じゃが塩辛バター

弱いあたしのひとりごと だれにも言わないこと

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弱いあたしのひとりごと だれにも言わないこと

最近の記事

並行線のエレベーター

横を進んでいく袴姿の女の子をふと目にしていた。 可愛いな、あの子も卒業式かなと思いながら、その女の子の肩を握る手に見覚えがあった。忘れるわけもない肩の抱き方と、声だった。 友人のダンス公演を見るために向かった横浜で、知っている駅をいくつも通過して、少なからず思い出していた。もしかしたら今日もまたここにいるかもしれないと、心のどこかで思っていた。そんなことの罰なのかもしれないけど、まさか現実になるなんて思ってないじゃない。 一緒にいた友達がぺちゃくちゃと男自慢をしている話も

    • 父を

      春、父が死んだ。 仕事のはずの母が帰ってきて、酒を飲み、震える声で言った。「お父さん、死んじゃった。」と。 夕方、私たちがほんの少し前まで暮らしていた家に向かった。祖父母に「ここにいるから。」と案内された場所は、私たちが10年前寝食を共にした場所だった。 階段を上ると、いつだったか、親戚のおじさんがなくなったお通夜で見たような白くて長い箱がそこにあった。 さらに1歩進む。 隣で母が泣き崩れる。 父の顔が見えた。何年ぶりだろうか。わからないのに、この寝顔が父だということは、

      • Re

        ポケットにコンドーム1つだけ、 ブラジャーとショーツは柄を合わせておく、 その程度互いに淡い期待があった。つまりは共犯。 「あ」のひとことがポンっと通知に来た 「まちがい?」じゃないのは知ってる 「ひさしぶり」何かに期待して 「と、見せかけておひさ」と返ってくる 「なにかあったの?」と聞いてみる どうやら彼女と喧嘩したそうで 女の子を怒らせるような人だと思ってなかったからおどろいたけど まあそんなんで別れるような奴じゃなさそうだしなと思い、エールを送ってそ

        • なんでもないよ

          息をするように男に惚れてしまうわたしだから、こうやって言葉を残しておかないと、誰のことを好きになれたか忘れちゃうんだな 「10代のうちに、人を何人愛せるかな」って歌詞に親近感を憶えた 「恋愛体質」「チョロい」って言葉で片付けちゃえば簡単な話だけど、その時々のわたしは本気で悩んで、本気で恋してたんだよね 一瞬一瞬を勝手ながらドラマチックに切り取って、自分を正当化しながら成長してきた そんな私も気付けば10代が終わって20代になった これからどんな人を愛せるんだろう、自

          博識なやきそば

          都合がいい、私はほんとに都合がいい。 1度付いた習慣は簡単には取れないし、身体の執着は思った以上に簡単って話。 大好きだった人と別れて、ふらふらしてて出会った人。真面目なフリしたマッチングアプリの中で、鼻ほじった写真使ってた変な人。もじゃもじゃの焼きそば。初めて会う人種だった、不思議な雰囲気に完全に飲まれてしまった。映画を見て、1杯くらい飲んで帰ろうと思ってた。あんたがヤリモクなのは会う前から知ってたから。 なのに気付いたらそこにいて、「いい匂い」なんてわざとらしくクン

          博識なやきそば

          小心者の君へ

          お久しぶりです。元気にしてる?よね、きっと。 届くはずもないんだけど、まだいつか一言だけでも交わせると信じている私を供養するために。 7月、君と別れた。私のことが大好きだった君に「もう好きじゃない」って言われたあの時の心臓がキュッと冷えていく感覚、今もまだ覚えてます。もうすぐ訪れる夏、君と何をしようか、どこに行こうか、そんな期待に胸を膨らませていた私が割れた瞬間。 君に合わせた方向へ歩きながら最後の話を進める私、その時点でもう結論なんて決まっていたも同然で。君にとっても

          スケートボード

          昨日、川沿いを1人で散歩してた。先を歩く2人組の男女。男の靴に見覚えがあった。穴が空いた白のコンバース。スニーカーに穴が空くのはスケボーを練習した証。少し近付いて声が聞こえた。君だとわかった。隣の女の子は「ごめんねぇ〜酔っぱらいで〜」とふわふわしながら彼の腕を組んでいる。私から離れて、幸せになってほしい人の話。 なんでも良かった時期、アプリで出会った山添くん(仮)の話。アプリが示した君との距離は100m以内。話が進んで、電話をして、同じ最寄りでドがつく程近所に住んでる1個下

          スケートボード

          5月

          漠然とした不安と、今にも外へ飛び出してしまいそうな寂しさに襲われる夜。 何度足を組み替えても落ち着かなくて、心臓が眠ろうとしない。君のことを考えたり、あの人のことを考えたり、どうにもならないことばかり考えて、感情が昂って涙が流れて、それでどうか自分の体が疲れてくれないかと思う。 「眠れないのは、今日という日に満足してないから」 いつか誰かに聞いたこと。眠れない日はいつもこの言葉に理由付けする。泣ききってしまえばきっと今日に満足できる、大好きな君の元へ今すぐ走って行ければ

