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【コーヒー】の効果をダダーッと羅列していくだけのエントリ

昨日おされな珈琲店を見つけてテンションが上がったので、今回はコーヒーのメリットをまとめておきます。

ご存じの通り「コーヒー」は手軽で優秀な抗酸化・ポリフェノールアイテム。1970年から2010年代までの、コーヒーが健康に及ぼす影響を調べた1,277件の研究のレビュー(R)によると、定期的かつ適度な(1日3~4杯程度)コーヒーの飲用には以下のようなメリットがあるとしたうえで、メリットがコストを上回ると結論付けられています。

  • 総死亡率の低下

  • 心血管疾患リスクの低下

  • がんリスクの低下

  • 神経系疾患リスクの低下

  • 消化器系疾患の低下

  • 代謝の改善

  • その他の健康アウトカム

要するに、コーヒーに含まれる多くの有効成分のうち、どの成分(またはその組み合わせ)が影響しているのかといった疑問は残るものの、あらゆる面でコーヒーが私たちに健康上のメリットをもたらしてくれそうなのは間違いないってことですな。

そんなわけでここからはもうちょい詳しく、「現時点でわかってるコーヒーのメリット」に関するデータをダダーッとまとめておきましょう。

  • コーヒーを飲むと長生きできる?かも:
    45歳から75歳の185,855人を対象にした研究(R)では、参加者のコーヒーを飲む習慣を定期的に調査し、平均16年間にわたって追跡。その結果、コーヒーを1日1杯以上飲む人は全く飲まない人に比べて総死亡リスクが12%減少。さらに2~3杯飲む人では死亡リスクが18%低かった(年齢、性別、民族、喫煙習慣、学歴、疾病、運動、飲酒は調整済み)。死因別では、心臓病、がん、脳卒中糖尿病、呼吸器疾患、腎臓疾患などによる死亡リスクの低下と関連していた。

    コーヒーによる死亡率低下の効果はレギュラーコーヒー・カフェインレスコーヒーのいずれを飲んだかに関わらず認められた。また、アフリカ系アメリカ人、日系アメリカ人、ラテン系アメリカ人、白人のいずれの集団でも関連が認められたため、この結果は他の人種にも当てはまると考えられている。

    平均年齢37.7歳の19,896人を追跡した別の研究(R)では、1日に少なくとも4杯のコーヒーを飲む人はコーヒーを全く/ほとんど飲まない人に比べて総死亡リスクが64%低かった。また、45歳以上の人に限り、1日のコーヒー消費量が2杯増えるごとに死亡リスクが30%低下していた。つまり、若い人より中年以降の方が強い保護効果を得られるのかもしれない。

  • コーヒーで脳力アップ!:
    2006年から2010年にかけて募集された英国バイオバンクの365,682人を2020年まで追跡した研究(R)によると、コーヒーまたはお茶を単独 or 併用して飲んでいる人は脳卒中や認知症のリスクが有意に低かった。例えば、毎日2~3杯のコーヒーと2~3杯のお茶を飲んでいる人はどちらも全く飲まない人に比べて脳卒中のリスクが32%低く、認知症のリスクが28%低かった

    126か月間にわたって200人以上を追跡したECUの研究(R)によれば、日常的なコーヒー消費量が多い人は軽度認知障害やアルツハイマーのリスクが低く、アルツハイマー発症の主要因と考えられているアミロイドβの蓄積も少なかった。具体的には、1日のコーヒーを1杯から2杯に増やすと、18か月後の認知機能が8%ほど低下することと関連していた。カフェストル、カーウェオル、エイコサノイル-5-ヒドロキシトリプタミドといった複数のコーヒー成分が関連していると考えられ、デカフェコーヒーでも同様の効果を期待できる可能性もある(が、現時点では正直よくわからん)。

    ただし、英国バイオバンクの17,702人を対象にした研究(R)では、1日6杯以上のコーヒー摂取は認知症リスクの53%上昇や脳体積の減少とも関連していた。メカニズムは不明だが、おそらく脳構造・機能の健康との関連では1日2~3杯くらいがベストで、それより多い場合には多めに水分をとるように意識しておくのがよさげ。

    また、睡眠不足への対抗手段としてコーヒーを利用する場合にも注意が必要。2021年の研究(R)によると、カフェインは単純な注意力くらいなら高めてくれるが、短時間の記憶力はカバーできなかったことが確認されている(Twitterでも紹介しましたね)

