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彼には「人間力」が無いらしい

どうやら彼には「人間力」がないらしい。

土曜日の昼下がり。カタカタと震えるデスクの上のコーラの缶に、自分が貧乏ゆすりをしていたことに気づく。さっきから何度も何度も、パソコンに繋がれたiPhoneに手が伸びてしまう。

前回の記事にも書いたが、最近インターン仲間の友人が留学中に亡くなった。それがなんとなく他人事ではないような気がして、ちょっとセンチメンタルになってしまっているのかもしれない。昨日の夜から何時間たっても鳴らないiPhoneに苛つきさえ感じ始めていた。

「昨日の夜連絡したきり彼から連絡ないんだよね~」

はぁ、とため息をつく私をインターン仲間が苦笑いをする。なんだか悪い気がして、シャキッと背筋を伸ばしパソコンに向かった。

私の彼はとても優しい人だ。よく私を理解してくれているし、私のことを大切にしてくれる。私にとって彼はかけがえのない存在だ。だが彼はしばしば「人間力がない」と評価されている。本人もそれを改善しようとしているがなかなかその糸口が見つからないのだろう。試行錯誤を繰り返しているようだ。

「お前ほんと人間力ないよな、のんちゃんがかわいそう。」

彼がよく周りから言われている言葉だ。みんなで飲みに行くとしばしば聞くことになるこの言葉。何とも言えない気持ちをお酒でごまかしながら「そんなことないよ、頑張ってるよね」と彼を励ます。彼も申し訳なさそうにちらりとこちらに目をやる。ないものはないのだから、仕方ない。彼の頑張りを私はよく分かっている。


「先読み」と「思いやり」

そもそも人間力とはなんなのか。
もちろん「人間力」を構成する要素は沢山あると思うが、中でも私は「先読み」「思いやり」だと思っている。すなわち「なぜ喜ぶ(助かる)のか」「何をしたら相手は喜ぶ(助かる)か」を自分なりに考え、行動するということだ。行動の結果じゃなくて、行動しようとしたこと考えたプロセスが大事なのだ。

「それって結局行動はしてないじゃん。それじゃあ伝わらなくない?」とあなたは言うだろう。

では、隣に座っている人が机から消しゴムを落としたとしよう。結果的に自分がその消しゴムを拾って渡すことはできなくても「あっ!大丈夫?」と拾う素振りをすることで相手はうれしい気持ちになるだろう。

ここでの考えたプロセスは、平たく言えば「落ちた消しゴムを拾ってあげたら助かるだろうな」という発想のことで行動しようとした気持ちは「拾おうとした行為」のことだ。

消しゴムが落ちたことに気が付いているが全く関心を示さず、自分のことをしていると、相手は「落ちたことに気付いているのに、冷たいな」とネガティブな印象を受ける。それが積もっていくと「思いやりのない人」=人間力がない人というイメージに変わっていってしまうだろう。


相手の気持ちがわからなくてもいい

人間というのはすごく不思議な生き物だ。繊細な心の動きや感情を察知し空気を読み、情緒をくみ取るのに長けている。日本人は特にその能力が高い。だからこそ、結果ではなく「誰かに何かをしてあげようとしたプロセス」が大事なのだと思う。

しかし、世の中には情緒をくみ取ることが自然にできない人というのは絶対にいる。この記事を読んでいる人の中には恐らくそういう人も多いだろう。「相手の気持ちがわからない」「他人に関心を持てない」「共感できない」そんな人がいたって当然いい。興味の対象が違うだけだ。

ただ、その個性のせいで「人間力がない」と評価されてしまうのはあまりにも勿体ない。「誰かに何かをしてあげよう」とするだけで、すこしは相手に「思いやり」が伝わるかもしれない。自分の中で「すこしお節介かな?」と思うくらいが相手にとっては丁度いい。

「彼女は僕の身に何かあったらと心配している。それならなるべく安否を伝えるようにしたら彼女は助かるだろう。」

義務とか責任からではなく、こんな風に心から思ってもらえる日はいつか来ると信じている。たとえ気持ちを受け取る側が、親であっても恋人であっても、友達・知人であっても「あなたを想ってしているよ」という気持ちが伝わることはうれしいことだから。

苦手なこと・無理なこと・余計だと思うことは無理にしなくていい。「生きづらいな」とふと思った時にほんの少し、「人間力」というものを考えるきっかけになればいい。そして「人間力」が欲しいと思った時は上記の方法を試してみてほしい。

それでも覚えていてほしいのは、君が生きやすい環境で生きていれば私はそれでいいということ。あなたのままでいいということ。




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