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提言書:国家資格「登録日本語教員制度」について

文化庁「日本語教育の質の維持向上の仕組みに関する有識者会議委員会」宛に提言させていただきました。

  • 「日本語学習者」のために。

  • 「我が国に居住する外国人が日常生活及び社会生活を国民と共に円滑に営むことができる環境の整備に資する*」ために。

ぜひ採用していただきたく存じます。

*日本語教育の推進に関する法律https://www.bunka.go.jp/.../nihongo_117/pdf/93833701_06.pdf p,21より

笑顔あふれる日本語学習|アクティブユージングを実践する学生たち
(NPO法人SDGs日本語学習者応援プロジェクト ワークショップより)

(以下、提言内容)


提言内容

文化庁・日本語教育の質の維持向上の仕組みに関する有識者会議委員会 御中

提言書:国家資格「登録日本語教員制度」について

◆提言の前提

>日本語教育の推進に関する法律(令和元年法律第48号)
目的(第一条関係)*
(背景)日本語教育の推進は、我が国に居住する外国人が日常生活及び社会生活を国民と共に円滑に営むことができる環境の整備に資する

*日本語教育の推進に関する法律https://www.bunka.go.jp/.../nihongo_117/pdf/93833701_06.pdf p,21より


◆提言1:ユーザーファースト


目的達成のためには現状の知識詰め込み型教育ではなく、「Can-do」です。ユーザーファーストの審議をしてください。

Can-do実践講座中の学生たち
(NPO法人SDGs日本語学習者応援プロジェクト ワークショップより)

◆提言2:「やさしい日本語*」の必修化

外国人側にだけに努力を強いるのではなく、受け入れ側の日本人も努力し歩み寄るべきです。国家資格=国家として審議しているのなら、もっとマクロに関係各所の連携及び法整備を進めてください。

文化庁だけ且つ一日本語教師だけでは、「我が国に居住する外国人が日常生活及び社会生活を国民と共に円滑に営むことができる環境の整備」=日本語教育の推進に関する法律における目的は達成できません。目的必達のために"本気"で審議をお願いします。
「我が国に居住する外国人」のために。

  • 受け入れ側(大学、企業、実習制度等)の「やさしい日本語」の必修化・検定化・検定合格の必須化

  • 日本人全員への「やさしい日本語」の認知及び使用推奨

入門・やさしい日本語 アスク出版

*「やさしい日本語」とは
普通の日本語よりも簡単で、外国人にもわかりやすい日本語のことです。

1995年1月の阪神・淡路大震災では、日本人だけでなく日本にいた多くの外国人も被害を受けました。その中には、日本語も英語も十分に理解できず必要な情報を受け取ることができない人もいました。

そこで、そうした人達が災害発生時に適切な行動をとれるように考え出されたのが「やさしい日本語」の始まりです。そして、「やさしい日本語」は、災害時のみならず平時における外国人への情報提供手段としても研究され、行政情報や生活情報、毎日のニュース発信など、全国的に様々な分野で取組が広がっています。

静岡県 県民生活局 多文化共生課(平成 30 年2月発行)「やさしい日本語に ほ ん ご」の手引き

◆提言3:審議のやり直し

以下Stepにて審議をやり直してください。

  • Step1、外国人受け入れ側における「やさしい日本語」の必修検定化及び日本人全員への使用推奨に向けた審議、連携

  • Step2、日本語能力試験JLPTの抜本的=Can-do型へ改正

  • Step3、「2」に伴う教育指導要綱の抜本的改正

  • Step4、「3」に伴う教材の改訂

  • Step5、日本語教師の資格条件の抜本的改正 ←現状審議はここだけ。木を見て森を見ず。*詳細提言4

  • Step6、日本語教師養成要綱・試験の抜本的改正

また、当審議自体も、従来の会議型よりもファシリテーション型アクティブにする。


◆提言4:日本語教師の資格条件の見直し

  • 提言3審議Step1~4に鑑み、日本語教師は「Can-do指導能力」を資格条件に改正する。

  • 「Can-do実践能力」を420時間養成カリキュラムの大半する。

  • 日本語教育能力検定も「Can-do実践能力」を推し量る内容に改正する。

時代に伴い検索でわかる知識の詰め込みのために限られた420時間を費やす必要はなく、生身の人間ならではの実践能力を420時間で養成するべきです。

常に目的(第一条関係)の達成及びユーザーファーストで審議をしてください。

これからの日本語教師にはアクティブユージングの実践能力が求められる
(NPO法人SDGs日本語学習者応援プロジェクト ワークショップより)

★参考:履修内容と時間数:日本語教師養成講座420時間(一例)

実践は、たった20 時間!?
養成機関により若干の差異はあるものの、いずれにしても知識座学に大半の時間を割き、「日本語教授に関する知識・能力 」の要請はわずか20 時間程度です。

なにを「養成する?」 知識? 能力?
せっかく高い費用と膨大な時間を費やしたにも関わらず、いざ喜び勇んで新人日本語教師が現場に出てみると、右も左もわからず、徹夜の毎日が1年ほど続くこととなります。

・・・というおかしさな現状について、すでに現場からあがっている方が多いとお見受けする審議委員メンバーでは議論されないのでしょうか? 

