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妄想 短編小説 ショートショート

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頭の中で妄想した少しだけぶっ飛んだ事を描いております。
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#創作大賞2023

妄想 短編小説 『勝利へのルーティーン』

妄想 短編小説 『勝利へのルーティーン』

俺は43歳で実家暮らしのフリーター

若い頃は、いわゆる「パチプロ」だった。

今日は7月7日

行きつけである近所のパチンコ店では、年に一度何かを期待させるゴロが良い大勝負の日である。

巷では七夕なのだが、そんなものは俺にはカンケーない。

今日もバイト代を握りしめて、朝イチ抽選の列に並ぶ。

抽選結果は258番

前列の集団は、スロットに流れるとして何とかパチンコには座れるか・・・

時刻は

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妄想 短編小説 『集中線』

妄想 短編小説 『集中線』

世の中には、幾つもの情報が溢れている。

その幾つもある情報を個人がアンテナを張り巡らせて、必要な情報のみを取り入れる。

パラボナアンテナの様なでっかい利き耳を立て、何でも情報を取り入れる人。

はたまた、か細いラジオアンテナを立て必要最小限の情報のみを取り入れる人。

勿論、アンテナを張張らずとも生活をしていれば自ずと情報は入ってくる。

・・・しかし、それは取るに足りない情報だったりもする。

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妄想 短編小説 『配膳ロボット』

妄想 短編小説 『配膳ロボット』

様々な職業が人手不足に悩まされている昨今、職種により理由は様々だが、飲食業も例外ではない。

コロナウイルスという未知のウイルスがもたらした未曾有の事態に外出自粛を余儀なくされた。

人々が外に出歩かなくなると勿論、レストランにはお客が入らない。お客が入らないと、仕事が減る。仕事が減ると従業員は、生活をしないとならない為、他業種へ転職する。

いちど他業種へ移った人手は、中々戻ってくる筈もなく飲食

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妄想 短編小説 『便利な世の中』

時は西暦2085年

個人がテレポートを自由自在に行えるようになって間もない。

観光業は、右肩上がりの好景気だがそれと同時に「乗り物に乗って移動する」という概念が無くなった。
飛行機、新幹線、バスやタクシーなどあらゆる乗り物が見かけなくなった。

メリットの分だけデメリットも発生する。

まぁ、世の中そんなもんだ。

サトシは平凡なサラリーマンで、今日は休日である。

実家暮らしの二階の部屋では

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妄想 短編小説 『降り続ける雨』

妄想 短編小説 『降り続ける雨』

 仕舞われないままのシオれた鯉のぼりが滑稽である。これじゃあ、まるで煮干しじゃないか。

傘をさしながら晴男(ハルオ)は近所の戸建ての雨に打たれる鯉のぼりを見上げた。

雨の日だろうと散歩は欠かせない。

次に河川敷を沿うよにいつもの散歩コースを歩いた。

「だんだん水位が上がってきたなぁ」

前方にまたがる橋の、危険水位の目印より少し下を濁った水が流れる。

 近所を一周した晴男は、傘を畳みバタ

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