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メルヘン「クラスペディア」

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初めてメルヘン書いて見ました。 よくある要素、イベントですが、 書いてまとめただけでも褒めて下さい。
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「花束」

「花束」

クラスペディア
2本では 
さびしいので

感謝のレースフラワーで
束ねて
微笑み続けさせて下さい

今日のこの日
「どんな気持ちで迎えるのか」

去年は
「もう自意識過剰はやめる」

今年は
「伝えにくさ」

詩ではなく
手渡しできる幸せを
私の掌に

「クラスペディア」の写真

「クラスペディア」の写真

クラスペディアの写真です。
これは花束の一部でアップにしました。
失礼します。

茎は長く葉っぱも長いです。

このフォルムも、
名前の響きもかなり、気に入ってます。

↓マガジンで、最初からあとがきまで読んでいただけると嬉しいです

「クラスペディア」あとがき

「クラスペディア」あとがき

最後まで読んで頂きありがとうございました。

イラスト使わせて頂いた
まきあき さん
ありがとうございました。
本当はこの扉のようなイラストで、その一部を使わせて頂き大変失礼しました。

私は歌が好きで幼稚園の頃よくこの歌も歌っていました。
このイラストの
〜ポケットの中にはビスケットが1つ 
も一つ叩けばビスケットが2つ 
も1つ叩けばビスケットが3つ 
ポケットを叩けばビスケットが増える〜

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メルヘン「クラスペディア」13・終

メルヘン「クラスペディア」13・終

志望校に進学し、また図書委員になりました。
彼女はいませんでした。もう卒業して入れ違いだったのでしょうか。
僕は高校でも図書カードに大原玲とニコちゃんマークを探し続けていました。生徒たちの中に大原玲さんの影を探し続けてしまいました。

図書カードの情報は夏休みまでに、パソコンに全て保存されて
夏休み明けからシステムが移行するそうです。中学もです。
図書カードが無くなる・・・。

夏休みに入る前に、

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メルヘン「クラスペディア」12

メルヘン「クラスペディア」12

クラスぺディアの切花も枯れた。

黒猫の豆皿は出窓のブックエンドの横に移動してあって、
クラスペディアの種がのせてあった。
母がしてくれたのか・・・。
種は徐々に乾燥していった。

図書室の本を借りれば彼女の名前とニコちゃんマークとメッセージと、日付けは見つける事ができた。
日付けは夏だけ。クラスぺディアの開花時期。

秋、この種を蒔きに入口駅の元病院の花壇に種を植えに行く事にしました。
入口駅を

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メルヘン「クラスペディア」11

メルヘン「クラスペディア」11

満面の笑みで振り向いてくれた。
「何をしてるんですか」
「これはクラスぺディアという花で、種を取ってるんです。そして、また秋に種蒔きすると6月から8月頃まで花を咲かせるんです。こうして、こまめに種をとり来年に繋げるんですよ」
僕も微笑んで見せて、手伝いだした。

「もういいわ。もうすぐ電車が戻ってくるから。ホームに戻らなきゃ」
ホームへの階段を一人ずつ上って行った。

彼女は制服を見て。
「私の出

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メルヘン「クラスペディア」⑩

メルヘン「クラスペディア」⑩

電車に乗ると寝てしまった。
高揚していた心は電車の揺れと音と共に、睡魔へと変わっていった。

降り立ったのは、「学校前駅」
2年前の5月降り立った駅。
やってしまったぁ。

線路脇に
黄色い花達。
クラスべディア。
ニコちゃんマーク。
玲さん・・・は

女子高生がいた。
僕が行こうとしている高校の制服。
クラスぺディアの花の中にしゃがんでいた。
その背中は寂しそうに見えた。
ホームを飛び降り近づい

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メルヘン「クラスペディア」⑨

メルヘン「クラスペディア」⑨

花は縦長の大きいマーマレードの空き瓶に挿して飾った。

マーマレードの瓶はジャムが底に残るだけになると、スプーンではなかなか届かず、手がベタベタになる。
それが僕の朝の日常だ。
しかし長い茎のクラスペディアには丁度いい空瓶だった。

