更生


 
 
とはいえ私は、更生したい。
 
元の自分に戻ってはいけないこと、戻れないことはわかる。
その前に、今の自分ではダメだとも薄々気づいている。
 
 
コンビニでポテトチップスを買って帰り、夜遅くに食べて、受け入れられない事実からくる悲しみと満たされない気持ちをどうにか紛らわそうとしている。
 
料理をしようという気も起こらない。
すぐに、簡単に、手を伸ばせる、お腹が空いていなくてもなんとなく食べられるお菓子を、食べる頻度が極端に増えた。
 
とりあえずじゃがりこ、とりあえずポテチ。
感覚を狂わせたくないので、正気であれば食べないお菓子を、最も食べてはいけない時間に食べている。
 
もう、どうだっていい。
 
GWは毎日お酒を飲んでいた。ハイボール、梅酒、キール、ジン。
GWが終わってからも、なんとなく飲みたくなって、普段は好んで飲まないビールを飲んだり、飲み屋さんでもう十分飲んだはずなのに、梅酒をロックでもう一杯、となるのである。
 
5月はまだ終わってもいないのに、出費が多すぎる。今月の収入をゆうに越える。
 
まあ、いっか。後も先もないし。
 
こんなに悲しいことは、初めて。
 
人生で一番悲しいことに、ぶつかりに行くには、絶対に必要な出費なんだよ。
 
使え。バンバン使ったらいい。
こんな時しか見られない景色、体験できないことってのが、間違いなくあるはずだ。
 
ていうか、いくら払おうが、もう彼女は戻ってこない。
 
その事実は私の思考の隙間隙間に、入り込んでくる。
 
大切なかけがえのない存在が、亡くなってしまった現在、
一番しんどいのは、その子との未来を、自身が生きている間は永遠に描けないということ。
 
同い年の大親友。もう、一生かけても、あのレベルの存在には、出逢えないだろうね。
 
それらの事実は、未来に蓋をしてくる。
 
彼女に、会いたい。
 
会いたくて仕方がない。誰よりも、一番、会いたいのは彼女だ。
 
どうやったら会える?
 
まわりまわって、「死にたい」「死にたいが勝る」
 
これらのワードが自身の脳内を支配するようになる。
 
彼女の支えがどれだけ大きかったか。
 
自身の軸足を取られているような感覚。
 
それを受け入れられるほど私は、強くない。
 
 
 
お菓子とお酒が、大きな割合で日常を占めるようになってきた。
 
昨日は、昼食を祖母の家で食べた。
それから1人、崖の上のポニョを見て、泣いた。
当分の間は、私は船に乗れないだろうな。

「僕がずっと、ポニョのこと守るからね。」

「大好きだよ。」

ポニョって泣けるんだ。初めてポニョを見て、泣いた。

そうすけとポニョ、2人でおもちゃの船に乗って勇敢な旅に出るシーン、好きだった。

高校1年のころ、彼女と自転車の二人乗りをして、
彼女がハンドルを握り漕ぐ方、私が後ろで立って、
無邪気に彼女に身を任せて、彼女の地元を駆け巡ったなあ。

それと、船乗りの妻であるリサ。かっこいいわ。自分でなんでもできて、責任感が強くて、感情に素直。夫の帰りを、本当はすごく楽しみにしてる。髪も短くて潔い。
 
 
泣いたら疲れる。

そういえば、ここ1ヶ月目もらいの頻度が多い。
片方治ったかと思えばもう片方。
目の違和感。いまも左目に目もらいがある。

化粧した顔で、泣くからやん。


軽く昼寝して、夕方はクッキーアンドクリームのアイスクリーム一つと硬揚げポテチのり塩味を一袋食べた。

それから母が作ってくれた夜ご飯を食べて、22時過ぎからビール、いちご、ポテチを食べる始末。
 

それらを好きでやっているというより、歯止めが効かない部分があったり、満たされないが故に自暴自棄的にそうしているのかな。
自己肯定感低いなあ。
 
こんなにもイージーな実家暮らしをして。
甘えている自分にも嫌気が差している。
 
ストレスで感覚が狂っていた浦安時代、カナダ留学時代の私がまたひょっこり現れている。
 
そうやって日々、満たされないが故の良くない行動をして、肌が荒れる自分、顔がどんどん大きくなってブスになる自分、そういうので自分の辛さを自分で思い知り、そして周りにも、認めてもらおうとしていた。
 
今、私は、そこにいるんだろうなー。
 
誰かに会いたくないのか、会いたいのか。
会わない方がいいのか、会った方がいいのか、
 
それすら分からない。
 
 
それから、IPhoneの写真を整理していた。
容量を軽くしたいのと、私は今を生きなきゃいけないから、生きたいから、いらないノイズを減らそうと。

そこで久々に見たのは、アパートで暮らしていた頃の自分。

1年前の自分は、仕事に勉強に、精を出して頑張っていた。

自身の気力体力時間を、仕事と勉強に捧げて、
一生懸命、ダメな部分をダメじゃなくするために、
持続可能な仕組みを作るために、
自分のキャリアにおいても糧となるように、頑張っていた。

今の自分では考えられないくらい。
今は去年の20%の気力しか割けていない。
正直、仕事へのやる気と興味を喪失している。
このままではやばい、と本当に思う。
どうでもいい、失敗してもいい。
そんな気持ちが生まれているから。
 
それに加えて去年は、
アパートで暮らすことで必要な物事の処理も頑張っていた。

引越し業者にお願いもせず、親や友人に助けをもらうことなく、最初の手続き、引越し、日々の管理から最後の大掃除、そして引っ越しまで、全て自分でやった。

そのころの様子をタイムラプスで断片的に残しておいたのだが、ビールを飲んでからそれらの動画を見ると、

「自分が自分でないくらい頑張っている。
けど間違いなくそれは自分でしかなくて、
こんな自分もいたなー。今では考えられない。」

とただ、思った。
大きなソファを車に乗せる自分の様子もあったんだけどね?
ああ、そんなこと自分1人でよくやったなあって、客観的に見た時に思い出した。
 

大きなトランジションがあった時、
異なる渦の中に入り込んでしまったら、
元々いた渦での日常を忘れそうになる。

特に、周りに誰かいなければ、そのことを共有する相手もおらず、すっかり忘れそうになる。
 
今朝起きて思った。
昨日客観的に、ほんの2ヶ月前の自身の様子を見たことで、ちょっとだけ、自分を、取り戻したような気がした。
 

アパート暮らしでできたことは、
自分の感覚を、たった1人で、取り戻したことだった。


当初の目標である、英検1級合格や、仕事と勉強と暮らしの両立はできなかったけど。
 
 
日々連続的な実験をして1年過ごした、今なら。
 

この深い悲しみ、到底乗り越えられそうにない悲しみの中でも、
ひょっとしたら、自分を取り戻していけるのかもしれない。
 


大丈夫だよ。彼女は私の心にいるよ。
 

これまで以上に、ずっとそばに、いるよ。


内の想いを行動に変えてきて
生きてきたのは今までの私。
 

今の私から出る言葉、できる行動は、
彼女の生き様も間違いなく反映されているんだ。
 

彼女と私、Wのパワーで。
 
きっとこれまでにないくらい強く、私は生きていけるはずなんだよ。
 
 

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