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思惟かねのノンジャンル随筆

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私が書いた文章のうち、ジャンル分けができないごった煮の文章を集めたマガジンです。画像はおでんです。
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#SF

【映画レビュー】シモーヌ(2002):今こそ見たい18年前に”VTuber”を描いた作品

圧倒的な美貌と演技力で世界中を一躍熱狂させた謎の映画女優「シモーヌ」。誰もがその正体を知らない秘密のベールに覆われた彼女の真の姿は、実は監督の冴えないおじさんが演じるCGであった…。

と、もうそのあらすじだけで面白そうな映画。それがアンドリュー・ニコル監督の2002年の映画「シモーヌ(原題: S1m0ne)」。
ひょんな事からお友達に勧められて見たこの映画は、想像以上に面白く、何より今の時代を1

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【書評】シンギュラリティ・コンクェスト(著: 山口優):私たち人間の存在意義と技術的特異点



シンギュラリティ(技術的特異点)という言葉を、皆さんはご存知でしょうか?

平たく言ってしまえば、それは「人間が人類より優れた知性を作り出した時、爆発的に技術開発のスピードが加速する」という考えです。
なぜなら人類が生み出した人類を超える優れた知性は、さらに優れた知性を作ることが可能なはずです。ならばさらにその最も優れた知性が、それ以上の知性を生み出し…という無限コンボによって、それまでの人類

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小論:分散化する未来の社会と個人の「しあわせ」のかたち

先に予告します。私は毎度これでもかと長文ばかりを書いていますが、今回はとても短い文章になるでしょう。

今回のnoteは、昨日書き上げた「全てがVになる:VRが変える私たちの社会、2050年のその姿(中編)」についてのとあるコメントに、私がいたく感じいるものがあったがために、それを言葉にしたくて書いた「自分の著作に対するコメントへの感想文」だからです。

私はこのエッセイの中で、VRが浸透した未来

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【書評】順列都市/グレッグ・イーガン:我思う、故に我あり

存在することが自己の連続性を示すのではない。
自己の連続性こそが存在の根源である。
故に私は存在する。

存在するから連続するのではなく、連続するから存在する。
順列都市の全ては、この一言に集約できると私は思います。ゆえに私は、この物語をとても美しいと思います。

改めて序文冒頭からあまりに抽象的すぎる言葉ばかりを並べてしまいすみません。
この感想は、基本的にはグレッグ・イーガン著の傑作SF「順列

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