ookomimi

競技かるた有段者。競技かるたについて日々考えていることを書いてみようと思います。

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最近の記事

競技かるたの余談・高校選手権の声かけ規制問題

ookomimiです。先日に団体戦の声かけ(かけ声・声出し)について投稿したところ、その後にタイムリーな話題が出てきました。先日の投稿とは異なる対処が必要になる場面も多いので補足も兼ねて投稿します。 タイムリーな話題というのは、本年(2024年)の高校選手権(団体戦)の声かけのことです。どうやら高校かるた連盟と全日本かるた協会の連名で声かけを規制する通知が回ったようです。私自身は通知を直接見たわけではないのですが、X(旧Twitter)に以下のような画像が投稿されています。

    • 競技かるたの余談・選手の足が見たいという話

      ookomimiです。いつもは競技かるたの作戦について書いていますが、今日の投稿は完全な余談です。 近年は全日本かるた協会の公式youtubeチャンネルで競技かるたの主要な大会の動画を見ることができます。現地観戦できない主要大会の試合展開を知るには「かるた展望」(全日本かるた協会の会員配布冊子)の記事を読むしかなかった一昔前からすると夢のような話です。 競技かるたのような身体を使う競技では、文字と映像では情報量に格段の差があります。このnoteでどれだけ分かりやすい記事を

      • 競技かるたの作戦・詠みに合わせる取り

        競技かるたをする選手なら誰でも、少しでも早いタイミングで詠みに反応したいものです。当然、余韻の瞬間には読手の発する1音目や半音目、人によっては4分の1音目を聞き分けようと集中しているのではないでしょうか。 ですが、試合をしていると、どうしても詠みと取りのタイミングが合わなくなることがあります。集中すればするほどタイミングがズレて音が上手に掴めなくなり、全く動けなくなってしまったり、逆に無理矢理動いてみたものの音が分からず手が止まってしまったりした経験のある方は少なくないのでは

        • 競技かるたの作戦・団体戦の声かけ

          ookomimiです。今日は団体戦についての投稿です。団体戦で一番話題になることが多い試合中の声かけ(かけ声・声出し)の話です。 団体戦の声かけについては色々な意見があります。声かけがない団体戦はつまらない、あまりにうるさい声かけはマナー違反だ、声をかけることばかり気にして試合に負けたら本末転倒だ・・などなど。 ただ、純粋に戦略的な観点からの話をすると、声かけをする方が得なことが多いです。 団体戦とはといっても、この投稿中で「団体戦」というのは、同じチームの選手が横に並ぶ

        競技かるたの余談・高校選手権の声かけ規制問題

          競技かるたの作戦・遅い展開と速い展開

          かるたの試合で負けた後に「展開が悪かった」「自分向きの展開ではなかった」と言い訳をしたくなることがあります。もちろん実力があればどんな展開でも勝てるはずですし、それを目指して練習するのがあるべき姿でしょう。が、試合によって展開の向き不向きがあるのは事実です。ということで、今日は「遅い展開」と「速い展開」の特徴と、それぞれのパターンの対処法について書いてみようと思います。 遅い展開 試合展開の中で比較的分かりやすいのはスピードが上がりにくい「遅い展開」です。速く取れない札が終

          競技かるたの作戦・遅い展開と速い展開

          競技かるた観戦記・第68期クイーン戦

          ookomimiです。競技かるたの作戦について書いています。 今回のクイーン戦の本戦はかなりの接戦になりましたね。当日は合間合間に全日本かるた協会のyoutubeチャンネルで試合を見ていたのですが、じっくりと通しで試合展開を見たくなったので改めて視聴して感想を書いてみました。 挑戦者決定戦のときと同じく、動画を見ながら別スクリーンでテキストを打ち込んだだけです。敬称は略して書いています。 1回戦配置を見る限り山添陣はバランスが良いが、井上陣はやや左陣が多いか。右陣ももう少し

          競技かるた観戦記・第68期クイーン戦

          競技かるたの余談・名人戦/クイーン戦

          既に日付も変わり名人戦・クイーン戦の当日となりました。 挑戦者決定戦は観戦記を書いてみましたが(思っていたより読者がいて驚きました)、本戦は5戦フルセットになる可能性もあるので観戦記を書く気力が出るかどうかは怪しいところです。 事前の予想ですが、名人戦・クイーン戦の両方共に防衛の可能性が高いかなと思っています。 名人戦はスピードでは名人有利だと思います。挑戦者が勝つとしたら遅い試合に持ち込んだ場合でしょうか。粂原元名人はかなり器用なタイプでしたが、川瀬名人はあまり器用なタイ

          競技かるたの余談・名人戦/クイーン戦

          競技かるたの作戦・大差をつける意味はあるのか問題

          前回の投稿で、大会で勝ち抜くには大差をつけようとしてはいけないと書きました。関連する話として、今日は大差をつけることの意義について書いてみようと思います。 自分よりも下位の級の相手と練習するときなどに大差をつけて勝つことを目標にする人は多いのではないかと思いますが、その課題設定は適切でしょうか。 大差をつけるには特殊技術が必要はじめに、大差をつける試合運びがどんなものなのかを説明しましょう。ここで想定しているのは、いつも通り取っていたら結果的に大差になるパターン(下位の級の

