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小川志津子の文。

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20年来取り組んだライター職を離れた派遣社員が、日ごろ見聞きし感じたことを記す随筆マガジン。
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2020年5月の記事一覧

「自分を好きな人が苦手」というスパイラル

「自分を好きな人が苦手」というスパイラル

たとえば、新しい職場で働くことになって。たまたま、同じ研修グループになって、言葉を交わした人がいたとする。

私は長いこと、初対面の相手に腹を割ってもらう「インタビューライター」という仕事をしてきたので、多少、口下手な人や、話運びが上手でない人にも、ある程度、面白く腹を割っていただくことが、なんとなくできる。

初対面の人と話すときも、ほんの少し、その筋肉を使う。だから「オガワさんと話すと楽し

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「挫折」について語ろう。

「挫折」について語ろう。

つくづく、ショックの強い二文字だと思う。もう人生がひとつおわってしまうみたいな、そういうニュアンスがそこはかとなく漂う二文字だ。でも、40代終盤に差しかかると、実にライトな、挫折のかけらを、自分は確かに、いくつも経てきたなあと思う。

「あいにいく」というインタビュー連載サイトを運営していた時期がある。日本全国の、有名無名にかかわらず、きらめく何かに取り組んでいる、きらめく誰かに会いに行って話を聞

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幸せにはたらく方法について

幸せにはたらく方法について

どんな働き方が、私にとっての幸せだろう。この数年、ずっと考え続けていることである。

こんなふうに考えられるようになったのは、実はわりと最近のことだ。それまでは、「いかに自分が役に立つか」「どんな仕事でなら貢献できるか」しか考えていなかった。「それをすることで自分は幸せなのか」までは思い至らなかったのだ。

「役に立つ」「貢献」を軸に「仕事」を考えていくと、なんとも暗澹たる気持ちになる。求人情報を

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がちがち沖縄ひとり旅

がちがち沖縄ひとり旅

もともとひきこもり気味の私は、おうち生活はもはや「体質」と言っていい。ステイホームが叫ばれる前から、休日の過ごし方はこんな感じだった。ただ、こういう暮らしをしていると、ふと、思い出す光景がある。25年近く前、大学の卒業旅行に行ったときのことだ。

「どこ行くー?」「どこでもいいよー?」的なやりとりに、当時の私は辟易していた。だから思い切って、沖縄へのひとり旅を計画。その決断には、幼いながら、こんな

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ウクレレはじめました。

ウクレレはじめました。

勤め人生活がいったんの区切りを得て、おうち生活が始まってから10日を過ぎた。快適すぎて、びっくりしている。もっと、「外に出たい!」とか「人としゃべりたい!!」とかがのしかかってくるのかと思っていた。でも全然のしかかってこない。朝起きて、どこにも行かなくていいことに、とてつもなく安心する。胸のあたりから、じわじわと、幸福が全身に沁みだしてくる。だから私は午前中が好きだ。これから、1日が始まる。なにを

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