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鑑賞

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noteや書籍の鑑賞文です
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記事一覧

『ルバイヤート』オマル・ハイヤーム

『ルバイヤート』オマル・ハイヤーム

ペルシアの詩人、ウマルの四行詩ルバイヤートを黒川恒男訳で読んだ(青空文庫に小川亮作訳がある)。この詩人は、同時代の数学者と混同されてきたようである。

詩集には、酌人である美しい若者や盃、酒壺などを詠んだものが多い。それは、宗派の定める戒律よりその実質的な徳や美観を重視するためであったと思う。この詩人は、悲しむ人や賢人、清らかな人たちへ酒を飲もうと呼びかける。その手にある盃は、以前は人であった土か

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“all cats have asperger syndrome” KATHY HOOPMANN

“all cats have asperger syndrome” KATHY HOOPMANN

荷物を整理している最中、以前に図書館で見つけた本『all cats have asperger syndrome』和訳すると”全ての猫はアスペルガー症候群”を読み返しました。全ての頁に猫の写真が載っているため、当時は何となく眺めるようにして読んでいました。しかし、改めて読み返すと対人関係で見過ごされがちな発達障害に関しての理解や示唆に富んだ本でした。今まで助けを必要としている人がそばにいても気づか

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書評的日記。イスラム文化圏の思想に疎く、ごちゃ混ぜなものになってしまいました。これを機に調べて行けたらと思います。感想などありましたら是非よろしく

書評的日記(1) オルハン・パムク「僕の違和感」

書評的日記(1) オルハン・パムク「僕の違和感」

書評的な日記第一段。トルコの作家オルハン・パムクの「僕の違和感(上・下)」(宮下遼=訳, 早川書房, 2016)。読んだのは、確か2017年の冬頃であったと思う。冒頭は、主人公が娘と駆け落ちするところから始まる。ぱっと手にしたとき、叙事詩の約束-真ん中から語り始めよ-によって書かれているなと思い、胸を高鳴らせた。

叙事詩と述べたのは、トルコの歴史や民族をメヴルトという青年の生涯を通して描いている

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『俳句をちょっと』にて拙句を鑑賞していただきました

『俳句をちょっと』にて拙句を鑑賞していただきました

先日、つる 様の『俳句をちょっと(Ginga Otake さん編)』にて拙句を鑑賞していただきました。

鑑賞は、こちらです。

つる 様には、短歌作品の鑑賞をさせていただきました。

短歌鑑賞は、こちらです。

『俳句をちょっと』のシリーズは、つる 様が図書館で一冊の本を借りたことにはじまる俳人紹介の記事です。

語感に触れて、丈草の句を鑑賞されているのがとても勉強になりました。俳諧の魅力が伝わ

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色彩を食べる『ズッキュンズッキーニ』

色彩を食べる『ズッキュンズッキーニ』

今回は、geek 様の『ズッキュンズッキーニ』を作りました(記事はこちら)。

材料は、パプリカとズッキーニ、ニンニクです。それと、ボリューム感を出すため、じゃがいもを足しました。

それらをレシピどうりに炒めます。

カレーパウダーで味付けをして出来上がりました。

野菜がゴロゴロ入っていて美味しい。

カレーにのせ、夏野菜カレーとして食べました。土用の暑さを乗りきれそうです。

味よし見た目よ

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絵画のように『背景十首』鑑賞

絵画のように『背景十首』鑑賞

今回は、つる様の短歌作品『背景十首』を鑑賞します。(作品はこちら) 

 つる様には、先日拙句を紹介いただいております。(記事はこちら)

 つる様の文章は、とても丁寧に言葉や句の意味へ気を配られて読み、また詠まれてるといった印象です。短歌は、まるで絵画のように景色や心情が描かれています。今回は、絵画のように構図や色、息づかいを読みとろうと思います。

✳︎

つゆの田をななめにとびし鳥消へて

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虫眼鏡で観る世界〜『中谷宇吉郎の森羅万象帖』〜

虫眼鏡で観る世界〜『中谷宇吉郎の森羅万象帖』〜

初めての化学実験は、結晶をつくることでした。小学生のときみょうばんや氷砂糖、ハイポといった結晶をはじめ、フェルトと液体接着剤で人工雪を作ったりもしました。原子や元素という言葉を知ったのもその頃です。

 この本は、「雪は天からの贈り物」で知られる中谷宇吉郎の生涯を雪や火花放電の研究で撮られた写真からたどるものです。宇吉郎は、「天災は忘れた頃にやってくる」で有名な寺田寅彦の弟子でもあり、研究のほか随

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