岡野一哉
自分が技術士を受験したときに作成したメモを少し整理して、noteで公開します。まずは第一次試験です。
毎月1本の頻度でリチウムに関する面白いニュースをまとめています。
「化学産業とSDGs」というテーマで、各目標ごとに化学産業が貢献できることを考えてみたいと思います。
化学産業におけるデジタルトランスフォーメーションについて考えてみます。
これからの化学産業をめぐる様々な問題を取り上げています
強塩基として有機合成に用いられるLiHMDS,NaHMDSおよびKHMDSについて有機合成化学協会誌にレビューを投稿しましたので、お知らせします。対象とする反応によって、Li、Na、KそれぞれのHMDS塩基をスクリーニングすることが重要ですが、今回はそのような例に絞って文献例をまとめました。
日本の労働生産性は世界23位 2022年に書きかけていた記事なので、少し情報が古いのですが、投稿いたします。 2022年1月17日付日本経済新聞によると、「日本の労働生産性は低位に甘んじている。日本生産性本部の報告書によると、2020年の時間当たりの労働生産性(就業1時間当たりの付加価値)は49.5ドルと、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国のうち23位だった。21位の前年から順位を下げ、1970年以降最低となった。」とあります。 データの元になった日本生産性本
技術史第一次試験の基礎科目では、必ず「エネルギー消費」、「エネルギー情勢」に関する問題が出るが、その内容は時代によって変化している。最新の状況は「エネルギー白書2023」で確認しておくことが望ましい。 平成27年度 正答 ⑤ 2020年のデータであるが、主要国の一人あたりの電力消費量は、正答の順番の通り下図のようになっている。気温の低い国はそもそも一人当たりのエネルギー消費量が大きく、これに経済規模が加味されて図のような順位になる。 平成28年度 正答 ①
技術史第一次試験の基礎科目では、必ず「技術史」に関する問題が出る。確実に点が取れる問題であるが、基礎的な知識は教養として備えていないと正答を逃す。 平成27年度 正答 ④ ②のホイヘンスと③のアークライトを知らない人は、このどちらかを選んでしまうかもしれないが、①のガリレイと⑤のイーストマンは大丈夫だろう。④は、ベクレルが単位になっているくらいだから正しい組み合わせに一瞬見えるかもしれないが、放射性元素ラジウムを発見した人はマリー・キュリーで、ベクレルが発見した放射性
技術士は、技術士法に基づく国家資格で、「科学技術の応用面に携わる技術者にとって最も権威のある最高位の国家資格」とされています。科学技術に関する高度な知識、応用能力および高い技術者倫理を備えていることを国家によって認定されており、登録した技術部門の技術業務を行うことができます。私は2023年4月に化学部門で技術士資格を取りました。技術士試験をこれから受ける方の参考になればと考えまして、合格に向けた私の体験記をお伝えいたします。 技術士を知るきっかけ 「技術士」という資格を最
令和3年度の技術士一次試験、令和4年度の技術士二次試験に合格し、技術士(化学分野)になりました。自分の試験勉強のために過去問を解析したメモをもとに、分野別の出題傾向、解答のポイントなどをNotesに掲載しています。 バイオテクノロジー関連では、「DNA」について毎年出題されますが、同じ問題が繰り返されることが多いようです。 平成27年度 正答 ③ 塩基の相補性の組み合わせはシトシンとグアニン、チミンとアデニンなので、相補鎖ではアデニンが20%、グアニンが35%と
アリザリン 「分子構造をもとにした「分子設計図」から合成した染料が、アカネの赤色染料アリザリンである。1868年、ドイツのカール・グレーべ(1841~1927)とカール・リーバーマン(1842~1914)は、アリザリンの分子構造を決定して、コールタールの成分アントラセンから「アリザリン」の合成に成功する。」 アリザリンは下記のような構造です。 パーキンが見つけたモーベインは、それ自体は天然物ではありません。アリザリンは天然物の染料を化学合成した初の合成染料とされていま
「1828年、ドイツの化学者フリードリヒ・ウェーラー(1800-1882)は、無機物のシアン酸アンモニウムを加熱して、有機物の尿素を人工的につくり出すことに成功する」 ウェーラーによる尿素の合成は、有機物を最初に合成した例としてどの教科書にも必ず載っているが、実際の状況は上記とはやや異なるようだ。大阪教育大学の岡博昭教授は、この発見の詳細を調査した結果をホームページで発表している(「ウェーラーは何をしたのか -尿素の合成に関して-)。これによると、ウェーラーの当初の狙いは
