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【5分で読める】四辻御堂物語~水龍の巫女と妖狐の罠~(憎悪の火25)【無料試読あり】

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このお話のあらすじ

本来の姿に戻った九尾。水篝火様は術を解き、仲間たちと自分の居場所へと帰っていく。とうとう主人公はユリノ様と2人になった。


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以下本文


 柱の頂点を見ると、何も無い。さっきはそこに色の付いた玉が現れたのに、どんなに目を凝らしても何も見えない。その代わり、柱と柱の間にまた緑色の光が伸びていき、それぞれの面が緑色の光に覆われていった。
 下から見ると、巨大な三角形が5つ、辺と辺を重ねて立ち上がった状態になっている。その均衡の取れた五角錐はとても美しかった。水篝火みずかがりび様が優しく微笑む。

「龍の娘よ、これがそなたとユリノの魂の姿だ」
「これが・・・・・・? 私の魂? でもてっぺんには何も・・・・・・」
「大きな力すべてが均等に交わる時、その魂は目には見えないほど美しく透き通った魂になる」
「透き通った、魂?」
「そうだ。何色でもなく、己を主張することもない。魂としての崇高な姿。あるべき姿。その魂を持つ者はどんな生でも望めよう。どんな力でもその身の糧にできよう。龍をその身に宿せたように」
「どんな、力も・・・・・・私の糧になる」
「そうだ。この五角錐の空間が大きいほど、大きな力をその魂の中に入れることができる。その力を我が物として、ひとつの魂とすることができるのだ」
「だから、私とアオバミはひとつになった」
「・・・・・・ただし、透き通った魂は穢れやすい。僅かな色でも染まってしまう。だからそなたは周りに染まりやすく、己を見失いやすいのだ。龍の力をなかなか引き出せなかったのは、そなたの魂に他の者の色が付いていたから。そしてそれに気づかなかったから。見なければ、わからなければ、気づかなければ、忘れてしまえば。それは無いのと同じ。力は徐々に弱まり、本当に無くなってしまう。それをユリノと龍はずっと阻止してきた。だから余計にそなたの魂と心と体はバラバラになっていってしまったのだろう」
「ユリノ様もさっき言ってた。・・・・・・アオバミはこの後どうなってしまうのですか?」
「さっきの祝詞のりとで、龍は自身の役目から解放されたはず。龍は自然そのもの。役目を終えればその身は消え、本来の姿に戻るだろう。この九尾のように」

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