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人が繋がることで「化学反応」が起こり、きっと島が変化していく【おてつたび/受入先インタビューvol.13】(愛媛県今治市・旅館さわき)

広島から愛媛へと島々をつなぐ「瀬戸内しまなみ海道」。8つの島の真ん中に位置する大三島(おおみしま)の旅館さわきで若旦那として働いているのは菅航輝さん。

しまなみ海道。サイクリングロードとしても有名

30歳の時、勤めていた東京のベンチャー企業を辞め「地元に貢献したい」との想いからUターンで大三島に戻った菅さん。旅館さわきでは大将や女将と共に厨房に立ち、瀬戸内の魚を使ったお料理に腕を振るっています。

現在、旅館の客室数は15室。従業員は15人で稼働中。これまで58名のおてつびと(おてつたびの参加者)を受け入れてきた旅館さわきには、おてつたびがきっかけで二拠点居住を始めた方や再訪した方もいるんだそう。今回は菅さんに、おてつたびの魅力について伺いました。

旅館の若旦那・菅さん

おてつたびを利用したきっかけは?

コロナ禍の時に“地方創生会議”というオンラインイベントで、おてつたび代表の永岡さんのお話を聞いたんです。

「お手伝いを通じて地域に関わる人を増やす」というおてつたびのビジョンに共感し、いつか使ってみたいと思いました。

以前は、旅館の繁忙期には親戚や地元の人に仕事を手伝ってもらっていたのですが、島を出る人も多く、だんだんと人手不足を感じるようになってきて。年末年始などの繁忙期には、仲居さんたちに休みなく働いてもらっていました

旅館さわきで長年働いているお話上手な名物仲居さん

コロナ禍は少ない従業員でもなんとか回っていたのですが、急に観光需要が戻ったので人手が足りなくなり、おてつたびを利用することに決めました。

おてつたびを受け入れることで、従業員に休んでもらうことができるし、地域を楽しみたいと思っている方がお手伝いに来てくれたら、何か面白いことがプラスアルファで起こるんじゃないかなと思ったんです。

おてつたび利用前に不安だったこと

最初はどんな人が来るんだろうと不安もありましたが、応募者のプロフィールを読むとある程度の人柄がわかり、不安は解消されていきました。

志望動機もよく読んで、素直で柔軟性を感じる方を採用してきました。大三島での生活を楽しんでくれそうかも見ていましたね。

おてつたびではどんなことをしてもらっている?


おてつびとにはすぐにできる仕事をお願いしています。例えば、お食事の配膳と下膳、客室の布団敷き、お風呂掃除や洗濯などですね。

お客様にお料理の説明もしてもらうのですが、最初は仲居さんにくっついてもらって「なんて説明してるか覚えて」と声をかけていて。一人でも大丈夫そうだなと思ったら本人にお任せするようにしています。

旅館さわき自慢の地魚のお造り

うちはお客様との距離が近い宿なので、おてつびとのみなさんにもお客様との会話を楽しんでいただけたらと思っています。せっかく旅館にお手伝いに来てくれたのだから、裏方だけでなくて、仲居さんの仕事もやった方が本人の経験にもなるじゃないですか。

うちはマニュアルがあるわけではないので、おてつびとさんのそのままの姿で接してくれたらいいと思っているんです。わからないことは厨房にいる僕にいつでも聞いてねと伝えています。

印象に残っているおてつびと

これまで58名のおてつびとを受け入れてきて、さまざまな繋がりが生まれています。特に印象深いのは、おてつたびがきっかけで二拠点居住を始めたフリーランス料理人の霜鳥さんですね。

彼は、実直で感受性豊かなとても素敵な方です。そんな彼がおてつたびで2週間うちに来てくれた時、途中で女将が「うちで働かない?」と声をかけたんです。

大活躍中の料理人・霜鳥さん

霜鳥さんは快諾してくださり、現在1ヵ月のうち3週間は旅館さわきで、1週間は東京で出張料理人のお仕事をされています。

僕としては、まさかうちで働いてくれるなんて思っていなかったので、驚きつつもすごく嬉しかったですね。彼は元々は洋食専門だったので、うちで和食を学べることを喜んでくださっています。

また、おてつたびがきっかけで地域を好きになり、昨年の4月に今治市に移住し、地域おこし協力隊になった女性もいます。おてつたびを通して地域に関わってくれる人が生まれているのが嬉しいですね。

今治市の地域おこし協力隊になった満帆さん(右)

おてつたびの魅力とは

おてつびとは、人手不足解消になるのはもちろん、地域の中で繋がりを作ってくれるのが魅力です。

周辺のお店で「おてつたびで来てるんです!」と言いながら交流を楽しむ方もいるし、中にはおてつたびが終わった後に隣のゲストハウスで働いている方もいましたね。

僕は、おてつびとがただ人手不足解消のために働いて帰るだけというのはもったいないし、面白くないと思っているので、こんな風にどんどん島の人と繋がってほしいと思っています。

人が繋がって、そこから何らかの化学反応が起こり、島が変化していくのではないかなと。人口減少を食い止めるためにも、人と人が繋がることが何より大切だと思うんです。

おてつたびが終わった後も関係性は続いています。再訪してくれた方や、お知り合いにうちを紹介してくれた方もいらっしゃって。おてつたびで島を気に入ってくれて、こうやってまた遊びに来てくれるのは嬉しいですよね。

再訪してくれたおてつびと
おてつびとの紹介により、泊まりに来てくれたみなさん

おてつたびの利用を検討している方にひとこと

おてつたびは柔軟なサービスなので、とりあえず一回使ってみるといいのではないでしょうか。募集の日付も柔軟に決められますし、あらかじめ募集を出せば絶対に応募が来ます

うちの従業員はおてつたびの受け入れに慣れてきて「次はどんな人が来てくれるんだろう」と楽しみにしています。従業員にとっても、いろいろな接点が持てるのは嬉しいみたいです。

おてつたびは自動マッチングではなく、どの方を採用するかじっくり選べるので安心ですよ。繁忙期に向けて、まずは一人から募集を出してみてはいかがでしょうか!

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【取材・執筆:やまくぼ(おてつたびライター)】

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