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#随筆

今さらながらボードリヤールの『消費社会の神話と構造』を読んだら、なかば予想通りとは言えひどい本だった

今さらながらボードリヤールの『消費社会の神話と構造』を読んだら、なかば予想通りとは言えひどい本だった

前々から気になってしょうがなかった本の新装版を見付けたので読んだ。

【タイトル】消費社会の神話と構造 新装版
【著者】ジャン・ボードリヤール
【翻訳】今村仁司、塚原史
【発行日】2015.9.16
【発行所】紀伊国屋書店

フランス語の原著は1970年に出され、邦訳は同じ2人の訳者で1979年に出された。その後今村は2007年に亡くなり、ボードリヤールも偶然同じ年に亡くなっている。「訳者あとがき

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ラドクリフ・ブラウンについての覚書

ラドクリフ・ブラウンについての覚書

 アルフレッド・R・ラドクリフ=ブラウンは、1881年生、1955年没、イギリス生まれの社会人類学者、文化人類学者だ。同時代、マリノフスキーと並んで、機能主義学派のリーダーと目されていた。

アンダマン島民 ヴェブレン『有閑階級の理論』[1899]の第1章「序論」で、単純な社会では有閑階級が発生しないことの例として、アンダマン諸島の部族が挙げられている(※1)。また、英雄的な仕事と日常の労役の区別

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18段階の虚空

18段階の虚空

 ニュージーランドのマオリ族の創造神話では、18段階の虚空が生まれた後、男女が生み出されると言われる。

 チベットの大乗仏教の聖典でも虚空には18段階あると書かれているそうだ。

出所:
ジョゼフ・キャンベル著、平田武靖/浅輪幸夫監訳『千の顔をもつ英雄』下巻[1984]人文書院 p91~92、p233原註二三。

 不思議。

 僕が家を作るときには、階段は18段にしようと思った。階段を上るだけ

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ブランディングは資本主義社会に人間性を回復する(たぶん)

ブランディングは資本主義社会に人間性を回復する(たぶん)

 思いつくままに書いたらやたら長くなってしまいましたが、一言でいうと、

「ブランディングは、資本主義社会に人間性を回復する、新しい価値交換の形を生み出しているんじゃないかしら」

ていうことです。

* * * * *

 資本主義のシステムは現代社会では当たり前の現実であり、それ以外のあり方があろうとは夢にも思われない(数十年前までは、共産主義がその別の「あり方」になり得るのではないか、と夢想

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