第12章 最初の合成染料 「化学者たちはコールタールにふくまれる成分に興味を持つようになった。ホフマンは、コールタールから化合物ベンゼンを取り出し、さらに化合物「アニリン」を作った」 ベンゼン ベンゼンは炭素6個、水素6個から得られる6角形の化合物。いわゆる「亀の甲」の語源である。ただし、この構造が解明されたのは1865年、ケクレによる発見まで待たなくてはならない。 アニリン アニリンはベンゼンにアミノ基NH2がついた化合物。ただしコールタールから「取り出された」化
動物性染料 コチニール カメムシ目カイガラムシ上科の一部の昆虫、特にアジア産のラックカイガラムシ、南ヨーロッパのケルメスカイガラムシ、メキシコのコチニールカイガラムシなどのメスの体を乾燥させ、体内に蓄積されている色素化合物を水またはエタノールで抽出して色素としたもの。現代の工業的製法でも乾燥させたラックカイガラムシ、エンジムシ(コチニールカイガラムシ)から温水・熱水などで色素を抽出する。アルミニウム塩として不溶化(レーキ化)させるとコチニールレーキという赤色顔料となる。
左巻健男著「世界史は化学でできている」は世界史の視点で化学を俯瞰した素晴らしいエッセイで、この種の本では珍しく版を重ねているようです。化学式や構造式を使わっていないところも多くの読者を獲得できたポイントかもしれません。 「化学の本は、同じ理系の生物学や物理学と比べて、部数がなかなか伸びません。多くの人に読まれる本を作ろうと意図して、教養本のジャンルの中でも多くの読者がいる歴史と組み合わせることを考えたんです。『銃・病原菌・鉄』や『サピエンス全史』といった人類史のベストセラ
採掘が難航するリチウム チリ、アルゼンチン、ボリビアにまたがるリチウム産出地域は「リチウム・トライアングル」と呼ばれており、原油にならって「リチウム界のサウジ」とも呼ばれています。ウォール・ストリート・ジャーナルによる下記の記事は資源ナショナリズムや環境運動により、この地域のリチウムの採掘が難航している状況を詳しく報じています。 ・リチウム界のサウジアラビアと呼ばれるこの地域はリチウムの世界確認埋蔵量の約55%を有する。 ・中国EV大手BYDは今年初め、チリ政府の入札でリ
日化協SDGsタスクフォース資料の「関連する化学産業の活動」 CSRやRCを通じて法律や企業倫理(環境・安全面における法律以上の取り組みも含む)の遵守やその情報公開を行っている。 「SDGsと化学産業」の関係を考える一連のnoteで、SDGsの目標に貢献する化学産業の活動を紹介しています。 さて、SDGs 16は 「平和と公正をすべての人に」です。産業界で「公正」が求められる分野が「取引における公正」です。そのルールをつかさどる機関が「公正取引委員会」であり、取り締まり
私用多忙につき6月の投稿をスキップしてしまいました。リチウムについての最近のニュースをお伝えします。 リチウムの高騰続く リチウムの高騰は続いており、7月28日の化学工業日報によれば、炭酸リチウムで90ドル/kgを超え「100ドル越えは時間の問題」となっています。SQMの前副社長Daniel Jimenezのインタビューによれば、EV需要の増加は想定通りであるものの、新規のリチウム資源開発が予定通り進んでおらず、特に鉱山のプロジェクトが環境問題で遅れているとのことで、「
日化協SDGsタスクフォース資料の「関連する化学産業の活動」 工場周辺の環境整備などを通じて生物多様性への取り組みを行っている。砂漠化対応素材(吸水性ポリマー)の供給を通じて陸の環境保全に貢献している。 吸水性ポリマーを利用した森林保全への取り組み SDGsに関する日化協タスクフォース資料を見るまで、吸水性ポリマーが砂漠の緑化に使われているとは知りませんでした。吸水性ポリマー世界大手の日本触媒のサイトでは、吸水性ポリマーを利用した森林保全への取り組みが紹介されています。
日化協SDGsタスクフォース資料の「関連する化学産業の活動」 マイクロプラスチックス海洋汚染問題への対応に取り組むとともに、機能性素材等の開発を通じ て海洋汚染防止に取り組んでいる。養殖用素材の供給を通じて、漁業資源確保に貢献している。 「2050年までに海中のプラスチックの重量は魚の重量を超える」 海に漏洩したプラスチックによる環境汚染を説明したこの話は、世の中に強いインパクトを与え、企業や消費者に、プラスチックの環境問題を考える動機付けを与えるきっかけになりました。