僕がいいかげんでいられる理由。
先日、彼女と彼女の弟くんと宅飲みをしていた。
そのときに、気になる話題に行き当たる。
それはお互いの両親の話だ。
彼女と彼女の弟くんの両親は、父親が恐いらしく、折に触れていろんなエピソードを聞く。
よく物にあたったとか、家の外に何度か放り出されたとか。
逆に母親は、優しかったらしい。
それを聞いて、我が家のことを考えた。
父は厳しく、母は面倒見がいい。
うちの場合はそんな感じだった。
まず父が叱り、母が『なぜ僕が叱られているか』を解説する。みたいなイメージ。
こういうのは、どちらかがどちらかの役割を演じることになるのだろう、という話にもなった。
例えば母親の方が、怒りっぽい性格をしていれば、父親が「まあまあ」となだめる役回りになるだろうし、逆もまた然りだ。
怒っている人が目の前にいれば、逆の立場をとりたくなるというのが、人情というものだろう。
そうして無意識に、バランスをとってしまうのかもしれない。
最近、彼女と僕のあいだでもその法則が適応されている気がする。
僕の彼女は、真面目な性格をしている。
真面目すぎて、ボケてもツッコミが返ってこないときがある。
冗談一つ、とってもそう。
それを真正面から受け止め、少し考えて「それって、どういうこと?」とか「いや、それは違うんじゃない?」と、真正面に投げ返してくる。
それが彼女の魅力のひとつなんだけど。
仮に僕が「宇宙人って、どんなダンスを踊るのかな?」みたいな、なんのひねりもない、くだらない質問をしても、少なくとも五分くらいは真剣につきあってくれると思う。
このまえ散歩していたときも、こういうことがあった。
「『土踏まずで蟻踏めず』ってことわざ思いついたんだけど、どういう意味だと思う?」
我ながら雑なフリ。
彼女はうーん、と唸って、黙り込んでしまった。
「人には向き不向きがあって、どんなに努力してもできないことはあるよ、って意味かな」
僕が自分で生み出したことわざを忘れかけたころ、彼女はそんな素晴らしい答えをくれた。
僕のような、いいかげんな人間とは大違いだ。
けど彼女がそうであるがゆえに僕は全力で、いいかげんに、変なことを言ったりもできるのかもしれない。
真面目な人がいると、ふざけたくなるのかも。
「肩の力ぬこうよ」という感じで。
とりあえず今は、そういう関係が心地良いと感じる。
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