坪井信行

経営コンサルタント M&Aアドバイザー スタートアップベンチャー企業の立ち上げ…

坪井信行

経営コンサルタント M&Aアドバイザー スタートアップベンチャー企業の立ち上げの支援業務等を提供 Youtubeチャンネル「世界の経済と金融」を運営 https://www.youtube.com/@Global-Economy/featured

最近の記事

金の需給は心配ない!?

トルコ中央銀行の金売りで、需給が一時的に緩んだWorld Gold Councilの四半期アップデート  8月1日にWorld Gold Councilの「Gold Demand Trends Q2 2023」が発表された。需要動向を中心にゴールド関連の統計をまとめたものである。  4-6月期の統計データで、最も注目されるポイントとしては、このところ続いていた中央銀行による金買いが、スローダウンしていることである。これは、主にトルコ中央銀行による大量売却の影響だと考えら

    • 日経NEEDSの日本経済予想モデルアップデート

      2024年度、2025年度ともに低インフレ・低成長にとどまるのか 日経NEEDS予想モデルアップデート  日本経済新聞が運営するNEEDS予想モデルが、最新の経済統計データを織り込んで、アップデートされた。  今回の予想では、2023年度の名目GDP成長率4.9%、実質GDP成長率1.2%となっている。足元は、物価上昇が響いて実質GDP成長率が抑え込まれていることになる。GDPデフレータが3.7%ということで、近年にはない高い物価上昇ということにはなっている。  しかしなが

      • アメリカ経済:リスクが徐々に限定されてきたのか

        FRBは柔軟に金融政策を運営する準備が整ってきた6月のFOMCの結果  2023年6月のFOMCで、政策金利の据え置きが決定された。2022年1月以来のことであり、急激かつ大幅な金融引き締めを行ってきたFRBの姿勢が、少なくとも金利の面では、一旦、落ち着いたことになる。  しかし、同時に、年内にさらに2回の利上げ(合計0.50%)を実施する意向であることも表明され、今回の利上げの到達点が、FFレート5.50-5.75%であることも、事実上明らかになった。  FOMCの結果発

        • 原油相場は当面強含みとなる見通し

          OPECプラスの会合でサウジアラビアの100万バレル自主的追加減産に合意OPECプラスの会合の結果  6月4日に開催されたOPECプラスの会合において、減産措置の期間延長と共に、サウジアラビアによる日量100万バレルの自主的追加減産が合意された。サウジアラビアなど主要産油国としては、需給の緩みを改善し、価格を上昇させたいという狙いがはっきりしている。  今回のOPECプラスにおいては、アフリカ諸国から減産措置の前提となる生産枠について、見直しの要求も強く出ていたため、会合の

        金の需給は心配ない!?

          2023 広島サミットの成果

          世界の政治・経済が新たな枠組みに移行していることを再確認広島サミットの成果  世界初の核兵器の被爆地、広島において、サミットが開催されたことは、それだけでも意義深いものがあるが、今回は、各国首脳がそろって平和記念資料館を訪れ、献花したことも、極めて大きな成果であった。  核兵器の使用がいかに人類全体にとって罪深いものであるかということを、今更ながら、世界に再認識させると同時に、核兵器を威嚇の手段として使っているロシアや北朝鮮に対する強い牽制となったことは間違いない。中国につ

          2023 広島サミットの成果

          日本株復活は続くのか

          短期的な過熱感は強いが、円安で業績上振れ期待はあるバブル崩壊後の高値更新  日経平均株価で見ると、バブル経済が崩壊した後の高値を更新している。実に32年9か月振りの水準であり、30,000円台を維持している(2023年5月19日現在)。  短期間に急上昇してきており、過熱感は強いものの、ファンダメンタルズ面からの割高感は特にないため、短期的調整はあったとしても、先行きは明るいとの見方も増えている。  今期予想ベースのPERで見ると、東証プライム全銘柄の平均で、15倍台にとど

          日本株復活は続くのか

          2023年プラチナ需給見通し改定

          総需要が上方修正されたが総供給には制約がある2023年のプラチナ需給見通し  ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)が定期的に発表しているプラチナの需給見通しが改定された。前回に比べても需要超過が拡大する見通しとなっている。2021年、2022年は、コロナ禍の影響もあって、需要が低迷したため、供給超過の状態が続いてきたが、今年、2023年は、コロナ後の需要回復に加えて、供給面での制約が強まっているために、需要超過状態となっている。  とりわけ、自動車向

          2023年プラチナ需給見通し改定

          サムスンが日本に半導体開発拠点を新設

          日本の半導体産業復活に向けて支援材料と考えられる国内半導体関連企業との連携を期待  サムスンは、世界第2位の半導体メーカーであり、世界的な巨大企業である。2022年の半導体部門の売上高は、表のように655億ドル(9兆円弱)に達している。  そのサムスンが、300億円以上の資金を投じて、横浜市内に先端半導体デバイスの試作ラインを整備するという。これは、研究開発拠点という位置付のものであり、日本の半導体関連素材メーカーや半導体製造装置メーカーなどとの共同研究を推進するものと見ら