日本語教師養成講座420時間(一例)

  1. 日本語教師養成一般教養課程60 時間/General training of teaching Japanese:60 hours

  2. 世界の中の日本 40 時間/Status of Japan in the world :40 hours

  3. 日本語教育の歴史と現状15 時間/History and nowadays of Japanese language education:15hours

  4. 国語学史・日本語学15 時間/History of national language and Japanese language :15 hours

  5. 異文化間教育 10 時間/Multicultural education :10 hours

  6. 言語学 20 時間/Linguistics :20 hours

  7. 言語と心理 20 時間/Language and psychology :20 hours

  8. 語彙 15 時間/Vocabulary :15 hours

  9. 音声学 15 時間/Phonetics :15 hours

  10. 語構成 10 時間/Word Structure :10 hours

  11. 日本語文法I 40 時間/Japanese grammar part 1 :40 hours

  12. 日本語文法II 40 時間/ Japanese grammar part2 :40 hours

  13. 文の成分 20 時間/Elements of a sentence :20 hours

  14. 文の種類 20 時間/Types of sentences :20 hours

  15. 談話 20 時間/Discourse 20 hours

  16. 文字・表記 20 時間/Written symbols and the notation 20 hours

  17. 漢字・熟語・文学などに関する一般常識20時間/Common knowledge on kanji, idioms, literature etc. 20 hours

  18. 言語と社会 20 時間/Language and society :20 hours

  19. 日本語教授に関する知識・能力 20 時間/Knowledge and ability on teaching Japanese:20 hours

  20. 日本語学概論 20 時間/Japanology :20 hours
    ※上記時間数はあくまで当講座学習にかかる1つの目安です。

必要な知識ではありますが、「日本語教師を養成し修了する」ということは、こういうことではないと思うんですがね・・・・。

例)以下を養成するにあたり、420時間中400時間は座学、20時間だけ実践して、修了書=実行認定しますか?

  • 「自動車運転手」

  • 「ピアノ奏者」

  • 「テニススプレイヤー」

極端にいえば、比率が逆で、400時間を実践、20時間が知識座学ですよね。

日本語教育"能力"検定も、日本語"能力"試験も、知識座学が大半を占めてしまっている全くナンセンスな現状に、有識者委員のみなさまは気づいていないのでしょうか?

  • 日本語教育"知識"検定?!

  • 日本語"知識"試験?!

現状は、「知識」教育になっているため、日本語教師も学習者も「使えない」のです。「改訂」レベルではなく、「抜本的な改正」が必要です。

能力とは
物事をしとげることのできる力。行われる動作,作業などの複雑さ,あるいは動作,作業などを行う速さ,正確さなどで測定される。つまり、Can-do

知識とは
広義には「知る」といわれる人間のすべての活動と,特にその内容をいい,狭義には原因の把握に基づく確実な認識をいう。knowledge

何十年前から問題視されている英語教育も含めて、そろそろ日本の教育のあり方も、本気で変えませんか? 
だれもが「変えたほうがいい」と感じているのに、なぜ変わらないのでしょうか・・・。簡単なことなのに。

「こんにちは」の5文字だけでもアクティブラーニングは実践できます。(NPO法人SDGs日本語学習者応援プロジェクト ワークショップより)


◆提言5:有識者会議委員会メンバーの見直し

「事件は“会議室”で起きてるんじゃない! “現場”で起きてるんだ!!」
かつての大ヒットした映画『踊る大捜査線 THE MOVIE』(1998年)の名セリフです。

DVD 踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!


現場から遠ざかっていると思われる"知識"豊富な有識者様の長年の経歴や実績、高い学歴や地位は素晴らしく、わたしなど足元にも及びませんが、進化のスピードが速い現代社会では、わずか1年前の現場経験すらそぐわないことがあります。

現場実践者の比率を増やし、活きたPDCAが審議できる構成にするべきです。
*Plan計画→Do実行→Check評価→Action改善

◇構成イメージ
外国人日本語教育修了者:2割
現役日本語教師:2割(~3割)
外国人受け入れ大学、企業等:2割
コーチング指導者、ファシリテーター:1割
試験・教材制作関係:1割
やさしい日本語関係:1割
有識者:1割(~0割)

◇現行メンバー 令和4年4月28日現在(五十音順・敬称略)
石坂 守啓 浜松市 企画調整部長
伊東 祐郎 国際教養大学専門職大学院 日本語教育実践領域 代表
大日向 和知夫 アカデミーオブランゲージアーツ元校長、(一社)日本語学校ネットワーク 代表理事
加藤 早苗 インターカルト日本語学校 学校長
神吉 宇一 武蔵野大学 准教授、元AOTSコーディネーター
川口 昭彦 大学改革支援・学位授与機構名誉教授、(一社)専門職高等教育質保証機構 代表理事
佐々木 倫子 桜美林大学名誉教授、JAMOTE審査員
田尻 英三 龍谷大学名誉教授
西原 鈴子 NPO法人日本語教育研究所 理事長
西村 学 全国専門学校日本語教育協会事務局長、文化学園文化外国語専門学校副校長
浜田 麻里 京都教育大学 教授
札野 寛子 金沢工業大学元教授、国際高等専門学校 教授
前田 早苗 千葉大学名誉教授
山口 修 学校法人瓜生山学園京都文化日本語学校 顧問

以上14名

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参考資料


日本語教育の質の維持向上の仕組みに関する有識者会議
日本語教育の質の維持向上の仕組みに関する有識者会議 委員一覧
日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律案(仮称)の検討状況について令和5年2月文化庁
日本語教育の推進に関する法律について
日本語教育の質の維持向上の仕組みについて(報告)(案)
「日本語教育の質の維持向上の仕組みについて(報告)」(案)に関する意見募集の結果について


詰め込み教育はそろそろやめません? 

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