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「繁忙期だけでも人を補って、仲居さんたちの負担を減らしたい!」【おてつたび/受入先インタビューvol.14】(長崎県壱岐市・ステラコート太安閣)

長崎県の壱岐島にあるホテル「ステラコート太安閣」。若女将の高尾亜弓さんは、生まれも育ちも壱岐の島。亜弓さんの祖父が創業したホテルを継ぎ、3代目として切り盛りしています。

壱岐島で生まれた高尾さん

壱岐島は福岡から高速船で約1時間のところにある、エメラルドグリーンの海に囲まれた自然豊かな島です。150もの神社があり、神々の宿る島として知られる壱岐。現在、ホテルの客室数は49室、従業員は47名で稼働しています。

2021年からおてつたびを利用し、これまで56名のおてつびと(おてつたび参加者)を受け入れてきた高尾さんに、サービス利用のきっかけやおてつたびの魅力についてお聞きしました。

おてつたびを利用したきっかけは?

壱岐島のテーマパークの代表に「おてつたびというサービスがあるよ」と教えていただいたのが始まりです。

どの地方もそうだと思いますが、壱岐島は少子高齢化が進み、働き手が不足するようになっています。都会のホテルでは学生さんがアルバイトとして戦力になっていると思いますが、島内には大学や専門学校がないため、学生のアルバイトがなかなか見つかりません

子育て世代の方は夜のシフトに入りにくいため、現場で働くのはリタイアした60代以上の女性がメインです。繁忙期は朝から晩まで忙しくて、どうしても彼女たちに無理をさせてしまっていました。

ステラコートで働くみなさん

「体力的に無理をさせたくない」「長く、楽しく働いてほしい……」と悩む中、繁忙期だけでも人を補って仲居さんたちの負担を減らしたい!と思い、おてつたびの利用を決めました。

おてつたびを利用する前に不安だったことは?

最初はダメ元みたいなスタンスでしたね。ハローワークで求人を出しても、1年間で一回も応募がないような状態だったので、都会の若い子たちがこんな田舎に来てくれるのか?と半信半疑でした。

でも、実際におてつたびで募集してみたら応募があったんです!来てくれた方の話を聞いてみると「この地域が好き」「来てみたかった」と言ってくれて、魅力を見出してくれていることに驚きました。

どんなお手伝いをしてもらっていますか?

おてつびとには、主にレストランでの配膳業務をお願いしています。オードブルの盛り付けや、お料理の提供、下膳などに加え、お料理やお酒のご説明や、オーダーもしてもらっています。

朝や夜のシフト制で、1日4時間程働いていただいています。仕事がない時は自由時間なので、みなさん周辺を散策したり、自転車や車を借りて島内を楽しんだりしているようです。

島内のグルメを楽しむおてつびと

おてつびとを受け入れるために工夫したことは?

最初はお料理の提供やお皿を下げてもらうだけでも十分助かると考えていました。でも、おてつたびで来てくれる方が増える中で、戦力になってくれそうな方が多いと感じ「もう少しお手伝いの幅を広げてもいいかもね」と仲居さんたちと話すようになりました。

そこで、10人目くらいのおてつびとから研修を行うようになりました。お料理のコース内容、ドリンクのオーダーの取り方などを1時間くらいかけて説明しています。

また、マニュアルも作成しました。お料理やドリンクの資料、ホテル内で最低限守ってほしいマナー、滞在中の過ごし方などをまとめたものです。焼酎などは種類がたくさんあるので、それぞれの特徴を覚えてもらっています。

おてつびとに向けたマニュアル。お料理提供について詳しく記載しています

あと、一番役立っているのはおてつたびノートですね。これはホテル側が用意したものではなく、最初の頃に来てくれたおてつびとが始めたものです。

おてつたびノート

おてつびとが自分でノートを買ってきて、「観光でこんなところがおすすめでした」「大きめのコインランドリーはあそこにあります」など、ホテルでの過ごし方や地域の情報を書いてくれたんです。おてつたびノートはリレーのように今も続いていて、新しい方が来るとページが更新されていきます。

壱岐のおすすめグルメなど、内容はもりだくさん

おてつたびノートは、おてつびと向けの部屋に置いてあるので「とりあえずこのノートを読んでね」と伝えています。こちらが1から10まで伝える必要がなくなり、とても助かっていますね。

おてつびとを受け入れた感想は?

全体的に来てくれているおてつびとは働き者ですね。働きぶりがいいだけでなく、ボランティア精神も感じています。ただお金をもらうために来たというよりは、「人のためになりたい」とか「力になりたい」という気持ちなのが伝わってくるんです。

おてつたびは、登録時や応募時に『応募動機』など書かないといけないことがたくさんあるんです。だから、気持ちが中途半端ではない方が集まっているのかなと思います。良い仕組みですよね。

今、おてつびとを採用する時に見ているのは、体力に自信があるかどうかや、うちでの滞在を楽しんでくれそうな前向きな方を選ぶようにしています。飲食店で働いた経験がある方は即戦力になるので、経歴もよく見ていますね。

おてつたびの魅力とは?

人手不足を解消できることが最大の魅力です。おてつびとは、裏方の仕事だけでなく、人と接する仕事にも積極的に取り組んでくれるので助かっています

さらに、おてつびとの存在は従業員にとって良い刺激にもなっています。おてつびとはチャレンジ精神旺盛な方が多く、過去に世界一周旅行したという方もいて、お話するだけでも面白いんですよね。従業員たちも、そんなおてつびととの交流を楽しんでいるのを感じています。

普段にはない出会いや会話があると、従業員の気持ちに張りが生まれます。交流する中で島の私自身も魅力を再発見できますし、そういった意味でもおてつたびは魅力的なサービスだと感じています。

おてつたびで生まれた地域とのつながり

おてつたびで来てくれた方が、お友達と一緒に壱岐に再訪してくれたことがあるんです。こうやって壱岐を好きになってまた来たいと言ってくれたり、「また来ました!」と挨拶しに尋ねてくれたりすると、やっぱり嬉しいですね。

従業員たちは仲良くなったおてつびとと個別に連絡を取り、家に泊めてあげることもあるようです。それぞれ継続的に交流している印象がありますね。

おてつびとたちは、ホテル内だけでなく地域とも積極的に関わってくれています。無人島の開拓をして地域の魅力を伝えてくれる方もいたりして!いろいろな形で地域貢献をしてくれていると感じます。

壱岐の島でもおてつたびが浸透してきていて、「あぁ、おてつたびで来たんだね」と受け入れてくれる風土ができあがっていますね。

おてつたびの利用を検討している宿泊施設の方にひとこと

おてつたびを利用してからは、募集を出せば1週間以内に応募が入り、人手不足は解消されました。それだけでなく、地域を知ってもらう機会になっているので嬉しいですね。

壱岐の近くには福岡などの有名な観光地があるので、この島まで来てくれる人は少ないんです。
おてつたびで初めて壱岐を訪れて、地域を好きになり、再訪してくれる人もいて。島全体でも繋がりが生まれていて、出会いを喜んでくださる声も多いです。

おたつたびのみなさんは仕事も地域での出会いも大切にしてくれます。忙しい時期も、一緒に楽しみながら乗り越えてくれますよ!


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【取材・執筆:やまくぼ(おてつたびライター)】

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