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490.保険をやめた保険会社のおばちやん社長さんのお話【前編】


coucouさんのお仕事論⑬

1.保険を売らない保険会社の社長の話


今回はね、coucouさんもお手伝いしている、ある保険屋のおばちゃん社長のお話なんだ。
 
保険業界って、とっても競争の激しい世界。
火災保険、生命保険、がん保険、入院保険と、大不況は保険業界も浸食しはじめている。567もあって、訪問がむずかしい~
オンラインなんて、さらに難しい~


©NPО japan copyright association Hiroaki


 
彼女は現在68歳。

24歳の頃にたった1人で会社を興して、現在6人の社員を抱えるおばちやん社長さんなんだ。

実は、20年前から事務所を駅前に移転して好成績をあげていたのだけれど、ここ数年は業界も競争が激しくなり、なかなか売り上げがいかず赤字続きだった。どこの保険屋さんもおんなじだよね~
訪問するお仕事は壊滅に近い。

そのため、最近は急激に借入金が増え始め、その返済金を支払うのも厳しい状況となっていた。
 
保険の仕事の厳しさは競争相手が多いこと、他社の保険内容とあまり違いはなく、誰もが既に何かしらの保険に加入しているもんね。だから新規契約自体もなかなか取るのは大変な世界だよね。

さらにインターネットで直接保険に入れるシステムが生まれ、現場を営業するものにとっては、さらなる追い打ちをかけられるようになってきた。
(ネットで申し込む方が人件費がないためか金額が安い…)
 
彼女は考えた。

このままでは潰れてしまう。
大切なお客様に迷惑をかけてしまう。
これからどう生きればいいのだろう。
預金もなくなった…。

さらに、病に倒れた夫と年老いた父母がいる。
もし私が潰れたら、家族の面倒は誰が見ればよいのだろう…。
 
彼女は深く悩み続けた…。
 
彼女は若い頃から性格が明るいためか、独立してすぐに営業のトップとなり、毎月の売り上げ報告会では常に表彰され、収入もナンバーワンだった。
 
約6000万円近い家を購入し、外車に乗り、お客様を旅行やホテルに招待していた時代もあったという。順風満帆とはこのようなことをいうのかもしれないよね。
そして、住宅ローンはあとわずかで完済する予定だったけれど、事業のための借入資金の担保に自宅は抵当に入れた。なんと個人と会社で借入金は1億を超えていた。

もう、借入したくったって、借入なんてできない。


©NPО japan copyright association Hiroaki

2.誰も助けてくれる人なんていない


 
困り果てた彼女は、ある大口の取引先に出向いた。
そこで正直に現在の心境を相談することにした…。
 
「苦しいのはみな同じよ!自分だけ大変なんておかしい」
相談に出向いたのは飲食チェーン店の女社長で、彼女の一番の顧客だった。
そう、飲食店だって、この567のおかげで閑古鳥状態、苦しくはないはずがない…。

だけど、
 
「あなたは甘いのよ。前々からいっているでしょ、私は。あなたは契約を取ることしか考えていない、売り上げを上げることしか考えていないって。確かに保険の契約は一度入れば更新するまでそのまま利益が出る。そんなことより大切なことは普段の付き合いじゃあないの。あなたの頭の中は売ることばかり、会えば新商品の保険の話ばかり。私はね、あなたの保険の話を聞くために会っているのではないのよ、あなたと会いたいから会っているのよ、そこを勘違いしないでよ~」
 
私は、そんな話を聞きに来たのではない、助けてほしくて来たのに…。
 
「いい?耳の痛いことをいうわ。あなたはいつも聞いたふりばかりで、自分の都合の良いことばかりを聞いて、都合の悪いことには耳を塞いで来たわね。人はお金だけではないわ。契約がすべてではないわ。今、売り上げが伸びないのは、あなた自身に原因があるのよ。567だけではないわよ~保険の仕事って何なの?困っている人のお手伝いをする仕事ではないの?。あなたが困っているから、私があなたを助ける仕事なの?おかしいよ…」

そう、この飲食店の社長だって苦しい、辛い…。
でもね、567だけのせいにはしない。彼女は、店が駄目なら露店で勝負と、露商さんのように近くの駐車場でテイクアウトの店を始めた。そう、屋台を出して常に移動販売だ。
 
「困っている人のお手伝い…」
 
「そうよ。あなたは何のために仕事をしているの?あなたは、保険を売っているように考えているようだけど、誰もあなたから保険など買ってはいないのよ。相手のことを考える、相手を想うあなたを買っているのよ~」
 
(誰も、私の保険を買っていない?)
 
「借金が払えなくて、苦しければ、銀行に相談に行きなさいよ。銀行はお金を貸して、返してもらうのが仕事なのだから、返さない、返せない話ではなく、返すための相談をすれば簡単に解決するじゃない。どうして恰好や見栄を張るの、もっと正直でいいじゃない。悩む必要などないわ。社員にだって見栄を張る必要はないよ。経営者は経営の苦しさを伝えるのが大事な仕事だよ。今のあなたの苦しさは、恥をかきたくないとか、みつともないとか、自分の都合ばかりじゃないの」

「………」

「最後にね、あなたのためにアドバイスするね。今のやり方の保険屋なんてやめなさい」


©NPО japan copyright association Hiroaki

3.誰も私の苦しさなどわかってくれない、もうだめ~


 
(なんて、耳の痛い言葉だろう・・・)

