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「世界史は化学でできている」に出てくる化合物の構造式(1) ウコン、アカネ、ベニバナ、スオウ、アイ、ムラサキグサ

 左巻健男著「世界史は化学でできている」は世界史の視点で化学を俯瞰した素晴らしいエッセイで、この種の本では珍しく版を重ねているようです。化学式や構造式を使わっていないところも多くの読者を獲得できたポイントかもしれません。

「化学の本は、同じ理系の生物学や物理学と比べて、部数がなかなか伸びません。多くの人に読まれる本を作ろうと意図して、教養本のジャンルの中でも多くの読者がいる歴史と組み合わせることを考えたんです。『銃・病原菌・鉄』や『サピエンス全史』といった人類史のベストセラーの存在も意識しました」(担当編集者の田畑博文さん)

 一方で、化学を専門とする、あるいは専門としていた読者は、構造式がある方がイメージをつかみやすいように思います。そこで、本書で取り上げられている有機化合物の構造式を調べてみました。

第12章 美しく染めよ

天然染料

ウコン

カレーの黄色成分である。色素成分はクルクミンという名のポリフェノール化合物。クルクミノイドに分類される。

クルクミン

アカネ

日本で最も古くから使われた赤系の染料で、日の丸の赤はこの染料で染められているという。色素成分はアリザリン(アリザリンについては別途(5)号で詳しく書いています。)。

アリザリン

ベニバナ

山形県の県花として有名なベニバナ。色素成分はカルタミン。1975年に山形大学の小原らにより構造式が発表された。

カルタミン

スオウ

スオウ(蘇芳)は植物の名前で、黒みを帯びた赤色の染料の原料。今昔物語では凝固しかけた血液の表現にも使われた。色素成分はブラジリン。

ブラジリン

アイ

藍色の成分であるインディゴは様々な植物から得られる。日本ではタデ科の「アイ(藍)」から抽出された。

インディゴ

ムラサキグサ

ムラサキの根を原料として染め上げた色が「紫色」。色素成分はシコニン。

シコニン

どの構造も共役系が並んでいる構造ですね。今日はここまで。


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