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これは私的大渡海 日々のなかで見聞きした言葉が繰り返し思い出される時、それは既にわたし…

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これは私的大渡海 日々のなかで見聞きした言葉が繰り返し思い出される時、それは既にわたしを捉えているでしょう ラッキーカラーは透明 ラッキーナンバーはiでしょう https://sk3zgf31.wixsite.com/miandcan

マガジン

  • 旅と音楽

    これは私が留学していた時の、所々で覚えているつもりの記憶と、その頃聴いていたグッドミュージックを意味なく広大なネットの海に放つ試みです。 週1更新、全12エピソード予定。 https://anchor.fm/musicandjourney

  • 日歌

    日々の短歌をまとめました。

  • 編歌 2023

    2023年に詠んだなかから10の歌を編みました。

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Something Best in 2023

歳の瀬、会う人会う人のベストバイを聞いている。 久しぶりの人でもよく会う人でも、その人の1年の、印象深いいくつかの出来事が垣間見えてたのしい。嬉しい。 私のベス…

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#8 ポルトガルの修道院ホテルの話

好きな建築家はソウト・デ・モウラ(Eduardo Souto de Moura) 。 人と自然のスケールの両方に寄り添い、無理をしない。 その切実な空間が好き。 構図がいつも素敵だ。 ほぼ…

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#7 フリムスにある楕円の橋の話

好きな橋はありますか? 私には、留学に行く前から、 絶対に自分の目で見るのだと心に決めていた橋があった。 それを建築をテーマにした映像が紹介されているサイトで見…

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公園のベンチににげる昼休み
馴染みの雀を眺める休み

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渋谷駅 大人になるということは
行き交う顔に 面影みること

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口角をわらう重力増す日々の輝きに心侵されていく

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ベルリンで出会った人は心なしか皆あまり愛想がよくなかったが、 スイスで友だちになったドイツ出身の彼は陽気でおちゃめな人だったので、 多分思い過ごしだ。 ベルリンは…

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9日前

私が歌っていたのも、文章を書くのも、話すのも、写真を撮るのも全部、ぜんぶ生きたいからだ。どうしても生きないといけないのなら、生きるためにやっている

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自転車で野球少年駆け抜ける
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照らされて洗濯物が落とす影
八百屋の顔も季節の変わりめ

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#5 好きな教会の光と影の話

日本に寺社が多くあるように ヨーロッパには教会が各地にあり、 それはメッセージ性の強い構成であることが多い。 そこで最も重要なのは、 祈り、という最もシンプルで、 …

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2週間前

#4 セレナーデ号と夏の海の夢

夏の機運高まる7月下旬、 スウェーデンのストックホルムからフィンランドのヘルシンキまで向かうのに、巨大客船セレナーデ号に乗船した。 出発時刻ぎりぎりに乗り込むとそ…

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2週間前

#3 明け方、ナイルエクスプレスの汚れた窓の話

エジプトと聞くと、何をイメージしますか。 それは、砂色ではありませんか? 冬になろうとするその秋、 留学先の授業の一環でエジプト旅行に行った。 Hassan Fathyという…

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#2 人生で一番美味しかった飲み物の話

人生で一番、美味しい!!!!と思った飲み物の話をする。 時は恐らく12月、すごくすごく寒くて痛い冬の日だった。 場所はスイスとイタリアの国境近く、コモという街。 …

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1か月前
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#1 スイスの山はいつもそこにある話

昔、スイスに1年留学していた。 スイスの山はあまりに大きい。 遠くにあるから透明度が40%くらいのレイヤーに見えるけれど、 大きいからはっきり見える。山の凹凸に沿って…

mumin
1か月前
Something Best in 2023

Something Best in 2023

歳の瀬、会う人会う人のベストバイを聞いている。

久しぶりの人でもよく会う人でも、その人の1年の、印象深いいくつかの出来事が垣間見えてたのしい。嬉しい。

私のベストバイは
1. Louis PoulsenのPH5 mini
2. DENONのヘッドホン
3. Barbourのビデイルジャケット
です。

あなたのベストバイはなんですか。

さて本題。
今年も沢山のグッドミュージックに出会えた。

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#8 ポルトガルの修道院ホテルの話

#8 ポルトガルの修道院ホテルの話

好きな建築家はソウト・デ・モウラ(Eduardo Souto de Moura) 。

人と自然のスケールの両方に寄り添い、無理をしない。
その切実な空間が好き。
構図がいつも素敵だ。
ほぼ同じ理由で彼の師匠のシザ(Álvaro Siza)も好きだけど、なぜかソウトデモウラの方が好き。
なぜかは分からない。
シザの方がミニマルな気がする。

2人の故郷ポルトガルで、これまたどうしても見たい建築があ

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#7 フリムスにある楕円の橋の話

#7 フリムスにある楕円の橋の話

好きな橋はありますか?

