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エピソード魔法の歴史―黒魔術と白魔術


エピソード魔法の歴史―黒魔術と白魔術

 西洋の魔術について知りたいなら、まず、本書を読むことをお勧めします(^^)
 手品という意味の魔術ではありませんよ。ファンタジーに登場する「魔法」のことです。

 西洋(ヨーロッパ)の魔術、魔術師、錬金術、占い、魔女裁判、幽霊、怪物、妖精などについて、簡潔に、わかりやすく、解説されています。
 こういった怪しいものに関心があるけれど、知識がない初心者に、ぴったりだと思います(^^)

 ただ、本書の語り口が気にさわる方も、いるかも知れません。皮肉がきいていて、冷笑的だからです。

 本書の著者、ゲリー・ジェニングズ氏は、魔術に効果があるとは、まったく思っていません。占いも、当たるとは思っていません。
 それらは、目的を達成するには、完全に間違った技術だと考えています。

 この考えのため、魔術について書くと、冷笑的になってしまうのでしょう。

 では、なぜ、ジェニングズ氏は、本書を書いたのでしょうか?
 現代の若い人たち―主に、ハイティーン層―に向けて、魔術の間違いぶりを、指摘したかったからです。

 経験の少ない、若い人たちは、神秘的なものに惹きつけられ、惑わされやすいです。それを、ジェニングズ氏は、憂えたようです。

 それでも、ジェニングズ氏は、魔術を生んだ、人間の豊かな想像力までは、否定していません。

 原著は、一九六四年に出た本です。日本語訳は、一九七九年に出ました。
 時代が古いために、翻訳の文章には、現在とは違う言葉が使われている部分もあります。その点に、注意が必要です。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

I 魔術の誕生
 儀礼呪術のはじまり  儀礼呪術から個人的呪術へ  黒魔術の出現  
 模倣呪術と感染呪術  名前のタブー  魔術師の成功と失敗  魔術から宗教へ
 追われた神々

II 大魔術師たち
 魔術師の名称  伝説の魔術師  ローマ時代の魔術師   
 アーサー王の腹心マーリン  カバラのはじまり  ベーコンとアルベルツス
 教会と魔術師  哲人アグリッパ  ファウストの実像と虚像  ディーとケリー
 詐欺師カリオストロ  レヴィのエメラルド板  妖僧ラスプーチン

III 魔術師の仕事ぶり
 一寸法師の製造法  呪文のいろいろ  西洋版花咲じじい  マンダラゲの効用
 魔術に用いられた植物  記号とシンボル  五角形の神秘  魔術師の仕事場
 白魔術の処方例

IV 錬金術――魔術的科学
 錬金術とは  初期の錬金術師  錬金術の目的  教会の弾圧  錬金術師の本
 錬金術師の実験室  今も生きる錬金術

V 魔術と医学
 アルノーとウイスキー  魔術は原始医術  ギリシアの医師たち 
 教会は医術を禁じた  手の魔力  中世のくすり  宝石の魔力 
 魔術は真の医療を妨げた  メスメルと催眠術

VI 占い師たち
 占星術の誕生  王侯と占星術  生物による占い  光や音による占い
 神託と予言  夢占い、骨相学  手相術  筆跡学  カード占いとジプシー

VII 魔女の時代
 魔女を生んだ心理的基盤  悪魔との契約  魔力を私用に使う  魔力のいろいろ
 空を飛ぶ能力  魔女の集会  弾圧のはじまり  魔女の裁判  貴人と魔女
 狂気の終り

VIII 怪物と幽霊
 怪獣ドラゴン  神話の怪物  恐怖が生んだ怪物  誤解から生まれた怪物
 海の怪物たち  雪男とコッカトリス  人獣のいろいろ  吸血鬼バンパイア
 歩く死人ゾンビー  幽霊の特徴  消極的な幽霊  守護する幽霊
 復讐する幽霊  騒ぐポルターガイスト  現代のポルターガイスト

IX 小人――妖精たち
 飛行機に住む現代の妖精  各国の小人  アイルランドの妖精たち
 フェアリーのいろいろ  フェアリーの住みか  フェアリーと千里眼
 フェアリーの悪行  ゴブリンのいろいろ  金属とゴブリン

X 迷信――魔術の残りかす
 夜の恐怖と凶眼  現代の模倣呪術  お守りのいろいろ  宝石と石  木の崇拝
 魔神を撃退する  クシャミと迷信  死の使者  由来のわからない迷信
 縁起のよい数七  数の迷信さまざま

訳者あとがき



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