親達は花に気づかなかった。気づいていたかもしれないが、
僕に声をかける心の余裕もなかったのだ。
忙殺。

そんな日々、クラスペディアの花かかげニコちゃんも悲しげに見え

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メルヘン「クラスペディア」⑧

メルヘン「クラスペディア」⑧

何故入口駅なのか。
入り口までが通常終点で、そこからは単線で電車で本数が少ない。単線の町への入り口か、複線の街への入り口か。

中渡り廊下を渡ってきてしまったので、元病院の入口とは、どこかなのかをなんとなく探してみたくなった。
最近、心の余裕ができたのかなぁ。
外階段を下りると、
病院の門があったであろう場所では警備員が車の整理をしていた。
その騒音の中に花壇があり、黄色い花が咲いていた。
あの花

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メルヘン「クラスペディア」⑦

メルヘン「クラスペディア」⑦

この頼んでもいないのに、背中を押すニコちゃんマークとメッセージ。
会ってもいない彼女の笑顔に見えたり、笑い声が聞こえた。
彼女の鼻歌も、それは僕の鼻歌だったのか。
それともたくさんの本の世界に酔っていたせいかも知れない。けれど僕の糧になり、少しは笑顔が上手くなったかもしれない。

3年の夏休みの三者面談。
母に「先に行ってて」と言われ、先に到着。教室の前の椅子は二つ用意されてるのに一人で座って焦っ

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メルヘン「クラスペディア」⑥

メルヘン「クラスペディア」⑥

学校の生活の何気ない中で、彼女を探してみた。あくまで、さりげなく。
図書室に代本板は見た事はなかった。
おかしいなぁ。これだけ借りてるのに。それを見れば学年がわかる。
学年は3クラスだけで教室も並んでいるので、同じ学年ではないと思う。
靴箱は、高学年に行くのは嫌だったし、あくまでさりげなく探そうと思っていた。
そもそも僕は図書委員だ。借りてる間、預かってる図書カードに名前は見つけても、借りてる最中

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メルヘン「クラスペディア」⑤

メルヘン「クラスペディア」⑤

大原玲さんの名前のあとには必ずニコちゃんマークとメッセージが書いてあった。
笑顔。
喜んで。
楽しい?
頑張って。
踏ん張りどころ。
嬉しい。
楽しみ。
調子どう?
元気ならいい。
なるほどね。
よしよし。
よかったぁ。
で、どうよ。
ジャンプ。
夢は?
よかったね。
オムライス好き?
ドーナツ食べる?
チャレンジしてみて。
ステップ踏んで。
飛んでみたらどう。
隠れて泣いてないよね?
まだぁ?

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メルヘン「クラスペディア」④

メルヘン「クラスペディア」④

遅刻して転校してきた僕。
クラスに馴染めたというより溶け込んだ。

図書委員になった。
図書の整頓の日は、膨大な量を広げて途中では分厚い本でドミノをしたり。
順序よく並べていく時は静かだった。

図書室の先生も好きだった。冴えない独身男性教師、周りからは人気はなかったが、先生の話は面白かった。
「図書室の机が緑なのは心を落ち着かせるため」だとか。
先生は飼ってきた黒猫のエミリーのエッセイを書いて自

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メルヘン「クラスペディア」③

メルヘン「クラスペディア」③

線路脇には雑草と
20cmくらいの長い葉っぱとか。
見晴らしいいなぁ。
これが夜なら星空が綺麗で、
銀河鉄道の夜のジョバンニとカムパネラの気分だろうと。

呑気に空を仰いでいる場合ではない。
時刻表は予想通り本数は少ないが、30分くらいで同じ電車が折り返してきそうだ。

この線路沿いに腰をかがめてるおばさんがいた。
ホームを飛び降りレールを片脚でステップを踏んで近づいてみた。
もちろんこの疑問を解

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