私には、留学に行く前から、
絶対に自分の目で見るのだと心に決めていた橋があった。

それを建築をテーマにした映像が紹介されているサイトで見かけた。
設計者はスイスの構造家、Jürg Conzett。
彼はスイスのフリムスという地域にある山の中に7つの橋を設計した。
その1つ。
可愛らしい形の橋が大自然にぽつんといる姿を想像して、
これは見たいと思ったのだった。

実はフリ

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公園のベンチににげる昼休み
馴染みの雀を眺める休み

渋谷駅 大人になるということは
行き交う顔に 面影みること

オーディオの外してなかった保護フィルム剥がして最初の指紋をつける

口角をわらう重力増す日々の輝きに心侵されていく

#6 ベルリンで踏んだ叫びを忘れない話

#6 ベルリンで踏んだ叫びを忘れない話

ベルリンで出会った人は心なしか皆あまり愛想がよくなかったが、
スイスで友だちになったドイツ出身の彼は陽気でおちゃめな人だったので、
多分思い過ごしだ。

ベルリンはおしゃれシティだけど、きちんと歴史が都市に刻み込まれている。
今回の旅の目的はホロコーストの歴史を伝えるベルリン・ユダヤ博物館だった。

ポーランド系アメリカ人のDaniel Libeskindが設計したその博物館には、
顔を模した無数

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私が歌っていたのも、文章を書くのも、話すのも、写真を撮るのも全部、ぜんぶ生きたいからだ。どうしても生きないといけないのなら、生きるためにやっている

自転車で野球少年駆け抜ける
日に焼けた風が 夏連れてくる

照らされて洗濯物が落とす影
八百屋の顔も季節の変わりめ

#5 好きな教会の光と影の話

#5 好きな教会の光と影の話

日本に寺社が多くあるように
ヨーロッパには教会が各地にあり、
それはメッセージ性の強い構成であることが多い。

そこで最も重要なのは、
祈り、という最もシンプルで、
空間の機能というよりは
自己を省みる内側での行為に他ならない。

私は教会という空間がすきだ。
いくらそこに居てもいい、
エンターテイメントは必要なく、
ただ身を置き、思う。
そんな空間は、日本での今までの日常にはあまりなかった。

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#4 セレナーデ号と夏の海の夢

#4 セレナーデ号と夏の海の夢

夏の機運高まる7月下旬、
スウェーデンのストックホルムからフィンランドのヘルシンキまで向かうのに、巨大客船セレナーデ号に乗船した。

出発時刻ぎりぎりに乗り込むとそこは1つの巨大立体都市のようだった。
ゲートをくぐると空を仰ぐ吹抜のロビーがある。
下層は店舗になっていて、ムーミンのマグカップやぬいぐるみが売られている土産屋、カフェやカジノもある。
上層には客室の窓が立ち並び、楽し気な子どもが貼りつ

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#3 明け方、ナイルエクスプレスの汚れた窓の話

#3 明け方、ナイルエクスプレスの汚れた窓の話

エジプトと聞くと、何をイメージしますか。
それは、砂色ではありませんか?

冬になろうとするその秋、
留学先の授業の一環でエジプト旅行に行った。
Hassan Fathyという建築家の作品を主目的として、カイロとルクソールという街を回った。

カイロからルクソールに移動するため、
ナイル・エクスプレスという夜行列車に乗る。

夜の駅舎は始めから不穏で、
埃っぽい空気と水たまりの中、
溢れかえる現地

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#2 人生で一番美味しかった飲み物の話

#2 人生で一番美味しかった飲み物の話

人生で一番、美味しい!!!!と思った飲み物の話をする。

時は恐らく12月、すごくすごく寒くて痛い冬の日だった。
場所はスイスとイタリアの国境近く、コモという街。

クリスマスが近く、街は屋台が沢山出て、教会のファサードにはプロジェクションマッピングが投影され、にぎやかな雰囲気だった。
友人2人と建築を見に来たはずが閉まっていて、
帰りの電車の時間までぶらぶらしようとしたけれど、めちゃくちゃ寒い。

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#1 スイスの山はいつもそこにある話

#1 スイスの山はいつもそこにある話

昔、スイスに1年留学していた。
スイスの山はあまりに大きい。
遠くにあるから透明度が40%くらいのレイヤーに見えるけれど、
大きいからはっきり見える。山の凹凸に沿って走っている雪の筋もよく見える。
それがなんだか、はりぼてみたいに見えたのだった。
というか、平面的なUSJの背景のように見えた。

本物を模した絵のように本物を見てしまう。
自分の目を信じ切れない距離感覚。

駅で電車を待つ間、家の窓

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