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2021年8月の記事一覧

シン・日曜美術館『深読み 夏目漱石の坊っちゃん』⑮

シン・日曜美術館『深読み 夏目漱石の坊っちゃん』⑮

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1989年5月某日(日曜)午後
藪蔦屋 りうていの間

坊っちゃんが宿屋の下女に渡した「五円札」の謎は解けたけど…

坊っちゃんが下女の清さんから受け取った「壱円札」はどうなんだろう…

あっちにも何かが隠されているような気がする…

そうだな。壱円札の方も見てみよう。

えーと…

坊っちゃんが清から壱円札3枚を受け取った時の年齢は、旧制中学に通っていた頃、つまり12歳から16歳

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シン・日曜美術館『夏目漱石の坊っちゃん』⑪

シン・日曜美術館『夏目漱石の坊っちゃん』⑪

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1989年5月某日(日曜)午後
藪蔦屋 りうていの間

次に語られるのは、母親の死後6年目の出来事だ。

まず正月に父親が卒中で急死する。

母親が亡くなった時と同様に、漱石は坊っちゃんに父親の死を追悼するようなことを一切させなかった。

「おやじが卒中で亡くなった」の一言で終わりだ。

4月に坊っちゃんは私立の中学を卒業し、6月には兄が商業学校を卒業する。

おそらく官立の東京商

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シン・日曜美術館『夏目漱石の坊っちゃん』⑨

シン・日曜美術館『夏目漱石の坊っちゃん』⑨

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1989年5月某日(日曜)午後
藪蔦屋

次に語られるのは、清(キヨ)さんの度を過ぎた「坊っちゃんへの妄信的な愛」についてだな。

まずは、清が坊っちゃんだけに色々と物を買ってくれる件。

散々非人道的な行為を繰り返しているくせに自分を正義感の強い人間だと思い込んでいる坊っちゃんは、清が兄には何も買ってあげていないことを指摘し、自分だけが得をするのは公平ではないと清に訴える。

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