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【後編】地球環境や食糧問題を考えるきっかけに「食育プロジェクト」

安全で豊かな放課後を日本全国で実現するために活動する放課後NPOアフタースクールは、企業・団体と協働して、子どもたちの体験機会の創出や、放課後の居場所における人材育成・研修実施に取り組んでいます。
企業と私たちの“想い”と“強み”を活かして、全国の放課後を豊かにすることで、子どもたちのウェルビーイング実現につながることを目指します。

「企業×放課後NPO」マガジンの本シリーズでは、協働する企業の担当者の方へのインタビューや、プログラムを子どもたちに届けた際の様子などをまとめて発信します。

初回は、食品素材メーカーの不二製油株式会社との協働プロジェクト「食育プロジェクト」です。

本記事は、前編・後編の2本立てでお届けします
前編:「食育プロジェクト」の概要と企業担当者の方へのインタビュー
後編:子どもたちにプログラムを届けた際の様子と社員先生として参加された方々の声

前編はこちら


■活動レポート|身近な大豆が世界の食糧問題を救う⁉

「地球環境と私たちの食」プログラム

大豆をテーマにした2種類のプログラムのうち、「地球環境と私たちの食」を、2023年度は大阪府内の小学校や放課後で過ごす4校153人の子どもたちへ訪問形式にてお届けしてきました。今回は、そのプログラムの様子や、子どもたちや実施先の先生方からの声をご紹介します。

プログラムの中で大豆から作られる新しい食材として大豆ミートを実際に見てもらいますが、2023年度は大豆から作られたシリアルを食べる体験も、トライアルとして一部の学校で実施いたしました。そちらの様子も合わせてご紹介します。

プログラムの様子をレポート!

まずは「昨日の夜ごはんは何を食べましたか?」という質問からスタート。子どもたちは「カレーライス!」「お鍋を食べたよ」と教えてくれます。

次に「世界中の人みんながお腹いっぱい食べることが出来ていると思う人は手をあげてください」と聞くと、ほとんどの子が手を挙げず、「食べられてない人がいるって習った」と教えてくれる子もいました。

世界の飢餓状況を表したハンガーマップを見て、色の違いについて聞いてみると、「食べられている国と、そうではない国」という答えがすぐに出てきました。
不二製油の社員先生から、世界中でごはんが食べられずに困っている人がたくさんいるという現状を詳しく説明すると、子どもたちは真剣に話を聞いてくれました。

今度は、世界中のみんながお腹いっぱいごはんを食べるにはどうしたら良いか、隣同士で話をしてもらいました。

どんな意見が出たか聞いてみると、「争いをなくしたらいい」「売れ残りが出ないようにする」「食べ物を分ける」等の声とともに、「値上がりばかりして高くて買えない人もいるから、値下げをして多くの人が買えるようにする」といった最近の世の中の流れに沿った声もありました。

次に、給食の献立づくりを通して、世界の食糧問題の解決につながる方法の1つを子どもたちに伝えていきます。

献立づくりでは、主食(ごはんかパン)と数多くある料理の中から好きなおかずを4品まで選んでもらい、オリジナルメニューを考えてもらいます。
肉じゃが+ハンバーグ+唐揚げ+ごはんといった満腹になりそうなメニューから、豆腐ハンバーグ+切り干し大根+冷奴といったヘルシーなメニュー等、個性あふれるオリジナルメニューを楽しそうに考えてくれました。

献立づくりを楽しんだ後は、どういったメニューを選ぶと地球環境にも配慮ができるのかを学びます。同じようなメニューでも、肉を使った料理と大豆を使った料理では、材料となるものを育ててから料理としてできあがるまでに必要となる水の量が大きく異なることを伝えます。

社員先生から、大豆を使った料理を食べることは地球資源の節約になり、より多くの人がごはんを食べられるようになることに繋がる方法の一つであると伝えると、「大豆を食べてみようかな」という子や「でもやっぱり肉が好きかも」という子もいたり、自分事として考えてくれている様子でした。

最後に、最近地球環境の面からも注目されている「大豆ミート」を、実際に子どもたちに見てもらいました!
実は、「大豆ミート」といっても形や色や大きさも多種多様で、子どもたちは「唐揚げ用が美味しそう!」「おせんべいみたい」と様々な感想を伝えてくれました。

トライアルで喫食を体験した学校では、大豆から作られたシリアルを食べてもらいました。子どもたちからは、「普通に美味しい!」「サクサク♪」「ハマる!」という声や、先生方からは「少しの量でも意外とお腹に溜まりそうな感じがする」という声をいただきました。

最後に社員先生からは、「みんなが大人になる頃、その次の世代が食べられなくなるかもしれないことを想像して、今日学んだことをどうしたら活かせるか考えてほしいです。大豆が苦手な人でも、美味しく食べられるように一生懸命頑張ります!」というメッセージをいただきました。

