見出し画像

「ビーガンとメンタル」「亜鉛と感染予防」「最近の若者は…本当に変わったのか?」【最近のメタ分析まとめ2021年12月版】

「ビーガンって結局メンタルにいいの?」みたいなご相談を受けました。近頃そこら辺の問題をまとめた割と質のいいメタ分析が出ておりましたんで、それも合わせていくつか最近の「メタ分析まとめ」をやっておきたいと思います。

▼「肉を食べないとうつになる!」vs「いやいや肉を食べない方がメンタルにいいんよ!」

ここ20年くらいでメンタルの問題が急速に拡大しているのはご存じの通り。ある推計では現在世界で3億人を超える人たちがうつに苦しんでいるとか。

で、それに少なからず関わっているだろうとされているのが食事習慣の変化でありまして、なかでも「ビーガン」や「ベジタリアン」との関係が注目されてますよね。実際、過去の研究を参照すると、「肉を食べない人たちはうつや不安のリスクが高い!」「自殺等の自傷傾向も強い!」ってデータがあったかと思えば、「肉をさけている人の方が幸福感が高く、うつのレベルも低い!」なんて報告もあって、真逆の結論になっていることも多いんですよ。

そんなところで最近のメタ分析(R)では、肉食とメンタルの関係を厳格な条件で調べてくれておりました。これは基準を満たした20の研究をピックアップして、合計171,802人分の食事とメンタルのデータを分析した内容になってます。

これまでの研究の結論が真逆になっていた理由の一つとして、メンタル、肉食のいずれの指標においてもその評価方法が曖昧だった点があげられるんですが、今回のメタ分析では肉を全く食べない人(ビーガンかベジタリアン)と普通に食べる人における「うつ」「不安」の違いだけに絞って調査してくれておりますんで、今までの中ではエビデンスは高めで、非常に参考になる内容でしょう。


対象者はアメリカ、ヨーロッパ、アジア、オセアニアの幅広い地域に住む11歳から105歳の男女で、結果はどうだったかというと、

■ 肉を食べない人たちのうつのリスクは肉を食べる人に比べて有意に高かった(g=0.216、I2=75.68)

■ 不安のレベルも肉を食べない人の方が有意に高かった(g=0.17, I2=81.50)

■ ビーガンの人は肉を食べる人に比べてうつのレベルが有意に高かった(g=0.26, I2=76.50)

■ ビーガンの人は肉を食べる人に比べて不安のレベルが高かったが、有意な差はなかった(g=0.15, 95% CI [-0.40, 0.69])

■ 以上の結果に関して男女による違いはなかった。また、質の高い研究ほど肉を食べない人、ビーガンの不安、うつレベルが高く確認された

だったそうです。今まで食事、メンタルの両方においてなんとなくぼやけていた指標を明確にして調べてみたら、やっぱり肉を食べてない人の方がメンタルに問題を抱えやすい傾向が見られたわけっすね。

もちろん因果関係を示したものではないんで、「肉を食べないとうつになる!」と断言することはできないものの、肉をさけすぎると身体に必要な栄養も不足しちゃうし、やっぱり心身の健康を目的とするなら適度に肉も食べといたほうがいいんじゃないかなーと。


▼亜鉛は本当にウイルス性の感染症予防や治療に役に立つのか?

「亜鉛のサプリで風邪予防!」みたいな話は昔からありまして、実際いくつかのガイドラインでも感染症予防や治療に亜鉛を進めていたりします。また、SARS-Cov-2に対しても予防、治療のために亜鉛を処方しているお医者様もいるらしい。

ということで新たに、条件を満たした全28件のRCTから急性ウイルス性気道感染症(RTI)に対する亜鉛の予防、治療の効果・副作用をまとめたシステマティックレビュー、メタ分析(R)が出ておりました。

各研究のサンプルサイズは12人~1945人、大半の患者は65歳以下で、投与された亜鉛の形態として最も多かったのはトローチ型、ほかには鼻腔スプレーやジェルなどがあったそう。


さて、その結果はというと、

ここから先は

2,380字 / 1画像

¥ 250

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?