          サムスンが日本に半導体開発拠点を新設

          ウクライナ戦争の行方

          反転攻勢の成果次第では、アメリカの支援体制にも影響ウクライナの反転攻勢に注目  ロシアによるウクライナ侵略戦争は、ロシアの侵攻開始から既に1年以上を経過したが、明確な勝敗を決することなく現在に至っている。  当初、優勢に立っていたロシアだが、ウクライナ軍は戦意も高く、その反撃能力は非常に強力であり、NATO諸国等、国際的な支援もあって、かなり押し戻された。その後は、膠着状態に陥り、一進一退が続いている。  この状況を打破すべく、ウクライナは、近く大々的な反転攻勢に打って出る

          ウクライナ戦争の行方

          アメリカ経済:政治リスクが台頭

          インフレ圧力と金融不安に加えて政府債務上限問題がのしかかるCPI総合4.9%上昇、CPIコア5.5%上昇  アメリカで4月のCPI統計データが発表された。総合指数は、事前予想5.0%上昇に対して、4.9%上昇と、0.1ポイントながら下回った。食品とエネルギー価格の影響を除いたコア指数では、事前予想と一致する5.5%の伸びとなっている。  総合指数は、10か月連続で上昇率が低下している。ただし、コア指数は、依然として高水準であり、特にサービス価格の上昇が目立つ。コア指数の内訳

          アメリカ経済:政治リスクが台頭

          アメリカ経済:顕在化するリスク

          FRBの調査結果を見る限り信用収縮の気配が濃厚である銀行の融資態度は厳格化  FRBが5月8日に発表した銀行融資担当者調査によると、アメリカの銀行の融資態度は、明らかに厳しくなっている。1~3月期における企業向けの融資に関する姿勢は、「厳しくした」という回答が、「緩めた」という回答を46%ポイント上回っている。これは、前四半期比で1.2ポイントの上昇となっている。  この調査は、3月27日から4月7日にかけて実施されたものであるため、3月のSilicon Valley Ba

          アメリカ経済:顕在化するリスク

          アメリカ経済:FOMCで利上げ決定

          金融不安は消えていない:信用収縮リスクFOMC:0.25%利上げ  5月3日にFOMCの結果が発表され、政策金利が0.25%利上げされた。新たな政策金利は、5.00%-5.25%となった。従来、利上げの最終到達点として想定されてきたレンジになっており、打ち止め感が出るとの期待があった。  しかしながら、利上げ打ち止めに関する明確な表明はなされず、さらなる利上げの可能性が残された結果となっている。そのため、市場では、FRBの行き過ぎたタカ派的姿勢に対する警戒感も強まっている。

          アメリカ経済:FOMCで利上げ決定

          金鉱山買収の狙いは銅鉱山取得

          ニューモントによるニュークレスト・マイニング買収提案の目的金鉱山世界最大手が第7位企業の買収を提案  元々は、2023年2月に金生産で世界シェア第1位のアメリカ企業ニューモントが、世界第7位のオーストラリア企業ニュークレスト・マイニングに対して、買収提案を行ったものである。その際は、ニュークレスト側から、買収価格が安すぎるということで拒絶されたが、4月10日に買収価格を1割程度引き上げて、再度提案を行ったものである。  4月の提案ベースで計算すると、買収額は2.7兆円に達す

          金鉱山買収の狙いは銅鉱山取得

          植田日銀新総裁初の政策決定会合

          金融緩和策維持と多角的レビュー実施を決定植田日銀新総裁にとって初めての政策決定会合  本日、2023年4月28日、日銀政策決定会合の結果が明らかになった。発表時間がやや遅めだったことで、私も含めて市場関係者の間には緊張感が高まったが、結果的には、金融緩和策が現状維持となり、政策転換はなかった。  その結果を受けて、市場では、株高、円安、債券高(金利低下)という反応が見られた。通常12時前後に発表されることが多いわけだが、今回は午後1時頃の発表となり、その間、市場では不安心理

          植田日銀新総裁初の政策決定会合

          アメリカで金融不安再燃か?

          First Republic Bankの決算発表はネガティブサプライズ大規模な預金流出判明で株価暴落  アメリカで中堅地銀First Republic Bankの決算発表があったが、預金残高の急減が判明し、市場心理を悪化させる結果となった。表のように、前四半期末比約720億ドルの減少となっているが、大手行からの支援預金を除くと実質的には1000億ドル程度の減少だったと見られる。結果的には預金残高化1,044憶ドルとなり、1000億ドルの大台は維持できたものの、先行き不安を生

          アメリカで金融不安再燃か?

          資源ナショナリズムが広がっている

          チリの大統領がリチウム関連産業の国営化方針を表明した資源ナショナリズムの考え方  資源ナショナリズムは、国家が自国の天然資源や産業を保護し、国内の産業を発展させることで経済的自立を図るという目的をもって主張されている考え方である。国内の資源関連産業を国有化するなどして、国家が管理する体制を強めることが多い。  外国企業の資源関連産業における活動を制限することも多いため、自由な経済活動を損なうとの批判もある。また、たまたま貴重な資源を大量に保有するということで、裕福な暮らしを

          資源ナショナリズムが広がっている