【黄昏学園SS-11】パンドラ
あれは年が変わってしばらく、めずらしく寒い日のことだったと思う。
あの日、解決部の部室のドアを開けると、おれと同じように黒髪にピンクのメッシュを入れた後輩が振り返って、八重歯を見せて笑いかけてきた。
「コマシ先輩だー。今日はバイトじゃないんですねー」
「う……き、今日は遅番だから、ちょこっと顔出しとこうと思って。木枯嵐くんこそ、部室にいるの、おれひさびさに見たっすよ」
「んー、まあたまにはー? 家に帰る前に、やっておきたいこともありましたしー」
ゆるゆるとした口調で