で、
不良少年はキリストの夢を見る
昨日母親と一緒に叔母のスナックに行き3人でいつも通りの昔話や最近読んだ漫画の話、そして死刑制度に賛成か反対かという謎の話で盛り上がった後、カラオケで尾崎豊の歌を4曲歌った。最初「15の夜」を歌い、つぎに「ダンスホール」を歌った。しばらく休んでから「LOVE WAY」を歌い、最後に「太陽の破片」を歌った。尾崎の歌詞をなぞり、うめくようなかすれ声を出すたびにいつも、私は苦しい。だがこれは、忘れてはな
もっとみるケチャップみたく、ポリコレ
中学の野球部連中で一人だけ公務員になったやつがいて、そいついわく俺は中学の時点で「お前は公務員になると思われる」と本人に向かって、予言を放っておったらしい。覚えてねえけど。そん時もいまも公務員とは何ぞや、という感じではあるのだが、おそらくは公務員という言葉のまわりを勝手にうろついていたイメージたちが時間をかけてそいつの性格とバッチリ符号し、さきほどの予言が、導き出されたのだと思う。
しかし、公
子ども的ー大人的二重体
最近になって私は「喋っている自分」よりも「書いている自分」のほうが好きなのだと気づいた。好きなだけで得意だとはまったく思わない。それが不思議。
大学生の頃から紙のノートに、読んだ本の感想や今日あった出来事を書く習慣があったはあったのだが、それらはとりとめもなく断片的に、書かれることが多かったように思う。理由はたぶん単純に、書いていると手が疲れてくるから。頭が疲れるよりも先に手が疲れてくる。定期
言葉の人であればあるほど
平均して2週間に1回祖父母の家に行って、畑作業の手伝いをしている。厳密には、手伝いとは言えないかもしれない。役に立てていないから。器用なことはできず、力作業がほとんど。それでも、良い。頭をからっぽにして、ただただ体を動かすことだけに集中すること、いや集中することすらも頭の外に放り出して、なにかの「モノ」へ、なにかの「カタチ」へ、自分をつくりかえていくこと、あるいはつくりかえることより前にあったは
もっとみる共に生きているはずの私たち
とある年上の知人に「スナックでお金を落とすのは社会貢献ですよ」と言われたことがある。何を言っているのかよく分からなかったので「ほお?」みたいなとぼけた顔をしているとその人は続けて次のように言った。
「だってスナックで働く人にはシングルマザーの人とか、家が貧乏でまともな教育を受けられなかったような人が多いでしょう。でも彼女らはスナックで働くことで、ふつうの企業では考えられないような高い給料をもら
存在しない主体のデザイン
ちょうど1年前、私は職場で「ライフプランナー」、通称「LP」と呼ばれる業務を担当していた。「ファイナンシャルプランナー」、通称「FP」と呼ばれる資格試験の2級に、わりと早めに合格したことから、たったそれだけのことから、「コイツにはライフプランナーの適性がある」と当時の上司に判断され、任されるに至った。人手不足とは、かくも恐ろしいものなのだと思った。
私には、たとえ実感としてまったく理解できない
売られた喧嘩を買ったまで
去年の年末と今年の年始、たてつづけに人と会い、お酒を飲み、その中にはろくな睡眠がとれなかった日も含まれており、その結果、すべて自分のせいではあるのだが、2024年が始まった直後のある日、私の心と体は一日中、完全おやすみ充電モードへと、突入することになった。
こういう時に私がとる行動パターンの中の1つに海外ドラマの24を観るというものがある。合計で8つのシーズンから成り、そのうちいくつかのシーズ