          競技かるたの作戦・大差をつける意味はあるのか問題

          競技かるたの作戦・大会で勝ち抜く方法

          かるたの大会の多くはトーナメントです。連戦を勝ち抜かなければ昇級につながる好成績は挙げられません。このため、連戦が苦手だと実力があっても大会では成績を残せませんし、実際にそういったタイプの選手を見ることも少なくありません。 では、連戦で勝つためにはどんなことに気をつければ良いでしょうか。今日は、大会で連戦を勝ち抜く方法について書こうと思います。 いきなり結論いきなり結論を書いてしまいますが、大会で勝ち抜くために重要なことは、①接戦をしないこと、②大差をつけようとしないこと、

          競技かるたの作戦・大会で勝ち抜く方法

          競技かるた観戦記・第68期クイーン位挑戦者決定戦

          ookomimiです。競技かるたの作戦について書いています。 名人戦の挑戦者決定戦の記事を書いたので、クイーン戦の挑戦者決定戦のことも書かないといけないような気がしてきました。やはり全日本かるた協会の公式youtubeチャンネルを視聴しながら別スクリーンでテキストを打ち込んで書いています。こちらも敬称は略して書いています。 1回戦名人戦は比較的実績のある選手同士の対戦だがクイーン戦は若い選手の対戦。二人ともタイトルを争う大舞台の経験は多くないはずなので、同世代との対戦の方が

          競技かるた観戦記・第68期クイーン位挑戦者決定戦

          競技かるた観戦記・第70期名人位挑戦者決定戦

          ookomimiです。競技かるたの作戦について書いています。 名人戦の挑戦者決定戦を全日本かるた協会のyoutubeチャンネルで見たので感想を書いてみました。動画を見ながら別スクリーンでテキストを打ち込んだだけです。長くなるので敬称は略して書いています。 _________________________________ 1回戦40歳になる三好と20代半ばの堀本の対戦。何度も準名人を取った三好だが名人を目指すならそろそろラストチャンスか。堀本も年齢的にタイトルを取る

          競技かるた観戦記・第70期名人位挑戦者決定戦

          競技かるたの作戦・終盤に札を下段に移すか問題

          ookomimiです。競技かるたの作戦について書いています。今日は軽めの話です。 はじめに以前の投稿で、スピードで負けている終盤では札を下段に移動しない方が良いと書きました。今日は、その逆で、どんな場面で札を下段に動かしたいか、について書いてみようと思います。 もちろん、手短に言ってしまえば「札を下段に動かせば相手より早く取れるとき」ということに尽きます。が、これでは身も蓋もないので、もう少し具体的に書いてみます。 相手の手が下段に伸びていないときまず考えられるのは、相手

          競技かるたの作戦・終盤に札を下段に移すか問題

          「ちはやふる」・金井桜はどんなかるたをしたのか

          ookomimiです。競技かるたの作戦について書いています。 先日の投稿で、速い選手が遅い選手に負けるパターンについて書きました。 今日はこれに少しだけ関係した話を書きます。4年ぶりに「ちはやふる」の話ですが、取り上げるのは主役級の登場人物ではなく、6巻で登場した脇役、金井桜A級選手の話です。 彼女が登場する場面のあらすじを説明すると、かるた暦35年のベテランである彼女が主人公の綾瀬千早と公式戦で対戦して、千早に「速いだけじゃない選手」になろうと決意させる・・というもので、

          「ちはやふる」・金井桜はどんなかるたをしたのか

          競技かるたの余談・noteへの投稿について

          ookomimiです。競技かるたの作戦について書いています。 この投稿が2023年で10個目の投稿になることに気づきました。noteで競技かるたの作戦について書き始めた頃以来のハイペースです。過去の投稿を見て頂ければ自明でしょうが、私は継続的に記事を書くのは苦手です。コロナ禍で競技かるたに触れる機会が減ったときには投稿意欲も減衰して3年ほどnoteを放置してしまいました。今年のやる気がどこまで続くのか分かりませんが、投稿へのモチベーションがあるうちに少しだけ舞台裏の話もして

          競技かるたの余談・noteへの投稿について

          競技かるたの作戦・逆転の布石

          ookomimiです。競技かるたの作戦について書いています。 今日は、逆転を狙うときの試合運びについて書いてみようと思います。 以前に負けているときの取りかたについて投稿しました。 このときは主に暗記・狙い・音の聞き方のことを書きましたが、今回はもう少し具体的に、逆転を狙うときの札の配置や送りのことを色々と書いてみようと思います。 はじめにといっても、確実に逆転を呼び込める魔法の作戦はありません。逆転と一口にいっても相手との力関係や劣勢に至った理由によってさまざまなパタ

          競技かるたの作戦・逆転の布石

          競技かるたの作戦・自分より遅い相手に負ける理由

          ookomimiです。競技かるたの作戦について書いています。 今日は、自分よりも遅いはずの相手に負けてしまう理由について書こうと思います。 競技歴が浅い頃、ベテラン選手とのかるたで、負けた後に相手から「スピードでは負けていたよ」と言われることが何度かありました。といっても僅差の試合ではありません。ベテラン選手に10枚前後の差をつけられていました。自分自身では完全に力負けしたつもりなのに相手の方が遅いというのです。全く実感がなく、本当なのかどうか当時は不思議で仕方ありませんで

          競技かるたの作戦・自分より遅い相手に負ける理由