  • コーヒーは糖尿病や肥満に効く?:
    Scientific Reportsに掲載されたノッティンガム大学の研究(R)では、たった1杯のコーヒーでもヒトの褐色脂肪が活性化することが確認された。褐色脂肪は他の脂肪とは異なる働きをすることが知られており、寒さに反応して糖や脂肪を燃やし、熱を産生する。褐色脂肪が活性されると血糖値のコントロールが改善されるだけでなく、血中脂質レベルも改善し、余分なカロリーを燃焼させることで糖尿病や肥満の対策になると考えられている。しかしカフェインの効果によるものなのか他の成分によるものなのかは不明で、デカフェで同様の効果を得られるかは謎。

    また、妊娠中の(少量の)カフェイン摂取で妊娠糖尿病リスクを低減できる可能性もある。最近のペンシルバニア大学の研究(R)では、2,529人の妊婦の前向きデータを調査し、妊娠前・妊娠中のコーヒー、紅茶、炭酸飲料、エナジードリンクの摂取量をチェック。その結果、妊娠10~13週目のカフェインの摂取量は妊娠糖尿病のリスクとは関係がなく、妊娠中にカフェインを飲んだ人とそうでない人とで血圧、子癇前症にも有意な関連は見られなかった。むしろ、妊娠中期に1日当たり100mg以下のカフェインをとっていた人は糖尿病リスクが47%低下していた。ただし、推奨量(200mgであることが多め)以下であっても、妊娠中のカフェイン摂取は新生児の体格が小さくなるといった報告もあり、少なくとも普段あまりカフェインをとらない人が妊娠したらカフェインを積極的にとろう!と考えるのはお勧めできない点には注意。

  • コーヒーは心臓や血管にもいい!:
    コーヒーを飲むと心臓がバクバクするから危なそう!と考える人もいるが、おそらくコーヒーは心血管リスクには影響はない、またはリスク低下に寄与すると考えられる。

    例えば、心臓病の既往のない382,532人のデータを分析した研究(R)では、1日2~3杯のコーヒーを摂取する人は冠動脈性心臓病、心不全、心拍障害等の理由で死亡するリスクが10~15%低くなっていた。最大の保護効果は1日2~3杯の場合に認められ、それより多くとってもむしろリスクは向上していた。ベースライン時に心臓病の兆候のなかった468,629人を10~15年追跡した最大規模の研究(R)によれば、1日0.5~3杯のコーヒー摂取は全死亡リスクの12%低下、脳卒中の発症リスクの17%低下と関連していた(年齢、性別、体型、喫煙、運動、血圧、コレステロール、食事等は調整済み)。さらに30,650人のMRIデータを分析すると、1日0.5~3杯のコーヒーを摂取している人の心臓は構造・機能ともに良好な状態と評価された。

    また、ベースライン時に何らかの心血管疾患にかかっていた34,279人を対象にした研究(R)によれば、1日2~3杯のコーヒー摂取はコーヒーを飲まない場合に比べて死亡のオッズが低下していた。そしてコーヒーを多く飲んでいる場合でも心房細動や心房粗動など、一般的に懸念されている心臓のリズムの障害リスクは高くならなかった。つまり、思ってるよりコーヒーは心臓にとって安全で、むしろ健康的な食生活の一部になりうる。

    コーヒーの種類による違いを調べた研究(R)によれば、インスタントコーヒーか挽いたコーヒーかに関わらず、やはり1日2~3杯のコーヒーが不整脈、心臓の動脈閉塞、脳卒中、心不全リスクの低下を最も低くしていた。カフェイン抜きのコーヒーもおおむね心血管疾患リスクの低下と関連していたが、全体的な成績はカフェイン入りコーヒーの方が高く、心臓・血管の保護効果という点ではカフェインが入っていたほうがよさげ。

  • コーヒーでがんに対抗!:
    コーヒーは特定のがんの予防、進行抑制に寄与することが確認されている。例えば、ルンド大学などの研究(R)では、乳がん患者さん1,090人のうち、タモキシフェン治療を受けており、かつコーヒーを1日2杯以上飲んでいた人は、コーヒーを全く飲まない/ほとんど飲まない人に比べて2年後の再発リスクがほぼ半分になっており(HR=0.51)、腫瘍も小さい傾向があった。さらに研究チームはカフェインとカフェイン酸を用いた細胞研究も行っており、乳がん細胞は特にカフェインに反応し、特にタモキシフェンを同時に浴びることで細胞分裂が減少、細胞死が増加することが分かった。つまり、カフェインががん細胞の分裂に必要なシグナル伝達のスイッチをオフにする可能性を示している。

    そのほかにも、コーヒー摂取は大腸がん等のリスク低減の効果もあることが報告されている。実際、WHOは25年間にわたってコーヒーを膀胱がんを引き起こす発がん物質を表示してきたが、2016年には肝臓がんと子宮がんのリスクが低下すると発表した。ただし、熱々のコーヒーを飲むと食道がんのリスクになる可能性がある点には注意が必要(ほかの飲み物にも言えることですが)。

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