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競技かるたの作戦・逆転の布石

ookomimiです。競技かるたの作戦について書いています。
今日は、逆転を狙うときの試合運びについて書いてみようと思います。

以前に負けているときの取りかたについて投稿しました。

このときは主に暗記・狙い・音の聞き方のことを書きましたが、今回はもう少し具体的に、逆転を狙うときの札の配置や送りのことを色々と書いてみようと思います。

はじめに

といっても、確実に逆転を呼び込める魔法の作戦はありません。逆転と一口にいっても相手との力関係や劣勢に至った理由によってさまざまなパターンがあります。ですので、逆転しやすい試合展開に持ち込む方法を、幾つかの典型的な場面について書いてみます。

スピードで勝っている・運が悪いだけのとき

まず最初は、実力的には自分の方が優位にある場合です。
相手よりも良く動けているのに分かれ札が自陣から出てしまった、不運なお手つきがあって一時的に差が付いてしまった、といったパターンで序盤~中盤にリードされてしまうことは競技かるたではしばしばあります。
こういった試合展開では落ち着いて取ればそのうちに実力差が出て逆転できることも多いのですが、枚数差が多いと差を詰める前に押し切られそうなときもあります。例えば、序盤の出札が悪く数枚の差がついたところで焦ってお手つきをして10枚近い差が付いてしまった、といった場面です。このような場面では、普段通り落ち着いて取るだけではなかなか差が縮まらず、かといって無理をして全ての札を取ろうとするとミスが出て自滅する、といったパターンに陥ってしまうこともあるのではないでしょうか。

この状況では(自分にとって)できるだけ簡単なかるたをすることが基本です。普段より多めに札を取らないといけないので、難しい配置・難しい送りをするとミスが増えてしまうからです。自陣の札は下手に動かさず定位置に置くべきです。相手の目先を変えるために浮き札を作ったり、普段取れない札を守るために下段に固めたり、といった行動はミスのリスクが高い割に効果が乏しいのでやめた方が良いと思います。送り札も自分にとって取りやすい札を送ることになるでしょう。
ただし、定位置に札を配置すると自分が取りにくくなってしまうときは取りやすい位置に札を動かしても良いと思います。例を挙げれば、上段が長くなりすぎて払いにくいなら、札を中下段に移して払いやすい形にする方が良いでしょう。

なお、この場面では自陣の札を普段よりも広く取ることになるので、自陣で暗記を強く入れてしまった札を敵陣に送ったときにセミダブルのお手つきのリスクが比較的高くなります。ですので、送った札での暗記ミスをしがちな人は送る札と自陣に残す札を区別し、自陣は残す札を中心に暗記するのが良いと思います。倍セームで負けていても札の3割を相手に取らせて追いつけます。全ての札を取ろうとしてミスのリスクを増やすのは避けましょう。

実力的に互角か不利なとき

次は、実力的に互角以上の相手にリードされているときです。
強い相手にリードされてしまうと逆転するのは大変です。勝つためには何かしらの「紛れ」が必要でしょう。幸いなことに競技かるたは運やメンタルの絡む要素が多くあるので、「紛れ」は作為的に作ることができます。「紛れ」が起きるように布石を打つのです。

まず、友札は極力分けて相手のミスの可能性を増やしたいです。分かれ札は出札運次第で強い相手からも連取できる可能性がある上に、お手つきが出ればダブル・セミダブルとなり差が3枚縮まるので大きく試合を動かすことができるからです。友札を分けたときは、戻り手で両方取ろうとするよりも一方を速く取るようにした方が、相手がミスをする可能性は高いと思います。
札の配置は要所要所で変える程度です。ミスを誘うには相手に一度は強い暗記を入れさせてから札を動かすのがポイントで、むやみに札を動かしすぎるとミスを誘う効果が減ってしまうからです。送り札が発生したタイミングで、相手が強く暗記していそうな札を1-2枚動かしたりするのが効果的ではないかと思います。このほかには、自陣が相手にとって取りやすい形になっているのは避ける(上段に札がないなら1枚は上段に上げるなど)くらいで十分に紛れは作れると思います。

相手の勢いを止めたいとき

最後は相手が絶好調なパターンです。競技かるたはメンタルな競技で、うまく集中できると普段からは考えられないような取りができることがあります。相手がこのゾーンに入ってしまうとやっかいで、札を連取されてあっという間に差を付けられてしまうことがあります。

こうなってしまった相手を止める方法は案外に簡単で、相手の暗記・狙い・払いのバランスを大きく変えて崩してしまえば良いのです。つまり、相手が暗記・狙い・払いを大きく変えざるを得ないような配置や送りをするのが良いです。

具体的には自陣の形を大きく変えるのが手っ取り早いと思います。例えば、自陣右が上段3枚・中段5枚・下段4枚の配置になっていて、相手が自陣右中段を中心的に攻めてきていることが明らかだとします。このときに中段の札2枚を上段に、1枚を下段に移すと、自陣右は上段5枚・中段2枚・下段5枚となって、相手からするとあなたの右陣の札全てをそれまでとは全く違う動き方・払い方で取りにいくことになります。こうなると相手はそれまでの暗記や狙いを変える必要にも迫られ調子を崩す可能性がでてきます。動かす札が相手に狙われていそうな札(2枚札や決まり字が短くなった札など)であればより効果的です。
このときに大事なのは単純に多くの札を移動させることではなく、相手の狙いや払いのバランスを崩すことです。上の例で言えば、上中下段からそれぞれ1枚の札を動かして浮き札にしたとしても、残った自陣右の上段2枚・中段4枚・下段3枚の配置は元々の札の配置とあまり変わっていませんので、相手は浮き札3枚だけ暗記し直せば良いことになります。これでは相手の負担は大きくなりませんし、払いのバランスを崩すこともあまり期待できません。相手にそれまでと全く違う狙いや動きを強いることが重要です。

この変化は短時間に起こしたいです。3回に分けて1枚ずつ札を動かすよりも、1回で3枚を動かしたいということです。その方が相手のバランスを崩す効果が大きいからです。その一方で、自分の暗記負担はできるだけ抑えて取りが鈍らないようにしたいです。
そのためには送り札と札の配置をリンクさせることです。先ほどの例で言えば、敵陣に札を送るタイミングで自陣右中段の札を送り、同時に右中段の札を2枚上段に移動させれば、自陣右は上段3枚・中段5枚・下段4枚から上段5枚・中段2枚・下段4枚という形に一瞬で変えられます。これだけの大きな移動でも自分にとっての実質的な暗記負担は中段から上段への2枚の移動だけです。自陣をダイナミックに変化させる手段として送り札と札の移動を上手くミックスさせれば、普段と比べて暗記負担を増やさず相手をゆさぶることができます。

といったところで、逆転の布石を打つ方法を幾つか紹介しました。他にもあると思いますが分かりやすいものを紹介したつもりです。この文章がもし参考になったなら、「スキ」したりコメントいただけると嬉しいです。

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