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The Beatles 全曲解説 Vol.172 〜Everybody’s Got Something To Hide Except Me And My Monkey

『The Beatles (White Album)』21曲目(C面4曲目)。
ジョンの作品で、リードボーカルもジョンが務めます。

「カモン、気楽に!」ベルの音と共に、小事を忘れさせる魔法の言葉 “Everybody’s Got Something To Hide Except Me And My Monkey”

ビートルズ全曲中最も長い題名といい、シンプルで意味深なモチーフをひたすら繰り返す歌詞の構成といい、アルバム中でもジョン色がかなり強く出た作品といえます。

この頃にはジョンとヨーコの関係も公衆の知るところとなっていて、「ジョンが東洋の女に惑わされている!」とセンセーショナルな視線を浴び始めることになります。

そんな中、ジョンの背中にヨーコを模した猿がしがみついているという風刺画を見つけたことが、この曲のインスピレーションとなったそうです。

東洋人を猿になぞらえるような侮蔑的な習慣は、当時の西洋社会にはまだまだ多かったようで、これにジョンは立腹。
さしずめ、「お前らだって隠し事だらけのくせに、俺らの事をウダウダ言ってんじゃねえ!」というところでしょうか。

(現代日本で言うところの、某プリンセスの結婚騒ぎとも似ていますよね。
ゴシップを消費しまくって、2人を追い詰める連中にぜひ聴かせてやりたい言葉でもあります。)

皮肉に満ちたタイトルとは裏腹に、歌詞は享楽的でテンションの高い内容。
「Come on, take it easy」というのはマハリシの口癖だったそうで、ジョンが彼の教え(?)を楽曲に取り込んだ数少ない例となっています。
叙情的で牧歌的だったポールの “Mother Nature’s Son” とのスタイルの正反対さには驚かされます。

演奏も所々でメンバーのシャウトが聴こえてくる、快活な王道ロックンロール。
何より曲を特徴づけているけたたましいハンドベルは、ポールによって演奏されています。
「Come on, come on」と繰り返す言葉の響きと相まって、弾けるポップコーンのような鋭い軽さを曲に与えています。

ちなみに「Monkey」という言葉は、麻薬中毒を表すスラングであることが知られています。
インドから戻ったジョンは、ポールらの心配をよそに、ヘロインなどの危険なドラッグに手を出すようになってしまいます。
そのことが、ジョンのバンドへの集中力を失う一因ともなってしまうのです…。

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