【5分で読める】四辻御堂物語~水龍の巫女と妖狐の罠~(新しい日々、私を呼ぶ声①)【無料試読あり】
完結まであと6話!
このお話のあらすじ
主人公たちは人間界へと帰ってきた。アヤカシたちとの会話や温もりを胸に、主人公はもう一度アオバミを呼ぼうと試みる。
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以下本文
「それじゃ、行くぞ」
スオウが私の手を取る。私は今から人間界に帰るのだ。晴菜と篠崎と、そしてお母さんと。まだ目を覚まさない2人と、2度と目を覚まさないお母さんの体を、スオウがふわりと宙に浮かべる。
「それ便利だよね。飛んで移動とか」
「あんただって修行を続けりゃできるさ。空中移動は妖力の基本。水の上を歩く次の修行だ」
「そうなんだ・・・・・・。もっとちゃんとやればよかった」
「向こうに行ってもできるさ。あんたほどの力がありゃあな」
「うん・・・・・・そうだね」
「いいのか。みんなに会わなくて」
今はまだ夜明け前。みんなは昨日までの戦いと夜通しの怪我人の手当で疲れ切って眠っている。そんなみんなを起こすのも悪かったし、何より今話したら別れがもっと悲しくなりそうだったから、昨日のうちにスオウに相談した。みんなが眠っているうちに人間界に帰りたいと。
クロ君は小さいながらもその力を使ってみんなの作業に多大に貢献した。でもまだまだ体は幼いからか、疲れて今はぐっすりだ。クロ君のことは花さんに任せてあるとスオウが言っていた。
花さんは、昨日ずっと忙しく働いていた。指示も的確で、みんなから頼りにされる肝っ玉母さんという感じだ。何かに悩んだら、花さんに一番に相談したい。いつか、スオウのことも素直に相談できるといいなと思う。
頭領狐はコウと名乗った。話してみると意外と物静かな人で、口数は少ないけれど語る言葉には重みがあった。「自分がしたこと、しなかったことの責任は、自分がその背で背負うのです」という言葉は、私の心にずっしりと錨を下ろした。あと、なかなか敬語を辞めてくれなくて困った。
長老は私にたくさんの言葉をくれた人。本当に血の繋がった祖父のように私を最後まで可愛がってくれた。長老から貰った鈴蘭は、リュックに大切にしまってある。いつか、また辛くなった時にこの鈴蘭を使ってお母さんに会えたらいいなと思った。昨晩眠る前に、お母さんのお姉さんのことを聞いた。九尾が消えて、お姉さんもどこにも見当たらなかったから。てっきり、どこかに居ると思ったのに。
「姉さんの方は元々心が無くなっちまっていたのに、体も九尾に取られちまった。九尾が消えると一緒に、そういう飲まれた者も消えちまうのさ。九尾と一体になってるからな。今頃九尾の木の中で安らかに眠っているだろうよ」
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