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日本の化学産業の労働生産性は高い
日本の労働生産性は世界23位
2022年に書きかけていた記事なので、少し情報が古いのですが、投稿いたします。
2022年1月17日付日本経済新聞によると、「日本の労働生産性は低位に甘んじている。日本生産性本部の報告書によると、2020年の時間当たりの労働生産性(就業1時間当たりの付加価値)は49.5ドルと、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国のうち23位だった。21位の前年から順位を下げ
技術士第一次試験問題 基礎科目 「技術史」
技術史第一次試験の基礎科目では、必ず「技術史」に関する問題が出る。確実に点が取れる問題であるが、基礎的な知識は教養として備えていないと正答を逃す。
平成27年度
正答 ④
②のホイヘンスと③のアークライトを知らない人は、このどちらかを選んでしまうかもしれないが、①のガリレイと⑤のイーストマンは大丈夫だろう。④は、ベクレルが単位になっているくらいだから正しい組み合わせに一瞬見えるかもしれない
「世界史は化学でできている」に出てくる化合物の構造式(5) アリザリン
アリザリン
「分子構造をもとにした「分子設計図」から合成した染料が、アカネの赤色染料アリザリンである。1868年、ドイツのカール・グレーべ(1841~1927)とカール・リーバーマン(1842~1914)は、アリザリンの分子構造を決定して、コールタールの成分アントラセンから「アリザリン」の合成に成功する。」
アリザリンは下記のような構造です。
パーキンが見つけたモーベインは、それ自体は天然
「世界史は化学でできている」に出てくる化合物の構造式(4) 尿素
「1828年、ドイツの化学者フリードリヒ・ウェーラー(1800-1882)は、無機物のシアン酸アンモニウムを加熱して、有機物の尿素を人工的につくり出すことに成功する」
ウェーラーによる尿素の合成は、有機物を最初に合成した例としてどの教科書にも必ず載っているが、実際の状況は上記とはやや異なるようだ。大阪教育大学の岡博昭教授は、この発見の詳細を調査した結果をホームページで発表している(「ウェーラー
「世界史は化学でできている」に出てくる化合物の構造式(3) ベンゼン、アニリン、キニーネ、モーブ
第12章 最初の合成染料
「化学者たちはコールタールにふくまれる成分に興味を持つようになった。ホフマンは、コールタールから化合物ベンゼンを取り出し、さらに化合物「アニリン」を作った」
ベンゼン
ベンゼンは炭素6個、水素6個から得られる6角形の化合物。いわゆる「亀の甲」の語源である。ただし、この構造が解明されたのは1865年、ケクレによる発見まで待たなくてはならない。
アニリン
アニリンは
「世界史は化学でできている」に出てくる化合物の構造式(2) コチニール、貝紫
動物性染料
コチニール
カメムシ目カイガラムシ上科の一部の昆虫、特にアジア産のラックカイガラムシ、南ヨーロッパのケルメスカイガラムシ、メキシコのコチニールカイガラムシなどのメスの体を乾燥させ、体内に蓄積されている色素化合物を水またはエタノールで抽出して色素としたもの。現代の工業的製法でも乾燥させたラックカイガラムシ、エンジムシ(コチニールカイガラムシ)から温水・熱水などで色素を抽出する。アルミ
「世界史は化学でできている」に出てくる化合物の構造式(1) ウコン、アカネ、ベニバナ、スオウ、アイ、ムラサキグサ
左巻健男著「世界史は化学でできている」は世界史の視点で化学を俯瞰した素晴らしいエッセイで、この種の本では珍しく版を重ねているようです。化学式や構造式を使わっていないところも多くの読者を獲得できたポイントかもしれません。
「化学の本は、同じ理系の生物学や物理学と比べて、部数がなかなか伸びません。多くの人に読まれる本を作ろうと意図して、教養本のジャンルの中でも多くの読者がいる歴史と組み合わせること
リチウムに関する最近のニュース(2022年8月分)
採掘が難航するリチウム
チリ、アルゼンチン、ボリビアにまたがるリチウム産出地域は「リチウム・トライアングル」と呼ばれており、原油にならって「リチウム界のサウジ」とも呼ばれています。ウォール・ストリート・ジャーナルによる下記の記事は資源ナショナリズムや環境運動により、この地域のリチウムの採掘が難航している状況を詳しく報じています。
・リチウム界のサウジアラビアと呼ばれるこの地域はリチウムの世界確
リチウムに関する最近のニュース(6,7月分)
私用多忙につき6月の投稿をスキップしてしまいました。リチウムについての最近のニュースをお伝えします。
リチウムの高騰続く
リチウムの高騰は続いており、7月28日の化学工業日報によれば、炭酸リチウムで90ドル/kgを超え「100ドル越えは時間の問題」となっています。SQMの前副社長Daniel Jimenezのインタビューによれば、EV需要の増加は想定通りであるものの、新規のリチウム資源開発が
化学産業とSDGs 「15.陸の豊かさも守ろう」
日化協SDGsタスクフォース資料の「関連する化学産業の活動」
工場周辺の環境整備などを通じて生物多様性への取り組みを行っている。砂漠化対応素材(吸水性ポリマー)の供給を通じて陸の環境保全に貢献している。
吸水性ポリマーを利用した森林保全への取り組み
SDGsに関する日化協タスクフォース資料を見るまで、吸水性ポリマーが砂漠の緑化に使われているとは知りませんでした。吸水性ポリマー世界大手の日本触媒
化学産業とSDGs 「14.海の豊かさを守ろう」
日化協SDGsタスクフォース資料の「関連する化学産業の活動」
マイクロプラスチックス海洋汚染問題への対応に取り組むとともに、機能性素材等の開発を通じ て海洋汚染防止に取り組んでいる。養殖用素材の供給を通じて、漁業資源確保に貢献している。
「2050年までに海中のプラスチックの重量は魚の重量を超える」
海に漏洩したプラスチックによる環境汚染を説明したこの話は、世の中に強いインパクトを与え、企業や
化学産業とSDGs 「13.気候変動に具体的な対策を」
日化協SDGsタスクフォース資料の「関連する化学産業の活動」
地球温暖化対策として、低炭素社会実行計画の策定や、長期戦略WGを通じて低炭素社会を実現するためのイノベーションの検討を行っている。石炭火力発電等の問題に取り組んで、CO2排出負荷の少ない電力供給に取り組んでいる。
アンモニア混焼技術
2050年のカーボンニュートラルの目標を実現するためには石炭火力発電から排出されるCO2を削減する