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400字小説

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400字程度で書かれた小説たち。ライフワークであーる。2024年1月1日午前7時オープン!
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2024年3月の記事一覧

【400字小説】いつか見たピッツァ

【400字小説】いつか見たピッツァ

ビースティ・ボーイズは青春だったなあ。
死んじゃって、ヤウク。
もう何年前だ。

あいつらと『サボタージュごっご』してたあの当時、
MV見てガバガバ笑ってピッツァを食べてた。
あの味は忘れられないし、
だから誰にも再現できない。

たしかピザハット?

チープなはずだったのに記憶に残ってて。
ピザ食堂うーのピッツァがダントツにマイク・ダントーニ。
スラムダンクは決まらない。

わたしはわたしの感性

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【400字小説】わたしという貴様は死すべし

【400字小説】わたしという貴様は死すべし

noteの世界に埋もれても仕方がないし、構わない。
いつか自殺する運命だから、それが達成された際に、
多くの人がここを訪れるだろう。

モ~レツに死にたい。
消えたいとは思わない。
皆の記憶に抉るような傷口のごとく、
ザックリといきたい。

文字の羅列という視覚からの攻撃によって、
故人を無理やり偲ばせる。
つまり、わたしが自殺した責任を
貴様に突きつけてやるんだ。

なんで早く気づかなかった?

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【400字小説】個性という罠

【400字小説】個性という罠

「自分らしさって何さ」と公園のベンチの
端っこでつぶやいたあなた。
小高い丘の芝生、空の春めいた青、
桜はまだか、もうそろそろか。
銅像は誰なのか知らない。

「ぼくがすきだってことがきみらしさの存在だよ」

美しい風があなたの髪の毛をなびかせて走り去る。
花がないのが、この大きな公園の欠点であり違和感。
その違和感を持たない人はたかが地球人。

「きみの言ってることがわからない」

「ぼくとあな

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【400字小説】どこかのマクドナルド

【400字小説】どこかのマクドナルド

世界どこのマクドナルドでも書ける。
ロサンゼルス、ブリスベン、上海、高円寺……。
キルギスのどこかにマクドナルドあるのか知らない。

白い蜂蜜を買おう。
甘い物には目がないナホちゃんが
お土産に買ってきたそれを食べたな、コロナ禍前。
サクッとして、次第に口の中で溶けて
甘みが広がった蜂蜜。

あれが別れの日で
「スリジャヤワルダナプラコッテ行っても
小説書き続けてね」と言ってくれた。
幸いインター

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【400字小説】解説のつもりだったはず

【400字小説】解説のつもりだったはず

そのプレイリストの曲は、わたしの血であり、骨だ。
青春だったかもしれない。
今だって春っぽい青のなかを全力失踪している、孤独。

上から影響を受けた順番。
カッコつけて選んでいない。
純粋に人生に影響を与えた曲を選んだ。

だから若い頃によく聴いたダサい選曲が多いけれど、
誰だって青かったし、今だってそうかもしれないんだ。
思春期から革命期、闇期や激躁期を
越えて軽躁期の現在へ。

音楽は鳴り止ま

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【400字小説】地獄! ゴールドエクスペリエンス!!

【400字小説】地獄! ゴールドエクスペリエンス!!

初めてキッスを聴いている帰り道。
イロモノだと思っていたら、
しっかりロックしてるじゃん!
ちょうど◎のリズムに思わず体が揺れる。
それでいて重たい音には
ボディーブローを食らわせられてる気分。
文字通りのヘビーロックじゃね~かよ。

わたしはこの感動を早く誰かに伝えたいが、
キッスを教えてくれた同僚のSさんの連絡先を知らないのだ。
仕方なく母にLINEしたわけだが、通じるわけないよね。
10分経

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【400字小説】熱すぎるコーヒーを

【400字小説】熱すぎるコーヒーを

仕事で失敗したことを引きずって、反芻。
スタバで癒そうって久しぶりに駅前ビルの。
入店してしばらく並んでいたのに、
何にするか、注文の思考、✕。
やっぱり自分って仕事できないんだろうかって自虐して、
笑えたら良かったけど、そんな余裕はあるはず、なく。