確かに彼女のことを想ってくれる言葉だけれど、こんなにボロクソ言われるとは思っていなかったと、coucouさんに語った。

彼女は、帰り際に悔しくて涙が出てしまい、泣き続けたという。

「誰も私の苦しさなどわかってくれない、もうだめだ・・・」と。

私は、もう若くない。
いつのまにかこんなに年老いてしまった。

これから、どう、生きればいいの…。
 
そんな時、coucouさんと彼女の前に、選挙演説が行われていた。
立ち止まっていた彼女に握手を求める候補者から手渡らされたのは、一枚のパンフレットと候補者のシールだった。

そのパンフレットはコピーを四つ折りにしたもので、手書きのもの。
そこには候補者の宣伝はなく、数多くの市民の声を載せているものだった。
シールは子どもたちが喜びそうなキャラクターが印刷されていて、選挙とはまったく無関係なものを配布していた。

coucouさんと彼女は一瞬目を合わせ二ヤっとした~
ここにね、これからの生き方のヒントが隠されていたんだ。

 
なぜ?

候補者は票が欲しいはずなのに、票に結びつかないものばかり。
彼女は立ち止まったまま、手渡されたパンフレットを見続けた。
内容は市民の声が中心で、町を良くしてほしい、子どもたちの将来、お年寄りの介護への希望など様々な要望しかない、もちろん候補者の言葉など書かれていない。候補者はただ街頭で話し続けているだけ。
 
これが彼女の〈希望〉となったんだ。


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4.coucouさんみたいにならないように、正直に、素直になろう


 
彼女は、多分、若い頃は美人だったと思う(今でも美しいよ!)。

最近は年齢のせいか、美容院に行き、化粧を丹念に仕上げてオシャレをしても、営業先では決まって「保険屋のおばちゃん」となる。
同世代の仲間にまで「おばちゃん」と呼ばれることに腹立しい思いがあったというけれど、おばちゃんには違いないし、おばちゃんと言う言葉には悪意なんてないよね。むしろ、親しみなんだよ、とcoucouさんは慰めのような、慰めにならないような話をした。

でもね、誰もは歳を取る、これは現実だよね。
変えたくても変えられない事実。

また、加齢のせいもあるかもしれないけれど、何事にも消極的になり、何かしらに怯え、恐れ、不安の中で日々を送っていたようだ。

また、トップになると、特有の病に陥る。
小さいながらも社員を抱える心の重圧、何からも解放されない寂しさと孤独感。彼女は年を重ねるごとにおかしくなっていた。
 
それに、いつのまにか人の意見を聞かなくなっていたようだった。
(ちなみにcoucouさんはね、この保険屋さんに加入していて、たまたま相談を受けただけなんだけれどね、でも優しい人なんだよ~)

そこでね、coucouさんは提言した~
それはね、coucouさんが苦しかった時のお話、失敗の話をし続けた。
彼女はその話を真剣に聞いてくれた。
そこで、coucouさんの提言はね、coucouさんも一緒に会社に出向くから、本当の話をしよう~苦しい胸の内を話してみよう~coucouさんみたいに正直にみんなに話せなかったためにたくさんの人を傷つけた話をしたんだ。

だから、coucouさんみたいにならないように、「正直に」「素直になろう」って話をしたんだよ。


©NPО japan copyright association Hiroaki


5.奇跡って、あるんだね



 
彼女は会社に戻って6人の社員と話し合うことにした。
coucouさんは、オブザーバー。みんなの顔もよく知っている。
そこで、coucouさんはね、何よりも、社員の意見に耳を貸すことにした。

そして、彼女の会社経営の苦しさ、辛さ、寂しさ、心の重圧のすべてを話してもらった。
そして、大口の得意先の社長の話、帰り道の選挙活動の内容などを説明した。彼女とcoucouさんは、変なことを言うから、馬鹿にされるだろうと諦めながら相談したのだけれど、私たちを馬鹿にするどころか、皆の心が一つになっていくのを感じた。
 
彼女は、素直に、本当の自分に戻り、正直に、ありのままに社員と接した。
 
 すると、驚いたことが起こった…

そう、信じられない奇跡が起きたんだ…

そう、保険屋のおばちゃんが保険を売るのをやめたんだ~

明日の後編続く~



©NPО japan copyright association 

coucouさんです~
みなさん~
ごきげんよう~

最近になって、思うんだけれど~

よく考えてみたら、私たちはみんなおんなじ世界で生きているんだよね~
うん、そんなことって当たり前だよね~

そうだね、でもcoucouさんはね、そんな当たり前のことなんだけれど、coucouさんはね、何でも気づくのが遅いからね~

6.みんな、おんなじ世界に生きている

We all live in the same world


みんな、おんなじ光を浴びて、
All bathed in the same light,

みんな、おんなじ空気を吸って、
Everyone breathe the same air

みんな、おんなじ世界に生きているんだね。
We all live in the same world.

みんなで、泣いて、
everyone, cry

みんなで、悲しんで、
We are all sad,

みんなで、悩んで、
We are all worried,

みんなで、苦しみ。
We all suffer.

みんなで、笑い。
Everyone laugh.

みんなで、生きている。
We are all alive.

みんな、奇跡の中にいる。
We are all in a miracle.

そしてね、みんなで、別の世界にいくんだ
And then we're all going to another world

そう、みんな、おんなじ世界に生きているんだよ!
Yes, we all live in the same world!
 






coucouさんのホームページだよ~みてね~

 
Production / copyright©NPО japan copyright association photograph©NPО japan copyright association Hiroaki
Character design©NPО japan copyright association Hikaru

 







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