5月

漠然とした不安と、今にも外へ飛び出してしまいそうな寂しさに襲われる夜。

何度足を組み替えても落ち着かなくて、心臓が眠ろうとしない。君のことを考えたり、あの人のことを考えたり、どうにもならないことばかり考えて、感情が昂って涙が流れて、それでどうか自分の体が疲れてくれないかと思う。

「眠れないのは、今日という日に満足してないから」

いつか誰かに聞いたこと。眠れない日はいつもこの言葉に理由付けする。泣ききってしまえばきっと今日に満足できる、大好きな君の元へ今すぐ走って行ければ必ず今日に満足して、君の腕に抱かれれば何日だって眠っていられる。のに。

どこを向いても誰もいない。毎日が苦しくて寂しくて仕方ない。こんな私の寂しさなんて、所詮SNSの波に呑まれて誰も気に留めない。

ひとりで目が覚めて、朝ごはんを適当にあしらえ

適当な時間に大学の課題を消化して昼っぽいご飯をまた食べる

頃合になったらバイトへ出て、駄弁って帰る

家に着いても誰もいない

風呂を沸かしながら冷蔵庫のものを温める

母が押し付けた母親らしさを温め直す

誰かのために最低限綺麗でいるために、そんなために工程を伸ばさざるを得ないお風呂の時間は長ったるい

どうせ君とは会えない1週間。君の生活が羨ましい。夢があって、家族がいて、犬がいて、地元の友達がいて、彼女がいる。君には時間が足りないんだ。君の周りには人が沢山いる。私には時間が余りすぎてる。やりたいこともない、家族らしい家族もいない、犬も猫もいないし、友達もいない。人がいない。たぶんもう君しかいないのにって縋ってしまうのがまた苦しい。いつ会えるんだろう、私も君みたいに生きてみたかった。

こんな気持ちを五月病って言葉のせいにした

この記事が参加している募集

眠れない夜に

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?