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小池 菜摘/Koike lab.-creative office-

法人名/農園名:Koike lab. -creative office-
農園所在地:岐阜県中津川市
就農年数:7年
生産品目:さつまいも、里芋、コシヒカリ、落花生、菊ごぼうのほか、野菜を使った加工品(スイートポテト、クッキー、ビスコッティーなどのお菓子類と、煮っころがしや肉じゃが、パスタソース、カレー、やみつきニンニク醤油、ニンニクペーストなどの惣菜類)
HP:https://koike-lab.com/

no.53

農業と写真家の二足の草鞋。廃棄野菜に付加価値を!

■プロフィール

 3〜4歳の頃から写真を撮るのが好きで写真家になるのが夢だったが、大学卒業後は東京で証券会社に就職。

 2011年の東日本大震災をきっかけに、食べ物を自分で作る暮らしの価値観に気づく。うつ病での休職を経て、2012年に写真家として独立。

 同時に夫の祖父が営農していた中津川市の畑が売却される可能性を知り、2014年に移住。87歳の義祖父を手伝いながら栽培について学ぶ一方、夫は地元菓子店に就職して、野菜加工の技術や食品衛生管理技術を習得。

 2016年、娘の出産を機に、行政と連携した町づくり活動にも参画。2018年6月、規格外やキズもの野菜を使って加工する「もったいない工房」を設立。

 2020年、恵那市と中津川市の若手農家を中心とした共同野菜出荷販売システム「恵那山麓野菜」を立ち上げる。2021年認定農業者になる。同年7月、恵那山麓野菜の直営店「Aeru SHOP」をオープン。

■農業を職業にした理由

 東日本大震災でスーパーやコンビニエンスストアから食べ物が売り切れるようすを目の当たりにし、「食べ物を与えられる環境での生活」に疑問を持つようになった。

 証券会社で業界分析を行っていた間、農業は政策次第で今後伸びていく分野だと確信していたが、311以降、株式市場の暴落で顧客への罪悪感からうつ病を患い、1年後に退職。

 リニア中央新幹線の開業計画で、夫の実家の畑が売却される可能性があることを知って、2014年に移住。就農後は義祖父のもとでさつまいもなどの栽培技術を学びながら、夫は製菓店で野菜の加工技術を研修。

 娘が生まれた2016年、中津川市が少子化で将来の存続が危ぶまれる消滅可能性都市だとみなされていると知り、子供の故郷を守るために、町づくりに積極的に関わるように…。

 写真家兼農家の二足の草鞋を履いて、地域野菜のプロデュースと、フードロス削減を目指して、廃棄される運命にある野菜を加工する「もったいない工房」が軌道に乗っている。

■農業の魅力とは

 自分で種をまかないと何も始まらないという意味で、「自由」なことが農業の魅力です。例えば病害虫対策に、農薬や殺虫剤を使うかどうかは選択の自由ですが、種まき後はすべてにおいて「生命」が関わってきます。

 有機農法への注目が高まるなか、私は農薬=悪だと決めつけず、自社ホームページでも慣行栽培を謳っています。

 それでも、国やJAが定めた農薬の使用基準をただ疑いなく守るのではなく、植物の声を聞いて、肥料を今欲しいかどうか、即効性のある薬を必要とするのならどれを選ぶべきか、吟味しています。

 夫は微生物が専門なので、土壌分析をして客観的なデータをもとに土づくりに励んでいます。

 私は写真家として行政の仕事や写真の仕事も収入源になっていますし、夫も製菓業以外に地域コミュニティとのつながりがあります。

 農業だけを収入源にするのはリスクがありますし、畑を見ているだけでは視野が狭くなるおそれがあります。おかげで恵那山麓野菜の生産者と交流したり、ヨコのつながりが世界を広めています。

 私たちの考える農業が、今、花開いています。

■今後の展望

 経営という意味では、私たち夫婦は兼業農家ですから、コイケラボで得られた収入では生活せず、6人いるアルバイト従業員と地域社会に還元するようにしています。

 中津川地域は、2027年を予定しているリニア中央新幹線の開業計画によって、土地を買収する動きが活発化していますが、それでも耕作放棄地が増えています。

 そういった土地を引き受けて、栽培面積の拡大を進めるとともに、行政や観光協会とも連携して、ふるさとの農家が共存共栄できる仕組みを強化していきます。

 就農した当初は出荷先が民間市場だけということもあって、さつまいもや里芋がkgあたり30円でしか売れないこともありました。

 現在は直販サイトを中心に、廃棄野菜を使った加工品が人気を集め、年間売り上げ1,000万円に到達しました。

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