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米国経済は、本当に深刻な不況に陥るのか?

米国経済シリーズ 1

 米国経済の景気動向に関しては、強弱感が入り混じっている。筆者の見方は、最終判断ではないが、おそらく深刻な不況には至らないだろうというものだ。
 最大の根拠は、現在のFRBには、市場とのコミュニケーションができているという点だ。パウエル議長の発言一つで左右される市場というのも、非常に厄介だが、それを意識しながら、きちんとコントロールされた発言によって、想定以上に健全な状態を保っていると評価している。
 12月13日から14日にかけて、FOMCが開かれるが、おそらく、市場の見立て通り、0.5%の利上げが実施されることになるだろう。これは、ここまで進めてきた0.75%の利上げから見れば、明確にペースダウンとなるものであり、市場の期待に沿ったものである。FOMC直後にパウエル議長の会見が予定されているが、そこで、よほどネガティブな発言がなければ、市場が混乱することはないだろう。株式市場では、材料出尽くしで、一旦、売られることもあるかもしれないが、暴落というほどのことはないと予想している。
 FOMC後は、クリスマス休暇モードに以降するため、市場参加者が減ることも想定される。例年のことではあるが、閑散に売りなしとなるものと期待している。まとめると、米国株については、年末に向けて堅調に推移することを予想している。
 株価は、半年から一年程度先のファンダメンタルズの変化を織り込む傾向があるとされているが、実際、来年半ば以降、むしろ経済の回復局面がやってくるというイメージを持っている。
 確かに足元は、やや弱い経済指標が出てきている。昨日、12月1日に発表されたISM製造業景気指数は、好不況の分かれ目となる50を割り込み、また、事前予想の49.7をも下回る49.0にとどまった。一時的な減速感はあるが、これが、底割れして、深刻な不況に至るとは、考えていない。
 日本時間の今夜遅くには、アメリカの雇用統計が発表されるが、ここで、労働市場の逼迫感が薄れるような数字がでれば、むしろ、インフレ圧力の低下となり、FRBのタカ派的姿勢を鎮める効果も期待される。その意味で、雇用統計は、注目の指標だが、あまり一喜一憂しないというのも投資では大事な姿勢である。注目しつつ、落ち着いて臨みたいと思う。
 本論の主題ではないが、急激な円安から一転して、急激な円高が発現しているが、このまま円高傾向になってしまうと、日本経済及び日本株にとっては、ネガティブな影響が懸念されるので、こちらも注視していきたい。


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