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化学産業とSDGs 「14.海の豊かさを守ろう」

日化協SDGsタスクフォース資料の「関連する化学産業の活動」
マイクロプラスチックス海洋汚染問題への対応に取り組むとともに、機能性素材等の開発を通じ て海洋汚染防止に取り組んでいる。養殖用素材の供給を通じて、漁業資源確保に貢献している。

「2050年までに海中のプラスチックの重量は魚の重量を超える」 
海に漏洩したプラスチックによる環境汚染を説明したこの話は、世の中に強いインパクトを与え、企業や消費者に、プラスチックの環境問題を考える動機付けを与えるきっかけになりました。

この話は、2016年の世界経済フォーラムに報告された「The New Plastics Economy, Rethinking the future of plastics」の中で発表されました。世界経済フォーラムとは、経済、政治、アカデミア、その他の社会におけるリーダーたちがスイスに集まり、世界が直面する課題について議論する場です。スイスのダボスで開催される年次総会、いわゆる「ダボス会議」が特によく知られています。

https://www3.weforum.org/docs/WEF_The_New_Plastics_Economy.pdf



エレン・マッカーサー財団
 この論文の著者の一人であるエレン・マッカーサーは1977年イギリス生まれ。元はプロのセーリング選手で、2001年、彼女が24歳の時に単独世界一周航海を成し遂げました。プロとして海の上で活動をするなかで、限りある資源の重要性に気づくとともにそれに頼りきっている社会へ危機感を覚えたことから、地方自治体や政府、科学者、企業を通じて経済モデルについて学習を重ねました。そしてセーリング選手を引退後の2010年に、リニア型経済からサーキュラー型経済への移行を推進する「エレン・マッカーサー財団」を立ち上げました。


エレン・マッカーサーら3人が発表した「The New Plastics Economy, Rethinking the future of plastics」の図表を使って説明します。

世界のプラスチックの生産量は2014年には3億トンに達しました。1964年の1500万トンの20倍に達しています。

このうち、78百万トンが包装材として利用されていますが、リサイクルに回されている割合は14%、焼却処理が14%、地中埋め立てが40%で、残りの32%が環境中に漏洩しています。

2014年に311MTだったプラスチックの生産量は、2050年には1124MTまで増加すると予想されています。プラスチック全体の生産量の増加から、海に漏洩するプラスチック量を推定し、魚の量は現在と同じと仮定して、2050年の海洋プラスチック量と魚の量を比較した図がこちらになります。重量ベースで魚と同じかそれ以上になると予想されています。

この課題の解決に向けて経済全体を「サーキュラー・エコノミー」に変えていくことが求められており、現実にはすでにその方向に向かって化学産業全体が動いているといえるでしょう。


エレン・マッカーサー財団に対する日本の化学企業の動きはまだ顕著ではなく、2019年に三菱ケミカルがエレン・マッカーサー財団「サーキュラー・エコノミー100」に日本の化学企業として初参加しました。

https://www.mitsubishichem-hd.co.jp/news_release/pdf/00792/00886.pdf


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