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素敵なnote=文章を書く方々

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内容、あるいは文章が魅力的なnoteを書く人。読み返したいものたち。
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#小説

数人に囲まれ危機を迎えた話

猫を動物病院へ連れて行く途中、近くで現在の政策に対してメッセージを送るビラを配っている人達がいた。

私にもビラを渡しに来たのだが、両手は猫で塞がっている為受け取れない旨を伝えようとしたところ、太ももから臀部にかけて激しく攣ってしまった。あまりの痛さに「うおぉ…」地の底からうめくような声が漏れた。

しかも、痛くないところを探すように身体が意思とは無関係に捻れていく。
目の前で突如捻れ出した不審者

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その「改行」に魂はこもっているか? AA

その「改行」に魂はこもっているか? AA

ネットでの文章によくある特徴として「改行が多い」というものがあります。ここで「やたらと改行が多い」と表現しなかったのは、そのネットの改行の多さに対して良し悪しを感じているからで、ニュートラルに自分の心を置きたいからです。

ネットにおける改行が多い理由は、それまで紙を中心とした文章に対するアンチテーゼだと感じています。要するに、「お前ら昔の文章は読みにくいんだよ」と改行の多いネットの文章は主張する

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勝手に選定!「新潮文庫の100冊」―#名刺代わりの新潮文庫100選

勝手に選定!「新潮文庫の100冊」―#名刺代わりの新潮文庫100選

 毎年この時期になると、各出版社が文庫フェアをはじめますよね。主なのは、角川文庫の「カドフェス」、集英社文庫の「ナツイチ」、そして新潮文庫の「新潮文庫の100冊」。

 角川文庫と集英社文庫については、すでにこの6月にラインナップがでそろっていますが、新潮文庫は、しあさっての7月1日から公開がはじまるようです。

 新潮社。じつは、わたしが就職活動をしていて、もっとも行きたかった出版社でもありまし

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日記(9月上旬):環境に支配されすぎる問題

日記(9月上旬):環境に支配されすぎる問題

 コロナ禍以降、コロナと創作の関係性のような話題をちらほら聞くのだが、これがとんと苦手ときている。数ヶ月前にあるジジイ作家が「コロナから目を背けられるのはSFか歴史小説くらいで、私は正面からコロナと戦う」云々などいっていたのが視界に入ってひどくうんざりしたものだが、ぼくとしては書くものと現代社会に直接的すぎる繋がりを持ち込みたくない気持ちが強くある。避けがたく存在するものとの戦いかたは、作家の数だ

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僕たちは森見登美彦になれない

僕たちは森見登美彦になれない

森見登美彦という作家をご存じでしょうか。

ご存じだからこのエントリを読んでいると思うので、詳しい説明は省きますね。僕が大好きな作家の一人です。

日本的なマジックリアリズムを成立させている稀有な作家で、さらに特徴的なのがその文体。たとえば、代表作『四畳半神話大系』は次のような書き出しではじまります。

 大学三回生の春までの二年間、実益のあることなど何一つしていないことを断言しておこう。異性との

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