大豆ミートを実際に見てたくさん大豆に触れ合いながら、どのようにしたらより多くの人がごはんを食べられるかを考え、学ぶプログラムとなりました。

子どもたちからのメッセージ

・大豆を使って食糧危機を救おうとしていることをすごいと思った
・2050年には食べ物がなくなっているかもしれないから、食品ロスをへらしたい
・これからは世界中の人がたくさん食べられるように、肉ばかりではなく大豆を食べたりしようかなと思いました。世界中の人のことを考えてメニューを決めたいと思いました。

実施先の先生からのメッセージ

・自分たちが考えた給食メニューから食糧問題について考え、映像やお話を通して一人ひとりが世界で起きている現状を見つめることが出来たと思います。
・子どもたちの身近な食べ物を通して地球の環境問題、飢餓の問題について考えられてよかったです。
・大豆という子どもたちにとって身近な食材がこれからの食糧不足を助ける存在の一つということがよくわかりました。

プログラムに参加してくれた子どもたち、実施にあたりご協力をいただきました皆様、本当にありがとうございました!


■参加された社員先生の声|自分の仕事の社会的意義を実感

社員先生としてご参加いただいた方を対象に行なった事後アンケートでは、参加満足度は100%!皆さんからの声を一部抜粋してご紹介します。

社員先生にご応募いただいたきっかけを教えてください。

・(ご自身の)子供がいる学校で食育プロジェクトの授業をしてもらいたかったから。父親として、このような仕事をしているんだよと子供に伝えたかったから。
・新入社員研修の際に、参加は応募制であり、新入社員であっても応募可能であることを知ったため。
・毎年恒例にしています。子供達は未来を背負い、教育こそ将来の日本にとって最も大事なことと思っています。

満足度の理由を教えてください。

・普段、学校給食向けの食品素材を販売していますが、実際に食べる子供たちと会って話をする機会がありませんでした。自分の仕事の社会的意義を感じ、仕事に対するモチベーションが更に高まりました。何より、子供たちの素直な反応や明るさにとても元気をもらえました。
・子供たちの元気なパワーを沢山もらえ、この子たちに美味しいと思ってもらえるものを作りたいと仕事への活力に繋がった。子供たちへの分かりやすい伝え方を考えることで、自らの復習にもなった。

今回プログラムにご参加いただいて、ご自身にとってどのような新たな気付きや仕事への影響がありましたか。

プログラム終了後、社員先生のサインを求めて集まる子どもたち

・他部署のことをなかなか知る機会がないので、自分自身の勉強にもなりました。また、小学生に伝えることの難しさと(言葉の選択等)、私たちが当然だと思っていることがそうではないということに気が付かされます。
・今回「先生」として参加することで、メーカーとして価値の提供を行う一員であるということを再認識しました。
・今の子供たちが習っている食に関する内容が想像以上に深く、今後製品やコンセプトを考える上で、顧客への刺さり方を見直す機会となったため。
・子供たちの一生懸命に取り組む姿や、先生方のご苦労など、異業種の業務を知ることができ、自身の業務のモチベーションアップにつながった。

今回のプログラムのように、子どもたちに自社の社会貢献事業として体験活動を届けることについて、どう感じられましたか?

・子供と大人という世代間の交流、学校と企業という社会セクター間の交流という意味でプライベートとしても仕事としても重要であると改めて感じた。
・今から「食=環境」などの考えなどを取り入れる事で、今の子供達が私と同じ歳になるころにはもっと広い考えを持って「食、環境、人種、宗教など」地球規模での考えが身についていくんだろうなと感じました。
・自社の製品や意義を知ってもらううえでも、子供たちの深い学びのためにも、色々な会社さんからこのように体験活動を届けるのは、双方にとって意義があることだと感じました。
・自分の仕事と社会との繋がりを実感でき、より一層仕事を頑張ろうと思いました。


■最後に|組織を越えた協働で より大きな社会的インパクトを

不二製油と協働して実施してきた「食育プロジェクト」について、前編・後編に渡ってご紹介してきました。

「社会課題解決に向けて」や「子どもたちのために」という想いを共にした企業や団体が、組織を越えて協働していくことは、より大きな社会的なインパクトにつながると感じます。
そのような仕組みやムーブメントが社会に広がることを願っています。


すべての子どものウェルビーイング実現を目指して~未来を創る子どもたちのために、一緒に活動しませんか?~

日本の子どもの幸福度は決して高くないと言われています。特に「自己肯定感」「チャレンジ意欲」といった人生を生き抜く上で土台となる力が諸外国に比べて低く、それらを養う社会的なつながりや居場所が不足しています。放課後NPOアフタースクールでは、多様な体験や様々な大人との関わりにより子どもたちのウェルビーイングを育める“放課後”を通じて、少しでもこの課題を解決したいと考えています。ご興味のある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。