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これは私的大渡海 日々のなかで見聞きした言葉が繰り返し思い出される時、それは既にわたし…

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これは私的大渡海 日々のなかで見聞きした言葉が繰り返し思い出される時、それは既にわたしを捉えているでしょう ラッキーカラーは透明 ラッキーナンバーはiでしょう https://sk3zgf31.wixsite.com/miandcan

マガジン

  • 日歌

    日々の短歌をまとめました。

  • 旅と音楽

    これは私が留学していた時の、所々で覚えているつもりの記憶と、その頃聴いていたグッドミュージックを意味なく広大なネットの海に放つ試みです。 週1更新、全12エピソード予定。 https://anchor.fm/musicandjourney

  • 編歌 2023

    2023年に詠んだなかから10の歌を編みました。

記事一覧

遠雷の響いた部屋に音並べ月が恋しい私の遠吠え

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2日前

マンションよ 海を私に見せてくれ
過ぎ去る明石海峡大橋

mumin
2週間前

夏の夜 祭気分の雷砲と追いかけっこの最終バスなり

mumin
2週間前

色褪せた紫陽花の横通る夏
引き継ぐような華の浴衣ね

mumin
1か月前

騒ぎ立つ雷も遠くなっていく 余韻の雨がなぐさめる庭

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1か月前
1

浮かんではぼやけていった歌たちが
雷伝い 渡り歩く空

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1か月前
1

六月の雨に打たれて紫陽花の垂れる頭は心にもたれ

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1か月前

帰りつき余力でちょっと引き延ばす
明日のための短い夜を

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2か月前

いたずらに過ぎる平日
友だちの誕生日さえ覚えておけない

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2か月前

話したいことの鮮度は落ちていく
まま味気なき大人の日々は

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2か月前

#12 その地に足をつけるために

私は1つのところに長く留まるのが苦手だ。 飽き性なので、すぐ新しい酸素がほしくなってしまう。 学生時代のアルバイトは半年から1年程で辞めていたし、 引越しもよくして…

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2か月前
1

#11 記号が意味を帯びる話

前の話でフランス語しか話せないおじさんと拙いやりとりをしたと言ったけれど、 その国の言葉が分かるようになっていくのは 楽しくて嬉しいという話をする。 少しでいいか…

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3か月前
1

#10 フィルミニでミディ(しなかった)話

フランス、リヨンから電車で小1時間。 フィルミニという町に、建築界の巨匠コルビジェ(Le Corbusier)が設計した文化センターと教会がある。 見に行きたいが、駅から20分ほ…

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3か月前
1

窓際に座り仰げば風が吹く
洗いざらしの服の柔さよ

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3か月前

#9 オーフスの図書館にある天国の話

ドイツの北方ハンブルグから夜、列車でデンマークのオーフスまで向かう。 着いたのは朝。 目当てのArne Jacobsenが設計した市庁舎が開くまでの間、散歩することにした。 …

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3か月前
1

#8 ポルトガルの修道院ホテルの話

好きな建築家はソウト・デ・モウラ(Eduardo Souto de Moura) 。 人と自然のスケールの両方に寄り添い、無理をしない。 その切実な空間が好き。 構図がいつも素敵だ。 ほぼ…

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3か月前
1

遠雷の響いた部屋に音並べ月が恋しい私の遠吠え

マンションよ 海を私に見せてくれ
過ぎ去る明石海峡大橋

夏の夜 祭気分の雷砲と追いかけっこの最終バスなり

色褪せた紫陽花の横通る夏
引き継ぐような華の浴衣ね

騒ぎ立つ雷も遠くなっていく 余韻の雨がなぐさめる庭

浮かんではぼやけていった歌たちが
雷伝い 渡り歩く空

六月の雨に打たれて紫陽花の垂れる頭は心にもたれ

帰りつき余力でちょっと引き延ばす
明日のための短い夜を

いたずらに過ぎる平日
友だちの誕生日さえ覚えておけない

話したいことの鮮度は落ちていく
まま味気なき大人の日々は

#12 その地に足をつけるために

#12 その地に足をつけるために

私は1つのところに長く留まるのが苦手だ。
飽き性なので、すぐ新しい酸素がほしくなってしまう。
学生時代のアルバイトは半年から1年程で辞めていたし、
引越しもよくしている方だと思う。
何かを極めることもなく、そのくせ居場所を求めてふらふらしている。

そういう甲斐性のない私が
どうして留学に行ったかというと、
大学院にいるのが息苦しくて、あと自分が社会に出ても何の役にも立たなさそうで、
新しい街で、

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#11 記号が意味を帯びる話

#11 記号が意味を帯びる話

前の話でフランス語しか話せないおじさんと拙いやりとりをしたと言ったけれど、
その国の言葉が分かるようになっていくのは
楽しくて嬉しいという話をする。

少しでいいから、コミュニケーションをしたいという姿勢を見せるのが
その町で過ごしやすくなるための近道だ。
こんにちは、ありがとう、またねくらいは、
便利なスマートフォンというものがあるのだから、簡単に分かるはず。
または、友だちに教えてもらえばよい

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#10 フィルミニでミディ(しなかった)話

#10 フィルミニでミディ(しなかった)話

フランス、リヨンから電車で小1時間。
フィルミニという町に、建築界の巨匠コルビジェ(Le Corbusier)が設計した文化センターと教会がある。

見に行きたいが、駅から20分ほど歩く必要がある。
辿り着けるだろうか?
そこに電波は届くのだろうか。

心配していたけれど、駅に着くと目印があった。
コンポジションされた赤と黄と緑と青の線が一筋、道にプリントされてずっと続いている。
建築学生ならお分

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窓際に座り仰げば風が吹く
洗いざらしの服の柔さよ

#9 オーフスの図書館にある天国の話

#9 オーフスの図書館にある天国の話

ドイツの北方ハンブルグから夜、列車でデンマークのオーフスまで向かう。
着いたのは朝。
目当てのArne Jacobsenが設計した市庁舎が開くまでの間、散歩することにした。

海の方へ向かって歩いていくと、4階建てくらいの大きい建物に辿り着いた。
現代的な渦巻きのような形をしている。
双子用ベビーカーを押す若い男の人とすれ違う。

そこは図書館らしく、誰でも入れるみたいだったので入ってみる。
平日

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#8 ポルトガルの修道院ホテルの話

#8 ポルトガルの修道院ホテルの話

好きな建築家はソウト・デ・モウラ(Eduardo Souto de Moura) 。

人と自然のスケールの両方に寄り添い、無理をしない。
その切実な空間が好き。
構図がいつも素敵だ。
ほぼ同じ理由で彼の師匠のシザ(Álvaro Siza)も好きだけど、なぜかソウトデモウラの方が好き。
なぜかは分からない。
シザの方がミニマルな気がする。

2人の故郷ポルトガルで、これまたどうしても見たい建築があ

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