          歪み

          ちいさな歪みが時間をかけて重なる。 気付いた時にはもう遅くて、誰も手に負えない歪みが完成されてる。 数年前から自覚はしてた。家にいると口に力が入らなくて、喉から声が出ない。何が相槌を打たなきゃと思って小さく「うん」とか「ううん」が出るだけで他の言葉が出てこない。これが精神的な何かでも、そうじゃなくてもどっちでもいい。結果は同じだ。 家にいても話すことないし、あっても話せないし。そう思ってバイトばかりした。家にいる時間を極限まで減らしたかった。家族全員の生活リズムはバラバ

          きみとバンジーは飛べない

          人生ではじめて、ちゃんとした告白を受けて、ちゃんとした彼氏ができた。 すごくわたしのことを好きでいてくれて大切にしてくれて、いつでも優しいし家族を大事にしてて勉強も熱心でスポーツが好き。お酒は飲めるけど大学生っぽいのが嫌いだからサークルとかそういうのは嫌い。MARVELとかディズニーとか、ポテトサラダとかそういうのが好き。三人兄弟の末っ子、ドが付くほど長女なわたしからすると同い年だけど可愛くて仕方ないそんな彼氏。 彼に出会うまで苦い経験ばっかりだった。バイト先の先輩に1年

          きみとバンジーは飛べない

          遅ればせながらバレンタインの話

          この媒体に長々と言葉を連ねるのは自分が自分の中に籠っていた時期だったから、こうして今改めてそれをのぞくと懐かしさと自己嫌悪で不思議な気持ちです。 でも今、思い返しても「そんなこともあったな」と軽く受け止められるほど、わたしは満ち足りてます。 タイトルにはバレンタインと書いたけど、これはその1週間前の話。友達の友達の彼と今度は向こうの地元近くである横浜に行くことになってた。 はじめて会ってから連絡は絶えることなくて、電話も頻繁にしてたからか改札の外で待つ彼は簡単に

          遅ればせながらバレンタインの話

          お願い神様

          今年のクリスマスは記念すべき4年目の女6人で過ごす時間だった。見事に皆が皆勤賞で、毎年24~25日という世界で最もホテルがとれない2日間を過ごしてる。まあ女子6人組は非常に簡単に予約がとれるよってことはこれを読んでる方だけに教えてあげます。特別にね? 広め新築のホテルを予約して、ピザとチキンとおかしをみんなで囲んだ。コロナのことや、まあ一応大学生になったということでそれなりに忙しかったし会えなかったし、積る話があるかと思えばまあみんな変わらずに、とくにこれといった報告のない

          青くて、

          ちょっと好きだと思っている人と一緒に映画を見た。異性と映画館で映画を見るのは初めてだった。 今回は映画の話をしたいけど、レビューとして注目されるのは苦手だから、あくまでこの日の記録としてここに書き連ねたいと思う。 彼とは夜ご飯以外で会うのも初めてだった。いつも適当に日にちを合わせて、適当な夜ご飯を一緒に食べるだけだった。でも今日は目的がある。今日の目的は恵比寿のおっきいモンブランが乗ったパンケーキ。「食欲の秋、モンブランの秋」っていう意見の大合致でこの日は決まった。 彼

          who am I

          「何かがあった青春時代」を送れなかった私はたぶんこの先ずっとその憧憬に縛られながら生きていくんだと思う。 部活も、恋もなかった高校時代。努力して憧れて入ったはずの場所には何も無かった。得たものは数人の友達と恵まれた才能や魅力への憧れと劣等感。何も無い私は振り返る度にそれに苛まれる。 何も始まらない春と、後悔と寂しさの中で過ちを犯して、寂しさに溺れた先の酔いの中、自分の言葉で目が覚めた。 「私って、劣等感と好奇心のハイブリットなの」 ひた隠してきた好奇心。叶えられなかっ

          記事タイトル

          昨日は緊張しなかった。塗り替えられた証拠かな〜なんて思ってた。でもまあそんな切り替え早いタイプだったら今こうしてタラタラ書き連ねてないしきっと熟睡してたよね。 思い返せば楽しかった。それが逆に苦しくて眠れなかった。 久しぶりにクローズが被ったから、たくさん入った新人さんの話、成長してきた後輩の話、あの子は苦手、あの日はやばかった、とか。「昨日どうでした?」とか心配してくれるあたりもまあずるいなって思ったんだけど。きっと何も考えず、ただ喋ることが好きだから話してるんだろうな

          課題

          「殺人犯としてその動機を説明する手記を書きなさい(1000字程度)」 という課題が出た。パッと見ておもしろそうだと思ってた。息抜きにでもやろうと思ってとっておいてた。そして今日いざ、と思うとなかなか手が進まなかった。 死について考えたことはある。しにたいと思ったことも何度もあるし、ころしてやりたいと思ったことも無いといえば嘘になる。そんな自分の内なる欲求を再現する、説明するってこんなに難しいことだったっけ。 自分のことを全く知らない人にずっとしにたかった気持ちや終わらせ