ようやくレジ、自分のターン。
あ、と思って注文を決めてないことに焦った。
とりあえず目に飛び込んできた
「コーヒー、ショートで」を伝えたら
店員さ

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【400字小説】銀行に…… pt.7

【400字小説】銀行に…… pt.7

背の高さが違うカップルが向こうで信号待ち。
男性の方が圧倒的にチビで
180cmの俺は悲鳴をあげた。
その女がモデルを越える美しさだったのだ。

信号が変わって彼女が歩き始めると
横断歩道はランウェイで、颯爽と。
隣の男までカッコ良く見えるという
錯覚さえも錯覚とは思えない錯覚を。

俺は微動だにせず、元いた場所で見とれた。
ずっと見つめてしまったので、
彼女も俺の存在に気づき、
男に気を遣うこと

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【400字小説】市街血

【400字小説】市街血

凄惨な事件から数年が。
あれは天罰が下ったのだ。
死んで当たり前だ。

それよりも中原昌也さんの
回復を祈っていた、
心の底から、実は今でも。

どんなに惨たらしい事件だったとしても、
因果応報ということで、
恋なんてしている場合でした。
どうでも良かったんだ。

あれから一致団結する気配もないし、
喧嘩は続いている。
仲良し倶楽部でいいじゃないか、
あれに関しては。
それと我々の顔をよく見てくれ

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【400字小説】in 25m

【400字小説】in 25m

娘のためなら死ねる。
たった水深1mのプールで、娘が溺れた。
中学生にして溺れたのは、
彼女が泳いでる最中に気を失ったからだ。

動揺した妻から連絡があった
午後2時過ぎのことをはっきり覚えている。
7月6日だったその日、
わたしは運転中に隣レーンにいた
知り合いの女性と車の窓越しに会話をしていた。

「それで、娘さん、いくつになられたの?」
「15歳だよ」
「あら! もう? 年を取るわけねえ」

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【400字小説】スタエフはファンタジー

【400字小説】スタエフはファンタジー

きみ良いこと言ったね。
ハマったら終わりでしたね、傷の舐めあいだった!
精神疾患なら寝て食べて薬飲んで、
病院行けよ、って現実的すぎるでしょう。
そんな人生になりたくないからスタエフやめないと。

少しの罪悪感で済ませておくべきでした。
今ではわたし、あの頃の少年のように楽しいばっかりで。
放課後の時間が儚くて好きだった。
大人になった今では体験できないと思っていた。

でもスタエフは違った。

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【400字小説】マリファナを花に

【400字小説】マリファナを花に

きれいなお姉さんが3人とも年上でスタバに。
チラチラ見てしまう。
僕はナンパなんてしないから、腑抜けている。
彼女いない歴、もうすぐ2年。
回収しなくちゃ、この730日分の虚無を。

「出会いがない」ってお姉さんたちが愚痴ってる。
出会いは確かにない。
でも、掴み取るものだと僕は思うよ。
だったらお姉さんに声掛けろよ。

ナンテイッテ?
シラネエヨ!

ひとりが寂しくて大麻に手を出したわけでもない

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【400字小説】物質ではない

【400字小説】物質ではない

死んだらただの肉塊になるだけ。
魂なんてない。
神様なんているわけない。
ゲイじゃないから誘ってこないで。
まぐわりたい、女子と。
できるだけ若い人。
心だけ許せる人。

でもゲイであることに
芸術性を感じているのは確か。
卒業してもう会えないと痛感していたけれど、
それほど鋭くはなかった。

むしろいつだって会える。
今が令和で良かった。
昭和だったら、会うことはもちろん、
LINEなんてなかっ

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【400字小説】ケチャップぬるぬる

【400字小説】ケチャップぬるぬる

口元の赤いそれにいやらしさを感じてしまった、性。
でも、わたしたちの関係はステイ。
待て、のままでお預け?
ヤチホくんが言ってくれないだけ。
このわたしを慰める人はもともといない。

ひとりだった、ずっと。

一生誰とも愛し合わないと覚悟していた、もっと。
それが自宅でオムライスご馳走される仲になれて意外ヨ。
出て行けって、言われないかな、怖いな。

「This is 向井秀徳は信じられる」と

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