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競技かるたの作戦・大会で勝ち抜く方法

かるたの大会の多くはトーナメントです。連戦を勝ち抜かなければ昇級につながる好成績は挙げられません。このため、連戦が苦手だと実力があっても大会では成績を残せませんし、実際にそういったタイプの選手を見ることも少なくありません。
では、連戦で勝つためにはどんなことに気をつければ良いでしょうか。今日は、大会で連戦を勝ち抜く方法について書こうと思います。

いきなり結論

いきなり結論を書いてしまいますが、大会で勝ち抜くために重要なことは、①接戦をしないこと、②大差をつけようとしないこと、③遅く取れる札を取ること、だと思います。ただ、これだけでは何のことだか分からないので以下で詳しく説明します。

接戦をしない

まず、大会で上位の成績を残すためには接戦はできるだけ避けたいです。接戦をすると休憩時間が少なくなって体力的に不利ですし、前の試合の暗記が次の試合にも残りやすく暗記の面でも厳しいからです。昇級・上位入賞を目指すレベルの実力があるなら接戦は1日で1~2試合に留めたいです。

といっても、これではあまりにも当たり前すぎますね。そこでもう少し具体的な方法論の話をすると、実力が自分と同等かそれ以下の相手から無理なくリードするための取りかた(狙い方や動き方)を確立することが重要です。相手の強さによって適切なスタイルは変わるからです。
競技かるたでは、スピードを上げたり狙い札を増やしたりすると、ミスの可能性も上がってしまいます。相手が自分と同等以上の実力者ならミスを恐れずスピードを上げる必要がありますが、自分が実力で有利ならばミスがどれだけ許容できるか考える必要があります。ミスを過度に怖がり慎重な取りに終始するとスピードが上がらず接戦に持ち込まれてしまいますが、欲張って実力以上の取りをしようとするとミスが出て勝てるはずの相手に負けてしまうこともあります。練習では多少リスクを冒してでもスピードを上げて実力向上を図ることが多いですが、大会で勝てる相手に勝ちきるときにどこまでリスクを取るか(たとえば狙い札の枚数はどこまで増やせるか、1字目の動き出しのタイミングをどこまで早くできるか)が自分の中で固まっていないのであれば、まずは勝ちきるスタイルを確立する練習をすべきだと思います。

ただ、誤解して欲しくないのですが、この、勝てる相手に勝ちきるスタイルは万能ではありません。特に練習ではこのスタイルを採らない場合も多いです。というのは、「勝てる相手」との練習で多少の無理をして難しい技術にチャレンジしなければ、札を取る力は向上しないからです。勝てる相手に無難に勝つだけでは、速い取りは身につかず練習の意味が乏しいのです。
ですので、勝てる相手に無理なく勝ちきる取りかたを練習するのは、大会で連戦を勝ち抜くスキルが低いという自覚があるときだけにしておいた方が無難です。

大差をつけようとしない

連戦を勝ち抜く上で接戦を避けることの次に大事なのは、大差をつけようとしないことです。少し前に接戦をしてはいけないと書いたことと矛盾しているように思われるかもしれませんが、そうではありません。結果的に差がつくことは良いのですが、「大差をつけようとすること」は避けるべきだということです。
なぜ大差をつけようとするのが悪いかというと、ハイペースで飛ばすために暗記に負担がかかるからです。連戦を戦う上で一番避けたいのは体力と暗記力を消費してしまうことです。しかし、大差をつけようと無理をすると暗記の負担が大きくなります。この記事で書いたとおり、競技かるたはリードしている側の方が暗記負担が大きくなるため、序盤に無理をして大差をつけると試合中は暗記負担が大きい状態が続くからです。
その結果、後の試合で暗記が入らなくなったり前の試合の暗記が抜けなくなったりして、自分の首を絞めるのです。また、無理な暗記をすることがミスにつながり試合中にピンチを招くこともあります。

ですから、連戦を戦う上で理想的なのは、序盤からペースを上げて終始リードを広げて勝つ展開ではなく、序中盤は安定したペースで進めておき、相手のミスや出札の偏りに乗じて一気に差を付けて勝つことです。これなら暗記負担が大きいのは差を広げている短時間で済むからです。一気に相手を圧倒するのではなく、互角~やや優勢くらいのペースを維持してチャンスがあれば差を付けるくらいのペースがちょうど良いです。

遅く取れる札を取る

ここまで、接戦を避けること、大差を付けようとしないことを重要なポイントとして書きましたが、この2つは試合中の大きな方針にすぎません。具体的な取りかたはこの方針を踏まえて決めることになります。
といっても、選手によってスタイルも技術も違う競技かるたの世界では、個々の取りかたについての絶対的な正解はありません。上に書いた大きな方針に沿っているなら、攻めようが守ろうが、短い札を取ろうが長い札を取ろうが、なんでも良いと思います。ただ、どんなスタイルにも共通する、連戦を勝ち抜くために重要なことを一つ挙げるならば「遅く取れる札を取る」ことだと思います。

当たり前ですが、接戦を避けるためには相手と互角以上の取りをしなければならず、そのためには場にある札は半数より多く制したいです。そのために最も単純な方法はスピードを上げることですが、上で書いたとおり無理をしてスピードを上げると暗記の負担が増えてしまうので避けたいです。無理にスピードを上げずに多くの札を取るためには、遅い札の支配率を上げることが重要です。
ここでの遅い札とは、相手が速く取らない札のことです。こういった札を取るためには、短い札を狙いすぎないようにしたり、感じ遅れたり手を出し間違えたりしてもスムーズに動ける構えや払いをしたり、ミスの出にくい暗記をする(例えば、「や」と「よ」のように早いタイミングでの聞き分けが難しい音では1字目の反応にこだわらずに決まり字付近で動くつもりで暗記を入れる)といったことが重要になります。これらができていると暗記や狙いの負担を増やさずに多くの札を取ることができるので試合が安定します。逆に、一発当たった試合は強いがあっさり負けることも多い、というタイプの選手はこの辺りに弱点があることが多いです。連戦を勝ち抜くためには遅い札を安定して取る技術を身につけるのが一番の近道だと思います。

ということで、連戦を勝ち抜く方法について書いてみました。この投稿は、冒頭に書いたような練習では実力を出すのになかなか大会で結果が出ないタイプの選手が、大会で連戦を勝ち抜くにはどうすれば良いかという視点で書いています。
逆に、実力的にやや不利な選手が強い相手から金星を挙げるのであれば、上で書いたことの逆、つまり、接戦に持ち込んで終盤勝負にする、序盤に集中して一気に挽回困難な差を付ける、取る札を絞ってスピード勝負する、といった作戦が有効なことが多いのですが、長くなってきたのでまたの機会で触れようと思います。

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