「世界史は化学でできている」に出てくる化合物の構造式(2) コチニール、貝紫
動物性染料
コチニール
カメムシ目カイガラムシ上科の一部の昆虫、特にアジア産のラックカイガラムシ、南ヨーロッパのケルメスカイガラムシ、メキシコのコチニールカイガラムシなどのメスの体を乾燥させ、体内に蓄積されている色素化合物を水またはエタノールで抽出して色素としたもの。現代の工業的製法でも乾燥させたラックカイガラムシ、エンジムシ(コチニールカイガラムシ)から温水・熱水などで色素を抽出する。アルミニウム塩として不溶化(レーキ化)させるとコチニールレーキという赤色顔料となる。
貝紫
貝紫のアッキガイ科の分泌物に由来し、古代東地中海のフェニキア諸都市が産地。カエサルの紫のマント、クレオパトラの旗艦の帆がこの貝紫に染められていたことは有名。主成分は臭素を含むインディゴ誘導体の6,6'-ジブロモインジゴ。
2021年1月,イスラエルの遺跡で発掘された紫色の羊毛が,紀元前10 ~ 11世紀に巻貝から採った染料「貝紫」で染められたものであることが判明した。イスラエルの研究チームが炭素同位体の測定によって年代を確定し,高速液体クロマトグラフィー分析によって染料の正体を突き止めた。
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