「自由に、気楽に」旅暮らしのノマドワーカー。ありのままの自分を見つける旅【おてつびとインタビューVol.33】
今回は住んでいたアパートを引き払い、働きながら旅をしていたノマドワーカー松下 麻佳(あさか)さんにおてつたびの魅力についてお聞きしました。
これまでのご経歴は?
新卒で広告会社に入って営業をしていました。飲食店やカフェを紹介する仕事をしていましたが、お店の方と接するうちに「自分も接客する側になりたい!」と思うようになり、26歳で退職しました。
母が地元大阪で”お好み焼き屋さん”を経営していたことや、私自身も”ローカルな酒場"に行くことが好きだったこともあり、おいしいお酒とお料理を通して、人が集まる場を作りたい!と思うようになったんです。
会社を辞めてからは、兵庫県の長閑(のどか)な地域に移動。元バイト先の先輩が始めた”人へのおもてなし”を大切にした宿の運営のお手伝いをしました。その時から旅をしようと決めて、住んでいたアパートを引き払い、移動しながら働く遊牧民のような生活をスタートさせました。身軽な状態で日本各地を旅して、人や食材との出会いを楽しみたいと思ったんです。
おてつたびを利用したきっかけ
先輩の宿の運営を手伝ったあと、今度はみかん農家に収穫のアルバイトに行きました。シェアハウスに泊まっていたのですが、集まったメンバーは面白い人たちばかり!農家を巡っている人や、ゲストハウスで働きながら旅する人などさまざまでした。その中で「おてつたびっていうサービスもあるよ」と教えてもらったんです。
私はリゾートバイトなども経験しましたが、期間が一ヶ月以上のものが多く、制約が多いと感じていました。私はとにかく自由に生きたい!と思っていたので、期間が一週間のお仕事も見つけられるおてつたびっていいなと思いました。
また、おてつたびは他のアルバイトと違って新しい発見ができそうだったのも魅力的でした。人に喜んでもらえるような“おもてなし”も学びたいと思っていたので、サイトのレビューを読みながら接客に力を入れていそうな旅館を探して応募してみることにしたんです。
初めてのおてつたびは?
京都にある「おもてなしの宿 渓山閣(けいざんかく)」に行きました。仕事は想像以上に大変でびっくりしました(笑)同じ時間帯に何組も宴会が入るので、仲居のみなさんは慌ただしく動いていました。
私は飲食店で働いた経験があったので、指示される前に自分なりに考えて動くようにしてみたんです。すると、だんだん「松下さんがいてくれて助かったで」と褒めていただけるようになり、最後の日には「また帰っておいで」と言っていただけて。京都にお母さんがたくさんできた感覚で嬉しかったです。常にお客さまのことを考えている仲居さんたちは、情が深い方ばかり。"おもてなし"について、たくさんのことを学べたおてつたびでした。
印象に残っているおてつたび
山形県の肘折(ひじおり)温泉にある「手掘り洞窟温泉 松屋」さんです。松屋さんは家族経営のアットホームな旅館で、お客さまひとりひとりに丁寧に接していました。お見送りする時も、お客さまが見えなくなるまで手を振っていましたね。
和気あいあいとした雰囲気で、賄いを食べるときはみんなで厨房に集まって、他愛もない会話を楽しみました。本当の家族のように愛されたなって感覚があります。離れるのが寂しくなって、最終日は「また帰ってきます!」と言って旅館をあとにしました。
松屋さんでは、地元の食材を使った地元の料理を学ぶこともできました。山形ってお米もお野菜もすっごくおいしいんです。松屋さんの近くには山があったので、山の食材のおいしさを伝える料理を学べて嬉しかったですね。ワラビはこういう下処理をして、こんな風にしたら美味しいんだよって教えてもらい「こうやって食べるんや。山形ならではやな!」ってひとつひとつ学んでいきました。
旅館のお仕事以外の時間には、地域の人が集まるローカルなお店に行って、お酒を飲んだり地元の食べ物を食べたり。地元の調味料やお料理の仕方を教えてもらったりもしました!おてつたびで面白い子が来てるらしいと、地元のおじさまたちが集まってくれたりして(笑)本当に楽しかったです。
