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パリのセルジュ・ゲンズブール
「パリのセルジュ・ゲンズブール」というのは「浅草のビートたけし」みたいであまり意味を成していないんだけど、去年目黒シネマで『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ 4K完全無修正版』(たしか2Kでの上映だったが)と『スローガン』を観てからすっかりゲンズブールに興味が出てしまい、この間はじめてパリに行ったらゲンズブールに関する展覧会をやっていたのもあって、偶然色々見ることができた。
Serge Gain
P. A. ミヒェリスの「パトラの教会堂」
P. A. ミヒェリス(Παναγιώτης Α. Μιχελής)はギリシャの建築家、建築理論家で、アテネ工科大学(NTUA)で長年教職に就いていた教育者でもある。日本では吉田鋼市による訳で『建築美学』(南洋堂書店、1982)が出ていて、これは『Η αρχιτεκτονικη ωσ τεχνη』(版元不明、私家版?1965)のジャン・クシディアス(Jean Xydias)による仏語訳『L'Es
もっとみる隈研吾読書会① 建築(批評)家として
今回扱う著作:『10宅論』『建築的欲望の終焉』
(匿名)批評家デビュー隈のキャリアは東大院を修了後、大手設計事務所、ゼネコンと実務経験を積んで、'85-6にコロンビア大へ留学(特別研究員)し、帰国後独立したということになっているが、実際の著述業デビューは建築家デビューより早く、大学院在学中にあたる。『SD』誌巻末に連載されていたグルッポ・スペッキオという匿名グループによる建築批評が、隈の最初の著
隈研吾読書会⓪告知用
概要国民的建築家となった隈研吾の思考は活動の初期から一貫した問題意識、方法論がある。現代における建築の成立根拠を原理的・社会的に問う隈の言説を概観し、隈の選択しなかった建築の可能性を模索する。
隈は活動の初期から設計言説、作品批評、社会時評を問わず活発に言説を発表し続けている。本読書会では単行本にまとめられた隈の言説を時代ごとに追っていく。扱う書籍は以下の通り。
『10宅論』『建築的欲望の終焉』
表現形式によって喚起されるもの
紙面なり画面なり2次元の表現というのは難しい。特に建築では3次元の空間や事物を2次元の図面・画面に投影することにまつわるそもそもの困難が付き纏っている。描画形式の歴史、特に製図技法の歴史はこの困難に対して人間が行なってきた試行錯誤の歴史とも言えそうである。
ただ、こうした見方は内容が先にあって形式が従属しているという先入観によるものであって、実際には形式によって生み出される内容があるということ