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自律分散型組織「DAO」、よくある3つの誤解

Web3.0の登場によって、新しい組織形態「DAO」が注目されています。

しかし、まだ新しい概念で、その組織の体験者も決して多くないため、様々な意見や見方が存在しています。

DAOとは一体どういう組織なのでしょうか? よくある誤解を紐解きながら理解を深めてみます。


DAOとは非中央集権で合議制な透明度の高い組織


DAOは「Decentralized Autonomous Organization」の略称で、自律分散型組織や分散型自治組織などと呼ばれます。特定の管理者がいなくても、組織内の意思決定やプロジェクトの進行を行える組織の形態です。

従来のピラミッド型組織と違い、意思決定や指示を下す経営陣や管理職が存在せず、民主制や情報の透明性が高く、権限が分散されています。

こう聞くと「誰もが何でも勝手に決められる組織」なのだと捉えられがちですが、実はそれは誤解なのです。DAOにまつわる誤解はさまざまあるのですが、そのうち3つご紹介したいと思います。


3つの誤解、①独断で決められる、②誰でも意思決定に参加できる、③組織のまとめ役がいる


DAOについて誤解されやすい点があります。

DAOにまつわる誤解のひとつは、「誰もが勝手に意思決定できる」という点です。

権限が委譲されているからといって、個々のメンバーが好き勝手に独断で物事を決められるわけではありません。

DAOの意思決定は、投票もしくは決定権を持つ個人・グループによって判断されます。すなわち、民主的なプロセスを通じて意思決定が行われるのです。


次いでよくある誤解が「意思決定には誰でも参加できる」という点です。

DAOは誰もが組織運営に参加できそうに見えますが、その意思決定に関わるためには"ガバナンストークン"が必要です。トークンとは「しるし」「象徴」などを意味する言葉ですが、例えるならその組織が独自に発行しているポイントや通貨に近いものです。

DAOでは、このガバナンストークンを持っていないと、意思決定に関与することはできないのです。


最後に「組織のまとめ役が存在している」ということも誤解されがちな点です。

組織である以上、何かを意思決定する際、まとめ役が必要だと思うことでしょう。例えば、意思決定が民主的に行われるなら、その投票の数を集計したり開示したりする役割が必要なはずです。

しかし、DAOはまとめ役たる"中央管理者"が存在していません。すべての過程はシステムによって自動的に処理され、そこに人為的な介入はありません。

開示においても、全ての活動履歴が公開されているため、情報の透明性が限りなく高いのです。


ティール組織は少数意見でも尊重されるが、DAOは民主的に意思決定がされる


さて、こうして見ると、近しい組織形態として以前注目された「ティール組織」との違いが見えてきたと思います。

例えば、DAOでは民主的な意思決定プロセスが行われるため、少数派の意見はかき消されてしまいます。対照的に、ティール組織は助言プロセスを通じて少数意見も尊重され、誰でも前に進めることができるのです。

その他にも細かい違いは存在するでしょう。逆に、両者の共通点を探し、それ以外は異なるものだと捉えた方が良いかもしれません。

その観点で言えば、「特定の管理者がいなくとも組織の意思決定やプロジェクト推進できる」点は共通要素と言えそうです。

ここまでDAOの特徴やよくある誤解、ティール組織との違いを見てきましたが、こうした新しい組織形態は今後も技術の進化に伴い、提案されることでしょう。

しかし、全く新しい概念が次々と生まれるというわけではないと思います。むしろ、DAOも既存概念と近しい要素が多分に含んでおり、それら概念の課題を改善し、洗練させたものと受け止めた方が良さそうです。

したがって、流行り言葉に惑わされることなく、どんな課題を解決するために生まれた概念かを正しく理解し、自社に取り入れるかどうかを検討することが大切です。

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