山形県肘折温泉のおてつたびでは本当にたくさんの出会いがあって、これからも繋がり続ける場所になるだろうなと思っています。友達や家族も誘ってまた訪れたいですね。
おてつたびの魅力とは
おてつたびでは、自分の存在意義を感じることができました。旅に出る前は、自分に自信がなくて不安になることがあったんです。飲食店で働いてきたけど料理ができるわけではないし、接客ができても資格ではない。これといった強みやスキルがなくて焦る時もありました。
でも、松屋さんで「あーちゃん(松下さんの愛称)がいると家族もお客さんも従業員も明るくなるわー!」って言ってもらえて、すごく嬉しかったんです。私は人と接するのが好きで、お客さまと楽しくお話しできることが自分の長所なんだなって改めて気付くことができたんです。
だからこそ「何か新しいスキルを身につけなきゃ」と思うのではなくて、持ち前の明るさを伸ばしていく方がいいんじゃないかって思えるようになって。世の中には自分を必要としてくれる場所がある。自分の良さを求めてくれるところで働けたら、幸せに生きていけるなと感じました。
そして、いつでも帰れる場所ができたことも嬉しかったです。実はおてつたびが終わったあと、再び松屋さんを訪れたんです。山形ではさくらんぼ・ラフランス農家さんやお米農家さんでもお手伝いしたのですが、その後に松屋さんにも立ち寄っていて。再び働かせてもらいながらしばらく滞在しました。「いつでもおいで」「ごはんだけでも食べに来てね」と言ってもらえて。そんな風にいつでも迎えてくれる場所が各地にできて、すごくありがたいですね。
松屋さんの魅力はインスタグラムでも発信しているので、ぜひ覗いてみてください!
これから挑戦したいこと
実は今、実家のある関西に戻ってキッチンカーの事業を始めたところなんです。1年半旅をしてきて、おいしいものを食べたり、旅館で働いたりするなかで、その土地ならではの食材や人柄の良さを伝えていきたいと思うようになったんです。
やりたいと思っているお店は「旅するお結び屋さん」。各地の魅力的な具を入れたおむすびで、人と人を結んだり、日本の文化を紹介したりしていきたいです。
キッチンカーに集まった人たちには、旅先の魅力を伝えながら「みんな、ありのままで楽しもうよ」っていう気持ちも伝えられたらいいなと思っています。そうすれば、ハッピーな気持ちが少しずつ広がっていくんじゃないかなって。
これから関西で基盤をつくって、いずれはキッチンカーで全国を巡り、出会いの場をつくっていきたいですね!
おてつたび行ってみたい人にひとこと
「自分には何もできない」とか「変わりたいけど何からしていいのかわからない」と悩んでいる方がいたら、とにかく一回おてつたびに行ってみたら景色が変わるよと伝えたいです。
私自身、旅をしてガラッと自分の人生が変わった気がしているんです。旅に出る前は「スキルやお金がないといけない」という考えに縛られていたけど、もっと肩の力を抜いて、自分らしく楽しく生きていけばいいんだなって思えたんです。
自分が実際に現地に行ってみることで、きっと色々と感じられることがあります。あれこれ考えずに行けるチャンスがあるなら、まずは足を運んでみてくださいね!
編集後記
「定職につかないといけない。お洒落をしないといけない。そういった常識をすべて捨てて、旅に出ようと思ったんです。」そう語る笑顔のあさかさん。おいしい食べ物と人との出会いがあれば、それだけで幸せに生きていけると思うのだと、にこやかな笑顔で伝えてくれました。
ありのままでいられる場所を見つけたあさかさんは、持ち前の明るさを活かして、人を元気にする居場所をつくっていくんだろうな…と想像しています。わたしもいつか、あさかさんのキッチンカーでおむすびをいただきたいです✨あさかさんのインスタグラムもチェックしつづけますね😊ありがとうございました!
【取材・執筆:やまくぼ(おてつたびライター)】
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