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詩集

26
たまに詩を書きます。
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#自分

溶けゆく日|詩

溶けゆく日|詩

時折やって来る
何をするにも時間がかかる日
前にも後ろにも進まない

動いているつもりなのに
気づけば行動が脱線し
気づけば日が暮れている

時間が溶けてしまう
溶けるのは
バターやチーズだけで良い

自分が溶けてしまう
溶けるなら
美味しくなりたい

時間も自分も
溶け消えてしまう前に
図書館へ駆け込んだ

溶けてなくなるはずの日は
読みたい本を読み終えた日になった
じんわり嬉しい日になった

境界|詩

境界|詩

自分以外のあれこれを
近くにあるものから
ひたすら引き寄せて動くと

どんどん
自分が後回しになって
後悔が残る

周りを見ずに
自分だけを見て
自分のことばかりだと

どんどん
周りが遠のいて
虚しくなる

ほとんど他人だけの世界は
自分の真ん中に
ぽっかり穴があく

自分だけの世界は
一見どこまでも行けそうで
限界がある

どちらかだけでは
成り立たないよう
世界はできているらしい

 

心地|詩

心地|詩

無闇に干渉されず
それでいて一人じゃない
そういう空間を
わたしは愛している

時が経つほど
じんわりひしひしと
好きが増して
同時によろこびも増す

自立と共生の
重なるところ
無理なく自然と笑える
そういう空間

仕事仲間でもなく
大親友でもない
深い関係を築かねば
そういう圧もない

聞いただけでは
いまいち伝わらない
そこへ入ってはじめて
わかる良さ

自分の心が
静かによろこべる場所

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気持ちの置き場|詩

気持ちの置き場|詩

明るく振るまう時は
自分から遠く遠く
放り投げて
風呂敷を広げる

暗い時は
文字通り真っ暗
どこにあるのか
さっぱり分からなくなる

明暗なく落ち着いた時は
自分の真ん中に
しっかりと守られて
存在している

気持ちはころころと
辺りを移動する
遠くなったり
近くなったり

明るさばかり重視して
あんまり遠くへ投げても
はたまた明るさ忘れて
暗くなりすぎても

どちらにせよ見失いそうだ
気持ちは

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存在|詩

存在|詩

食べたいから生きる
生きたいから食べる
食べるよろこびは
身体がよく知っている

笑わないと
心が死んでしまうから笑う
死にたくはないけど
死ぬほど笑いたい

聴くから音楽になるし
音に浸りたくて
溺れたくて
心を洗いたくて聴く

時折
自分でも驚くほど
静かに
心を救うように泣く

いつもの自分を保つため
なくてはならないものだから

美味しく幸せに食べて
笑えるだけ笑って
音楽を聴いて
しとし

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ぐったりと夜|詩

ぐったりと夜|詩

こんな日もある
気を酷使したときだ
気を張りすぎたり
気を遣いすぎたりして

残るはぐつぐつと悶々と
考えすぎる身体だけ

どこまでいっても
変えられるのは自分だけ
ぐつぐつぐるぐる悩んで
結局そこへ着地する

自分のためのやさしい余白を
残しておくコツが
いまいちつかめないまま

使い果てた身を
ぐずぐずと家へ運ぶ

辛うじて残った気持ちで
いつもあまり買わない
お気に入りの葡萄ジュースを買った

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